TRADITION

知るほどに奥深い沖縄の手仕事にときめく
Part 3|ディレクター・土江真樹子
《あの人に聞く、友人を連れて行きたい沖縄》

2022.7.27
知るほどに奥深い沖縄の手仕事にときめく<br><small>Part 3|ディレクター・土江真樹子<br>《あの人に聞く、友人を連れて行きたい沖縄》</small>

ディープな沖縄を知るなら、実際に住んでいる人に聞くのが一番!好奇心旺盛な友人を連れて行くならどこへ行く?それぞれの人の得意分野で教えてもらいました!

教えてくれたのは……
土江真樹子(つちえ・まきこ)さん

1986年から沖縄在住。テレビ朝日那覇支局を経て琉球朝日放送報道部記者。滋賀大学経済学部特任准教授などを経て現職。桐板を追ったドキュメンタリー番組『幻の布を求めて~琉球染織紀行〜』などを制作

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気がつくと沖縄に住んで30年余り。手から生み出されるものたちの魅力に心ときめくことがますます多くなってきました。沖縄の手仕事は奥が深いの、と時にはしつこいと思われながら……。今回はその中からいくつかおすすめを。

小規模ながらダイナミックなのが「那覇市歴史博物館」。かつての琉球王国時代の王族の美、数多くの国宝を所蔵。タイミングがよければ国王の冠や衣装を見られることも。私のお気に入りは黄色地に大柄の鳳凰や牡丹などが咲き誇る紅型(びんがた)の衣装。黄色は王家だけのロイヤルカラー。この贅を凝らした美をぜひ。

南風原町の「かすりロード」。この通りの壁には「トゥイグワー(鳥)」など絣の模様が描かれ、はめ込まれ、一つひとつを確認するように散歩するのも楽しい。この通りにあるのが戦後、琉球絣を復興させた「大城廣四郎(おおしろこうしろう)織物工房」。工房1階のショップをぜひ見てほしい。ここにいまでは「幻」といわれる「桐板(トンビャン)」の着物がさりげなく展示されています。いまでは織る人もなく、原料すらよくわからない桐板。透き通るような白地に琉球藍の絣模様が凛とした気高さを感じさせます。

沖縄は伝統工芸だけじゃない。糸満市の今村能章(よしあき)さんの工房「今村実験室」でつくり出される陶芸はエッジが効いた唯一無二の美。窯の熱で溶け出す釉薬がつくり出すフォルムは、陶芸とは火と土の融合なのだと感じさせます。エスプレッソを美味しく飲むためだけに2年かけてつくり出したカップはなんとも贅沢。シャネルのツイードのようなデザインで、エレガントなうつわです。中世ヨーロッパの香りを漂わせるうつわが並ぶ工房のアトリエ解放日は、Instagramでお知らせしてくれます。

クールで妖艶。中に秘めた情熱を発するガラスはおおやぶみよさんの作品。彼女が主宰するスタイリッシュなショップ、「HIZUKI」でその美しさを堪能できる。光をまとい、反射させるうつわは静謐でありながらパワーを秘めた透明な「何か」にすら見えてくるほど。小さな一輪挿しやガラスの雫が固まったようなペーパーウェイトがジュエリーのように妖しく魅了。琉球ガラスとはひと味違った沖縄のガラスの世界がそこにあります。

沖縄を歩いていると赤瓦の上、村落の入り口や人家の玄関口や門柱……「沖縄といえばシーサーでしょ」と至るところに鎮座するのがシーサー、沖縄の守り神です。「昔は家をつくる大工さんがつくってくれた。だから1体ずつ個性豊かでしょ」と友人が教えてくれた。それからは街中のシーサーの表情を見るのが楽しくて。

けれどシーサーはお土産にはちょっと大きくて重い。そこで友人にお薦めしているのが「スタジオ de-jin」の手に乗るサイズの石獅子。彫刻家の若山大地さんが気泡を多く含む粗い琉球石灰岩を一点、一点彫ったもの。愛嬌たっぷりでコロン、としたおおらかな沖縄の守り神。相性が合う表情の子をぜひ連れて帰ってね、と友人たちにおすすめしています。

那覇市歴史博物館
住所|沖縄県那覇市久茂地1-1-1 パレットくもじ4F
Tel|098-869-5266
営業時間|10:00~19:00
定休日|木曜、年末年始、ほか不定休あり

大城廣四郎織物工房
住所|沖縄県島尻郡南風原町字本部175
Fax|098-889-3563
営業時間|9:00~17:00
定休日|土・日曜、祝日

今村実験室
住所|沖縄県糸満市糸満989-26
Instagram|@imamura_spot
※見学希望の場合はInstagramから要問い合わせ

HIZUKI
住所|沖縄県中頭郡読谷村渡慶次273
Tel|098-958-1334
営業時間|10:00~17:00
定休日|日曜

スタジオde-jin
住所|沖縄県那覇市首里汀良町1-2 1F
Tel|098-887-7466
営業時間|10:00~18:00
定休日:日曜、ほか不定休あり

 

名店は路地裏にあり!
那覇でハシゴ酒

 
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text: Aya Honjo illustration: Hitomi Iha
Discover Japan 2022年7月号「沖縄にときめく/約450年続いた琉球王国の秘密」

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