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《聖徳太子のふるさと奈良・明日香村へ》
聖徳太子生誕の地に建つ「橘寺」

2021.10.24
<small>《聖徳太子のふるさと奈良・明日香村へ》</small><br>聖徳太子生誕の地に建つ「橘寺」

聖徳太子1400年遠忌の今年、特別展「聖徳太子と法隆寺」が奈良国立博物館から東京国立博物館へ巡回し、この秋からも各地でさまざまな催しが開催予定。話題沸騰の特別展を通して聖徳太子を身近に感じたなら、次は聖徳太子のふるさと・明日香村を訪ねてみるのもおすすめ。日本人なら誰もが懐かしいと感じる風景と、いまの時代の支えになる教えに出合えるはずです。聖徳太子ゆかりの地と明日香村の魅力を紹介します。

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飛鳥時代の石造物である「二面石」。人の心の善悪二相を表しているという。手塚治虫の古代SF漫画『三つ目がとおる』にも登場する

橘寺
聖徳太子建立七大寺のひとつで、606年創建。太子生誕地としても知られ、寺伝によれば、この地に欽明天皇の別宮「橘の宮」があり、太子の母・穴穂部間人皇女が、宮内の厩を通った際に産気づき、太子を出産したという。創建時は66の堂宇が並ぶ大伽藍で、いまも残る五重塔の心礎がその面影を伝える。法隆寺の寺宝として有名な「玉虫厨子」が同寺にあったという記録も残る。

聖徳太子の愛馬「黒駒」像。太子は黒駒に乗り、斑鳩宮と飛鳥を往来したと伝わる

飛鳥大仏に導かれ、訪ねたのが「橘寺」。ここは太子の祖父・欽明天皇の別宮があった地で、太子生誕地とも伝わる。寺院となったのは、太子35歳606年のこと。太子が推古天皇に「勝鬘教」を講讃すると、空から蓮の花が降り、千の仏頭が光明を放ったという。

「当寺は天台宗に属しますが、ご本尊は、このときの太子の姿を写したもの。古くから宗派を超えた太子信仰が息づいています」と副住職・古賀野正空さん。聞けば、日本書紀に「尼寺」という記載もあるという。いつの時代も、太子の周りには和や平等の心が生きているようだ。

橘寺は橘の発祥地とされる。神代の昔、常世の国から持ち帰った霊薬の実の名前を橘という

橘寺
住所|奈良県高市郡明日香村橘532

Tel|0744-54-2026
時間|09:00〜17:00(受付は16:30まで)
拝観料|350円、高中生300円、小学生150円

 

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text: Noriko Yamaguchi photo: Mitsuyuki Nakajima
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