赤羽まんぢう本舗の「赤羽まんぢう」
福田里香の民芸お菓子巡礼
民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は陶芸家・濱田庄司もよく食べていた、赤羽まんぢう本舗の「赤羽まんぢう」を紹介します。
福田里香(ふくだ・りか)
お菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。8年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中
赤羽といっても場所は、東京北区の赤羽ではありません。陶芸の里として知られる益子町です。1924(大正13)年創業の老舗「赤羽まんぢう本舗」は、民藝運動を牽引した陶芸家・濱田庄司のお気に入りの店でした。
濱田は1920年に、陶芸家で友人のバーナード・リーチと共同で、イギリスのセント・アイヴスに日本伝統の登り窯を築窯。帰国後は益子に自分の窯を築き、終世この地で作陶を続けたのです。
「赤羽まんぢう」は、濱田が地元菓子として愛した逸品でした。赤羽まんぢうの種類は、ユズ、きんとん、茶の3つです。中でも濱田の大好物は、沖縄産の黒糖の皮で包まれた小豆あんの“茶まんぢう”だったと伝わっています。
当時は濱田専用の岡持があり、よく自宅まで出前もしていたそうです。小判形に丸めたほどよい大きさのまんぢうは、素朴な旨みがあり、甘みもあっさり。毎日でもおやつに食べたくなる美味しさです。今年の「益子春の陶器市」は4月27日(土)から5月6日(月)まで。お土産には、赤羽まんぢうをお忘れなく。
赤羽まんぢう本舗
住所|栃木県芳賀郡益子町益子2910-2
Tel|0285-72-3153
営業時間|8:00〜18:00
定休日|月曜
text : Ricca Fukuda photo : Wakana Baba
2019年4月号 特集「ニッポンの新たな時代、どうつくる?」