「Satoyama villa 本陣」で気分はお殿様!
松本藩主ご用達の一軒宿で里山ステイ
江戸時代の大名の旅ってどんなもの? 江戸への長い道中の休息の場「本陣」が古民家宿になって2020年オープン。長野県松本市四賀地区、保福寺町の「Satoyama villa/里山ヴィラ本陣」ならお殿さま気分を味わえる。
宿に学び、文化をつなぐ“異日常”のススメ。
時をさかのぼること江戸時代。徳川家3代将軍家光によって参勤交代が制度化され、各藩は1年おきに将軍に拝謁するため江戸に赴き、また国許へ戻ることが定められていた。旅の道中に藩主や幕府の役人たちが滞在したのが本陣と呼ばれる屋敷。
「Satoyama villa 本陣」は、かつて、松本藩主が松本平から上田へ抜けるために通った旧江戸街道の宿場、保福寺宿に立つ旧本陣小澤家の建物を利用。この宿は有志による再生プロジェクトで生まれた。
到着してまず驚くのは、入り口が3つあること。一番左の屋根付きの入り口はお殿さま専用。真ん中が家臣、家の者は一番小さな入り口から出入りしていたのだそう。母屋の内に入れば、1階中央の「茶の間」の上が約13mもの吹き抜けになっていて、ここでまたビックリ。幾重にも組み合わさるケヤキの梁が歴史の重みを物語っている。
明治時代に火災に遭ったため建物は創建当初とは異なるものの、大正時代の当主が財を尽くして復元し、本格的本陣建築が現代に伝わった。実は10年ほど空き家となっていて存続が危ぶまれた時期があった。貴重な住宅が次代へつながれることになったのは現在、扉ホールディングスCFOを務める望月なつえさんの働きかけがきっかけ。父親が所有者の同級生だったことからその存在を知り、地域の財産を生きたかたちで残そうと奔走。松本の地で旅館「明神館」や蔵を改修したレストラン「ヒカリヤ」などを展開する同ホールディングス代表・齊藤忠政氏との出会いからほかにはない宿の実現に至る。
「地域の人が毎日見ている風景を望みながら、四賀の暮らしを堪能いただければ。非日常ではなく、ゲストの方の毎日とは異なる『異日常』を楽しんでほしいです」(望月さん)
お殿さま気分で座敷に寛ぐ
囲炉裏の暖かな火を
和やかに囲んで
里山の自然を体験するアクティビティ
Satoyama villa 本陣
住所|長野県松本市保福寺町246
Tel|0263-31-2301
客室数|4室
料金|1泊1室4万4000円〜(税・サ込)※食事は別途要相談(2月まではオープン記念価格2万2000円〜)
カード|AMEX、Diners、JCB、MASTER、VISA(事前決済の場合)※現地決済はカード利用不可
IN|15:00 OUT|11:00
アクセス|車/長野自動車道安曇野ICから約20分 電車/JR松本駅からタクシーで約30分
施設|Wi-Fi、洗濯機など
text: Seika Mori photo: Akio Nakamura plan: A2WORKS
2021年2月号「最先端のホテルへ」
≫絶景の温泉を立ち湯で満喫。信州食材をフレンチで堪能「明神館」