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70年眠り続けた 奈良最古の醤油蔵を再興
古民家宿『NIPPONIA 田原本 マルト醤油』

2020.9.23
70年眠り続けた 奈良最古の醤油蔵を再興<br>古民家宿『NIPPONIA 田原本 マルト醤油』

1689年(元禄2年)に創業した奈良県最古の醤油蔵元・マルト醤油が、“泊まれる醤油蔵”古民家ホテル「NIPPONIA 田原本 マルト醤油」を、奈良・田原本町に2020年8月29日(土)オープンした。

“⼤和棟”と呼ばれる奈良伝統建築様式がそのまま残る今となってはとても貴重な屋敷。70年前に一度閉業したが18代目当主 木村浩幸さんが蔵元の再興をかけて、築130~140年の蔵の一部を改修し、宿へと生まれ変わらせた。

醤油を育む。新たな居場所。

蔵元がある田原本は、かつての大和国中にあり日本食文化の原点。地域では、天から稲穂を携え地上に舞い降りた「三穂津姫」を祭る。
食が始まり、命を育むこの地にて、醤油蔵に70年にわたり眠り続けた菌を掘り起こし、都会でもない、田舎でもない新たな穣り(みのり)を生み出すサードプレイスをつくる。それが「NIPPONIA 田原本 マルト醤油」だ。

マルト醤油は、奈良県最古とされる醤油蔵元で、かつては皇室御用達でもあった。しかしながら第二次大戦後の食糧難により醤油原材料の調達が難しくなり70年程前に閉業。時は流れ、2011年再び醤油蔵に火が灯ることになり、閉業を決めた先代から孫へとその想いは受け継がれていった。

蔵に残る古文書を紐解きながら当時携わっていた人々の言葉を紡ぎ、試行錯誤を重ね5年の歳月をかけ醤油もろみ製造の成功に至り、70年ぶりに醤油再興の光が見えた。さらにその想いは、多くの方たちにもう一度マルト醤油を堪能してもらいたく、泊まれる醤油蔵として歩み始めることになった。ここでかつて蔵人達が活気あふれる醸造風景があった姿を残しながら。

築130年の醤油蔵に泊まる

屋敷全体は、奈良固有の“⼤和棟”と呼ばれる奈良伝統建築様式がそのまま残している。客室には、醤油蔵元の使われ方に着想を得た家具や装飾を施しており、かつての醤油蔵元の使われ方を基に設計。部屋名にも、醤油づくりや蔵の歴史にちなんだ「糀」「府庫」などユニークな名前を採用。

木藤|KIFUJI

66㎡ / 定員5名 / ベッド2(セミダブル)・ソファベッド1

代々木村家当主が住んでいた母屋の二階にある、窓から奈良らしい景色が一望でき、季節の移り変わりがとてもよくわかるスイートルーム。ベッドルームからは、南棟の美しい瓦屋根が一望できる。

府庫|FUKO

40㎡ 定員2名 ベッド2(シングル)

府庫とは文書・財物のことで、マルト醤油に関する古文書をはじめ、木村家に代々伝わる古文書を保管していた蔵だった。快適な機能を充実させたリノベーションを加えながらも当時の蔵の良さを感じられる部屋。

醸造や田原本の歴史に触れられる書物のある部屋でゆったりとくつろげる。

碓|USU

客室3 42㎡ 定員5名 ベッド2(ダブル)ソファーベッド1 メゾネットタイプ

南棟を構成する4部屋(碓・糀・穣・初瀬)は、醤油の醸造・運搬に用いられていた空間であり、それぞれ異なるコンセプトで成り立っている。部屋名の碓は足や水力で小麦を粉末状にするための道具で、醤油づくりには欠かせないもの。

二階のベッドルームでは、蔵の美しい木組みが間近で見ることができる。当時の大工職人の技を踏襲しながら現代の快適な空間へとリノベーションされた部屋。

糀|KOUJI

50㎡ 定員3名 ベッド1(キング)ソファーベッド1 メゾネットタイプ

糀は、醤油醸造に欠かせない麹に因んだものであり、米に花は日本でつくられた漢字で、菌(ニホンコウジカビ)の花の咲いている様子を表している。

この部屋は、数年前から、マルト醤油の現当主が70年ぶりの醤油醸造復活のための醸造場所として長年用いていた部屋であり、最も色濃く、醤油の存在を感じていただける部屋になっている。泊まれる醤油蔵としての趣を感じることのできる、ゆったりとしたお部屋。

穣|MINORI

49㎡ 定員3名 ベッド2(シングル)ソファーベッド1 メゾネットタイプ

南棟は、元々一階が原材料庫、二階は醸造職人が寝泊まりをしていた蔵。部屋名の穣は、大和川周辺の肥沃な大地から収穫される原材料がマルト醤油づくりを支えてきたことに由来。

ベッドルームには、小屋組みの迫力を感じられる梁が間近に迫る。当時の大工職人の技を眺めながら眠りにつける贅沢な部屋。

初瀬|HASE

64㎡ 定員5名 ベッド2(ダブル)ソファーベッド1 メゾネットタイプ

この部屋の横には初瀬街道が通り、昔は初瀬川(大和川)を利用し魚梁船(やなぶね)で醤油や酒等が出荷されていたという歴史を感じられる。

是非、二階の窓からその景色をみて想いを馳せてみてください。当時の蔵の趣を感じることのできる、ゆったりとした部屋。

蔵人|KURABITO

40㎡ 定員3名 ベッド1(クイーンサイズ)

創業より奈良盆地の様々な所から多くの人々が醸造に携わりマルト醤油蔵元を守り継いできた。内庭に面した窓から作業の様子を見守ることができたその象徴的な建具がこの屋敷のシンボルの一つでもある。まさに、醸造作業に明け暮れていた蔵人たちが生活していた空間を肌で感じられる部屋。

地域を丸ごと醸して、いただく食事

古民家ホテル「NIPPONIA 田原本 マルト醤油」のオープンにあわせて、伝統の古文書を読み解き、70年ぶりに地元原材料にこだわって造られた復刻醤油を使った食事メニューも楽しめる。

遺跡、神社仏閣を巡りながら、大和原風景を望む

宿周辺の田原本エリアは、日本最古とされる大神神社の別宮・村屋神社や弥生時代の遺跡など重要文化財が数多く存在する。宿泊時には田原本の自然、田畑に囲まれながら散歩をし、ゆっくりとした時間を過ごすのもおすすめ。

ご宿泊者には、かつて盛んであった大神神社と村屋神社の両参りのために制作した御朱印帳や、地域の周遊マップなどをプレゼント。

豊かな地域資源が色濃く残るこの田原本で、日本の歴史を感じながら「NIPPONIA 田原本 マルト醤油」で素敵な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

NIPPONIA 田原本 マルト醤油
住所|奈良県磯城郡田原本町大字伊与戸170
標準的な部屋設備|ヒノキ風呂・レインシャワー、温水洗浄トイレ、冷暖房完備(全室床暖房有)
インターネット|無料Wi-Fi
https://maruto-shoyu.co.jp/


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