FOOD

老舗黒豆店。丹波黒豆「小田垣商店」本店がリニューアルオープン

2021.4.24
老舗黒豆店。丹波黒豆「小田垣商店」本店がリニューアルオープン
小田垣商店 ショップ 写真 森山雅智 / 設計 新素材研究所 杉本博司+榊田倫之

黒豆の老舗「小田垣商店」が本店の大規模改修工事を経て、2021年4月14日(水)にリニューアルオープンした。

丹波黒豆「小田垣商店」
享保十九年、小田垣六左衛門によって丹波篠山市立町で創業。明治の始まりと共に現在の前身となる種物商へと転業したことから丹波黒豆・小田垣商店として歩んできた。古くから栽培されてきた黒豆を先人の努力により幾多の選抜を繰リ返し、今日の大粒で美味な黒豆に育った。

ふっくら、もっちり。
丹波黒はひと味ちがう

丹波黒は兵庫県丹波地方発祥の黒大豆の品種名。粒は大きく形は丸く、食感はふっくら、もっちり口当たりの良さが特徴で、一際甘く風味豊かなとてもおいしい黒大豆。その秘密は長い生育期間にあり、一般的な黒大豆の開花から成熟するまでの日数が約70日であるのに対し、丹波黒は約100日と長く、30日近くも多く養分を蓄積しながら成熟し、粒が大きく成長する。

多くの料亭や家庭で新春を祝う料理に使われる丹波黒は、一年の始まりに穏やかな幸せを運んでくれるだけでなく、普段の食事やお茶の時間もふっくらと豊かに変えてくれる。

建築デザイン

石庭「豆道」 空撮 写真 森山雅智 / 設計 新素材研究所 杉本博司+榊田倫之

小田垣商店本社敷地内には、江戸時代後期から大正時代初期の間に建てられた10棟もの建物が国の登録有形文化財として登録されており、うち5棟を杉本博司氏と榊田倫之氏が主宰する新素材研究所が改修、さらに杉本博司が施設中央にある庭園を再構成した。

新しいものを足すという発想ではなく、建築様式に倣った方法で耐震補強を進めながらも、過去に戻っていく修復のような形で取り組んだ。極論を言えば、店舗什器などを全て取り除いたら大正時代に時間が巻き戻されるような、普遍的かつ、存在感を感じさせない空間。

インテリアは、新素材研究所らしい素材の扱い方や、緊張感あるディテール、美しい意匠が特徴。民藝的な風情や用の美を備えた建築に対して、家具や備品などは明確なコントラストとして表現。

小田垣商店 ショップ

小田垣商店 エントランス 写真 森山雅智 / 設計 新素材研究所 杉本博司+榊田倫之

「大玉丹波黒大豆」「丹波大納言小豆」「丹波の黒さや」に代表される優れた素材をはじめ、こだわりの素材を原料とした菓子や黒豆染めの雑貨等、また丹波篠山地方で受け継がれる工芸品を展開するショップ。古い棗形手水鉢(ちょうずばち)に盛られた黒豆が、目も心も楽しませてくれる空間。

営業時間|9:30‒17:30
定休日|年末年始
※臨時休業は小田垣商店サイト[https://www.odagaki.co.jp/]にて確認ください

カフェ「小田垣豆堂」

カフェ「小田垣豆堂」 写真 森山雅智 / 設計 新素材研究所 杉本博司+榊田倫之

黒豆の老舗が新たに設えるカフェは、「豆堂(まめどう)」と記された杉本博司揮毫の行灯と、黒豆茶の焙煎の香りで迎えてくれる。ここで供する黒豆茶は、豆のもつ芳ばしさと甘さを浅い焙煎で引き出し、これを深煎り焙煎した黒豆茶へ注ぎブレンドする、小田垣商店ならではの一品。この地で味わうべき丹波栗や黒豆のスイーツ、篠山牛ローストビーフのサンドイッチなどもお茶とともに用意している。

空間へ目を向けると、カフェの先、無垢の杉材のカウンター越しには杉本氏が手がけた石庭「豆道」を眺めることができ、改修における見どころのひとつと言える。また、カフェでは、建築、美術、食や旅などをテーマにした新刊書籍、古書を販売している。

営業時間|10:00‒16:00 [L.O.15:30]
定休日|木曜日[祝日の場合は翌平日休業]、年末年始
※臨時休業は小田垣商店サイト[https://www.odagaki.co.jp/]にて確認ください(2021年4月28日は臨時休業)
席数|34席[個室:2室]

Shinsoken + archipelago  写真 森山雅智 / 設計 新素材研究所 杉本博司+榊田倫之

小田垣商店の改修を手がけた「新素材研究所」と丹波篠山に拠点を置くセレクトショップ「archipelagohttp://archipelago.me」がコラボレーションし、5月9日(日)まで期間限定のコンセプトショップを展開。

小田垣商店
住所|兵庫県丹波篠山市立町19番地
Tel|079-552-0011
※臨時休業は小田垣商店サイトにて確認ください
https://www.odagaki.co.jp/


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