和食の味付けがキマる日本の食材。
調味料① 醤油編
こだわりの逸品を使えば、和食はもっと美味しくなる。本誌に馴染みの深いグルメ通な方々を監修に迎え、本当に美味しいと思う、和食の食材を厳選した《和食の腕を上げる日本の食材》。第5回は素材のよさを引き立たせ美味しさを左右する調味料、その中で醤油を紹介する。お取り寄せも可能なので、この機会にぜひお試しあれ。
醤油
松本栄文さん SELECT
これ一本で出汁要らず、小麦でつくる伝統調味料
「日東醸造」の足助仕込三河しろたまり
愛知県産小麦と伊豆大島の海塩「海の精」で天然醸造。「旨みが強く、水で薄めるだけでスープになる。皆さんに知ってほしい調味料のひとつです」。
小倉ヒラクさん SELECT
塩と大豆が融和美濃のたまり醤油
「たまりや 山川醸造」の伝承美濃地溜 みのび
「木桶のみでつくる超贅沢品。あっさりとした味なので普通の醤油としても◎」。地元産大豆と塩、少しの小麦を木桶で2年熟成。少量でもコクが出る一品。
松本栄文さん SELECT
木桶づくりが生む味で野菜が旨くなる
「丸中醤油」の丸中醸造醤油
滋賀湖東で200年以上続く濃口醤油。「野菜の旨みが引き立つ。いつもつくっているのは菜っ葉とゴマ、醤油だけのゴマ和え。いつまでも口に残る濃厚さがいいんです」。
内容量:720㎖
価格:1555円
TEL:0749-37-2118
注文方法:Tel、Fax(0749-37-4363)、オンラインショップ
URL:www.marunaka-shouyu.com
松本栄文さん SELECT
丹波黒豆が決め手コクがあるのにキレがいい
「ヤマロク醤油」の菊醤
「魚に合う醤油とは、コク、酸、キレの三拍子」。旨みの強い丹波黒豆を使用し、あっさりキレのある甘口が特徴。全国でも稀少な、木桶づくりならではの味がいい。
石村由紀子さん SELECT
小豆島生まれ醤油蔵の代表作
「ヤマロク醤油」の鶴醤
深いコクとまろやかさが秀逸な4年熟成させてつくられるヤマロクを代表する醤油。「土壁の蔵を見学すると大きな杉樽が。風土に寄り添い、代々守り継いだ味です」。
野村友里さん SELECT
濃厚で香り高く発酵の力が感じられる一本
「大久保醸造店」の甘露醤油
長期熟成の濃い香りとコクの再仕込醤油。刺身にも、ワサビ醤油にすれば肉との相性もいい甘みが特徴。「大豆、小麦、塩、米だけでこんなに美味しいんだと驚きます」。
内容量;360㎖
価格:864円
TEL:0263-32-3154
注文方法:Fax(0263-35-2488)
小倉ヒラクさん SELECT
旨みが凝縮しきった濃厚たまり醤油
「東海醸造」の底引きたまり
大豆と塩を3年半熟成させ、木桶の底から滴り落ちてできた、たまり醤油。「旨みが凝縮し、醤油とは思えないフルーティで贅沢な味。穴子の照り焼きにおすすめです」。
横川正紀さん SELECT
地元産にこだわり素材をたてる醤油
「梶田商店」の天然丸大豆醤油 淡口
「愛媛県産大豆と小麦、鳴門の塩。本物の美味しさを追求する梶田さんの醤油は、香りもよく旨みもあって絶品です」。煮物、焼き物など全般に使える万能醤油。
野村友里さん SELECT
料理家からも信頼される透き通った薄口醤油
「大久保醸造店」の紫大尽
澄んだ高貴な香りのする薄口醤油。「透明感のある紫色は、光が透けて見えるほど澄んでいます。味わいは強過ぎず、深みがあるので、料理家にも愛用者が多いです」。
内容量;360㎖
価格:475円
TEL:0263-32-3154
注文方法:Fax(0263-35-2488)
※商品については各メーカーへお問い合わせください。
SELECTOR
「くるみの木」
主宰 石村由紀子さん
香川県高松市生まれ。奈良県ではじめたカフェ・雑貨店「くるみの木」を筆頭に、観光案内所、食堂、レストランからなる複合施設「鹿の舟」などをそれぞれプロデュースし、運営。また、全国にある地域活性化拠点や 、商業施設のプロデュースも手掛けている
ウェルカム
代表 横川正紀さん
ウェルカム創業以来、食とデザインの軸で、「DELUCA & DEAN」や「CIBONE」、「TODAYʼS SPECIAL」など良質なライフスタイルを提案するブランドを展開。リアルチャンネルに加え、商業施設やホテルのプロデュース、街づくりや地域活性のコミュニティづくりも行う
日本食文化会議
理事長 松本栄文さん
花冠陽明庵主人、作家。(社)日本食文化会議理事長。著書「日本料理と天皇」(枻出版社)は、料理本のアカデミー賞と称されるグルマン世界料理本大賞で最高位「殿堂」(2015 )に輝き、続く創設20周年記念祭典「創設最高賞」をW受賞。ほか連載、執筆、著書多数
クリエイティブ
ディレクター 戸村亜紀さん
FOLKHOOD代表、クリエイティブディレクター。循環に特化した事業開発や、技術・文化・経験・時間のフェアトレードがテーマのMade with Japanプロジェクトを手掛け、日本文化の海外向け書籍出版など国内外でアワードを受賞している。
http://folkhood.com
発酵デザイナー
小倉ヒラクさん
山梨県甲州市を拠点に全国の醸造家との商品開発、ワークショップなどを行う。著書に「発酵文化人類学」(木楽舎)、「日本発酵紀行」(D & DEPARTMENT)。4月には東京・下北沢にできる新たな商業施設にて店舗「発酵デパートメント」をオープン予定
料理人/eatrip主宰
野村友里さん
ケータリングフード演出、雑誌連載やラジオ番組、イベント企画・プロデュースなど、食の可能性を多岐にわたって表現。2012年に「restaurant eatrip」(原宿)、2019年に「eatrip soil」(表参道)を開店。著書に「Tokyo Eatrip」(講談社)、「TASTY OF LIFE」(青幻舎)など
文=相磯法子、新居奈津 写真=野中弥真人、遠藤麻美