FOOD

発酵食品名鑑 ①
『珍味編』

2019.11.25
発酵食品名鑑 ①<br class=“none” /> <b>『珍味編』</b><br class=“none” />

全国各地に根づく発酵食品の魅力を伝えるべく、発酵デザイナー・小倉ヒラクさんを監修者に迎え、ヒラクさんが本当に美味しいと思う発酵食品だけを厳選!

今回は、その地域ならではの食文化が根付いた、変わり種の発酵食品をご紹介。一度食べたら病みつき、ごはんのお供にもぴったりな一品揃いです。

小倉ヒラクさん
発酵デザイナー。山梨県甲州市を拠点に全国の醸造家との商品開発、ワークショップなどを行う。著書に『日本発酵紀行』(D&DEPARTMENT PROJECT)などがある。

「あら与」のふぐの子ぬか漬/石川県

能登沖で獲れたゴマフグの卵巣を約3年漬け込んだ珍味。十分な致死量をもつフグの猛毒を無毒化するメカニズムは解明されていないが、古くからこの地に伝わる、ほかに類を見ない独自の技術。プチプチとした食感と濃厚なチーズにも似た風味で、酒の肴、お茶漬け、パスタの具にも◎

「和食の発酵食品のなかでも最大級の変わり種。ふぐの猛毒をまさかの微生物で解毒するという、発酵食品の集大成ともいえる逸品です。味が濃いめなので、僕はお茶漬けにして食べるのが好きです。」

「あら与」のふぐの子ぬか漬
価格:1296円/1枚
Tel:076-278-3370
注文方法:Tel、インターネット
https://shop.arayo.co.jp

海藻を使った発酵食品
「戸村フーズ」のむかでのり/宮崎県

日南海岸でしか採れないテングサを何度も天日干しし、煮だして寒天状に練り上げ、固まったら味噌に漬け込む、宮崎県南部に伝わる味。プルンとした食感の楽しさ、磯の香り、味噌の風味が後を引く

「宮崎県民でも知らない人が多いという、むかでのり。日南特有の食品ですが、どうやってできたかは不明なんですが、うまいです!」

「戸村フーズ」のむかでのり
価格:972円/450g
Tel:0987-23-1882
注文方法:Telにて要問い合わせ

琉球王朝時代から伝わる珍味
「琉球うりずん物産」の豆腐よう/沖縄

中国の「腐乳」を参考につくられた、琉球王朝時代の宮廷料理。島豆腐、泡盛、塩麹などを原料に、3〜6カ月発酵熟成させる。ネットリとした舌触りと、チーズとウニを足したような、不思議で濃厚な味わいが癖になる

「琉球王朝のオリジナルレシピを発掘してできた逸品。沖縄のお土産としてもおすすめで、中国の腐乳(フールー)の味わいに似てる!」

「琉球うりずん物産」の豆腐よう
価格:842円/3個
Tel:098-897-3767
注文方法:Tel、インターネット
https://tofuyo.co.jp

鰹節の原型ともいわれる塩蔵品
「カネサ鰹節商店」の潮かつお切り身/静岡県 西伊豆

かつて鰹漁が盛んだった西伊豆に伝わる縁起物。新年を祝う郷土食のひとつで、大漁・商売繁盛を願って正月には神棚に飾られる。原材料は鰹と塩のみ。フライパンで焼いて酒の肴やお茶漬けに。塩辛いのでアンチョビの代わりとしても◎

「1000年以上の歴史をもつ鰹節の原型。鰹の生ハムです。薄くカットして焼いてそれをお湯でといて、生ハムスープにするのが好きです。」

「カネサ鰹節商店」の潮かつお切り身
価格:540円/切り身75g
Tel:0558-53-0016
注文方法:Tel、インターネット
https://katsubushi.com

ファン多し!料理の名引き立て役
「かんずり」の生かんずり/新潟県

塩漬、雪ざらし、熟成に3年と、足掛け4年の歳月をかけてつくられる、新潟が誇る発酵香辛料。中でも生かんずりは、こだわりの原料を約6年かけて仕込んだ逸品。発酵止めをしない「生」の旨さをお試しあれ。鍋、雑炊、おでんなどのお供に

「スパイスを発酵させるという、日本では珍しい食品。地元の人はよくラーメンに入れて食べてますね。それがまた美味しいんですよ。」

「かんずり」の生かんずり
価格:1080円/85g
Tel:0255-72-3813
注文方法:Tel、インターネット
http://kanzuri.com

将軍家が絶賛した、伝統の珍味
「京吉」のするめいか黒作り/富山県

富山に伝わる郷土食で、その昔加賀藩主が将軍家に献上し、絶賛されたという文献が残っているほど。丁寧に処理したスルメイカを、塩、肝、イカ墨と合わせて熟成。甘み、旨み、塩味、食感のバランスが最高の逸品

「北陸屈指の知られざる名品。塩辛よりもまろやか、エキゾチックな旨みがあって北陸のキリっとした日本酒や赤ワインにも合います。」

「京吉」のするめいか黒作り
価格:850円/250g
Tel:0766-55-3498
注文方法:Tel、インターネット
http://kyoukichi.co.jp/

日本は、珍味、醤油、味噌、みりん、酢、漬物、納豆など独自の発酵食文化を生み出しています。今回紹介した商品はお取り寄せも可能なので、ぜひお試しあれ!

監修=小倉ヒラク 文=小倉ヒラク、林 貴代子、新居奈津、相磯法子、写真=岩堀和彦、野中弥真人

Discover Japan 2019年11月号「すごいぜ!発酵」の一部を抜粋して掲載しております。

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