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北海道《礼文島》
大気が生み出す絶景にウミネコの啼き声が響く
島の達人・加藤庸二さんが選ぶ
大きく、深呼吸したくなる5つの島旅

2023.10.13
北海道《礼文島》<br>大気が生み出す絶景にウミネコの啼き声が響く<br><small>島の達人・加藤庸二さんが選ぶ<br>大きく、深呼吸したくなる5つの島旅</small>

大小無数の島々で構成されている島国ニッポン。島へ降り立てば、ゆるやかに流れる島時間に癒され、自然のもつ美しさや力強さを全身で体感できる。いままで見たことがないほど深遠な自然、大地の鼓動を感じさせる景色との出合い。未知なる祭りやその島ならではの伝統の食文化。そんな島々で大きく、深呼吸したくなる5つの島旅から、今回は、大気が生み出す絶景にウミネコの啼き声が響く、北海道「礼文島」を写真家・加藤庸二さんが案内する。

文・写真=加藤庸二(かとう・ようじ)
写真家。上陸できる国内有人島430余島を26年かけて1996年に渡り終え、現在は3順目にトライ中。主な著書は『日本百名島の旅』(実業之日本社)、『島の博物事典』(成山堂書店)など

産卵のためやってくるウミネコ
4月下旬から5月はウミネコの産卵期。営巣地から飛び立った親鳥は、6月のヒナの独り立ちまで餌取りに忙しい

北海道最北の島、いや有人島の中ではこの島が日本最北端だ。夏の礼文島は最高の場面を見せてくれる。それは強さと輝きを増す太陽と清浄な大気が、私たちの前に自然というものの姿を際立たせてくれるからだ。
 
最北限の標識があるスコトン岬のパノラマ風景も必見だが、香深港から歩いて行ける「桃台猫台」という展望ポイントが人気だ。桃のかたちの桃岩と、座ったネコの後ろ姿に見えるかわいらしい猫岩の景勝地。
 
船が香深港に着くとウミネコのミャー、ミャーという啼き声に迎えられる。どこへ行ってもこの啼き声。しかし、帰った後も耳の奥に「夏の礼文」として印象深く残るのだ。
 
高山植物——。礼文は高緯度のため、本土の2000m級でしか見られない高山植物が咲いている。その多くの植物たち、たとえばレブンシオガマ、エゾノハクサンイチゲなどがスコトン岬から澄海岬に歩くと見られる。南部の礼文林道ではエーデルワイスの仲間のレブンウスユキソウにも出合える。

ウミネコが飛翔する景勝地
スコトン岬にほど近いゴロタ岬はウミネコたちのテリトリー。写真は地元漁師のウミネコ繁殖観察に同行したときのもの

<加藤さん流・礼文島のめぐり方>
◎桃台猫台で島の自然美を堪能
◎礼文林道でレブンウスユキソウを探す
◎夏は捕れたてのウニを堪能する

夏はウニ漁の季節で、6〜8月になると例年通りであるならば、島内の食事ができるところでは、どこでも生ウニ丼を食べることができる

<island data>
人口|2296人
面積|81.33㎢
周囲|72㎞
※2023年6月現在
問い合わせ|礼文島観光案内所(Tel|0163-86-2655)
 
<access>
稚内港からフェリーで香深(かふか)港まで約1時間55分、1日2〜3便運航/利尻島鴛泊(おしどまり)港から香深港まで約45分、1日1〜2便運航
フェリー問い合わせ先|ハートランドフェリー(www.heartlandferry.jp

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山形県《飛島》
 
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島の達人・加藤庸二さんが選ぶ
大きく、深呼吸したくなる5つの島旅

1|北海道《礼文島》
2|山形県《飛鳥》
3|東京都《神津島》
4|長崎県《対馬島》
5|鹿児島県《与論島》

text, photo: Yoji Kato
Discover Japan 2023年8月号「夏の聖地めぐり。」

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