鹿児島県《与論島》
海も祭りも南国文化と自然の彩り
島の達人・加藤庸二さんが選ぶ
大きく、深呼吸したくなる5つの島旅
大小無数の島々で構成されている島国ニッポン。島へ降り立てば、ゆるやかに流れる島時間に癒され、自然のもつ美しさや力強さを全身で体感できる。いままで見たことがないほど深遠な自然、大地の鼓動を感じさせる景色との出合い。未知なる祭りやその島ならではの伝統の食文化。そんな島々で大きく、深呼吸したくなる5つの島旅から、最後は、海も祭りも南国文化と自然の彩りを感じる、鹿児島県「与論島」を写真家・加藤庸二さんが案内する。
誰もが、こんなに遠くまで抜ける青空と澄んだ海があるのかと感激するだろう。立っている白い浜辺から思わず海に駆け出したくなる透明な海。これこそ深呼吸したくなる景色だ。
与論島にはいくつもの美しいビーチがある。大潮の干潮時に、幻のごとく美しい砂浜「百合ヶ浜」が現れる大金久海岸。ほかにも皆田海岸、寺崎海岸、品覇海岸、宇勝海岸、ウドノス海岸、海岸など島の周りは小さいものまで入れたら数え切れないほどのビーチがあるのだ。
与論島は鹿児島奄美群島の最南端の島。港からは沖縄本島が間近に見える県境の島である。だからこそ、昔から琉球文化の影響を強く受けてきた。そんな名残のひとつが伝統の祭りに受け継がれている。「与論十五夜踊り」だ。年3回も行われるこの祭りは雨乞いにルーツがあるといわれ、踊りの中身は大和と琉球で構成されている。いま使われている言語も地元方言と大和言葉と沖縄言葉が入り混じり、やはりこの島は沖縄文化圏でもあると感じられる。
起伏のない島ではあるが、驚くなかれ、標高94mの場所に与論城跡がある。ここから平地を見下ろす景色は実に素晴らしい。そして与論島の民俗を少しばかりひも解くつもりで与論民俗村へ行ってみるといいだろう。島で昔から使われてきた数々の民具を見ながら昔の話を聞くこともできる。
大事な〆は食である。茶花メインストリートや、中心部から少し離れる場所には与論料理を食べられる店がある。与論の黒糖焼酎「島有泉」、塩ゆでのイモガイ、もずくそばなどが定番料理で、いずれも外すことはできない。
<加藤さん流・与論島のめぐり方>
◎大金久海岸をビーチウォーク
◎茶花の町で本格地元料理を食べる
◎与論民俗村で民具と歴史を学ぶ
<island data>
人口|5115人
面積|20.58㎢
周囲|23.7㎞
※2023年6月現在
問い合わせ|ヨロン島観光協会(Tel|0997-97-5151)
<access>
飛行機/那覇空港から与論空港まで約40分、鹿児島空港から与論空港まで約1時間40分、奄美空港から与論空港まで約40分
フェリー/那覇港から与論港まで約4時間50分、沖縄・本部港から与論港まで約2時間30分
フェリー問い合わせ先|マルエーフェリー(www.aline-ferry.com)、マリックスライン(https://marixline.com)
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text, photo: Yoji Kato
Discover Japan 2023年8月号「夏の聖地めぐり。」