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東京都《神津島》
水神さまゆかりの豊かな水の島
島の達人・加藤庸二さんが選ぶ
大きく、深呼吸したくなる5つの島旅

2023.10.13
東京都《神津島》<br>水神さまゆかりの豊かな水の島<br><small>島の達人・加藤庸二さんが選ぶ<br>大きく、深呼吸したくなる5つの島旅</small>

大小無数の島々で構成されている島国ニッポン。島へ降り立てば、ゆるやかに流れる島時間に癒され、自然のもつ美しさや力強さを全身で体感できる。いままで見たことがないほど深遠な自然、大地の鼓動を感じさせる景色との出合い。未知なる祭りやその島ならではの伝統の食文化。そんな島々で大きく、深呼吸したくなる5つの島旅から、今回は、水神さまゆかりの豊かな水の島、東京都「神津島」を写真家・加藤庸二さんが案内する。

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真っ白な急崖を見せる天上山
7島の神さまが山頂に集まり、会議をしたという天上山。緑の木々も多いのだが、山体の大部分は白くまぶしい岩石で、もろく崩れる場所も

飛行機で行っても定期船で行っても、この島が見えたときの山相の白さには驚く。572mの天上山は838(承和5)年の噴火で火砕丘を形成。その後、溶岩ドームをつくって鎮まったという。白い山相とザラザラとした山肌は、そのときの噴火が由来なのだ。
 
鎌倉時代末期に完成したといわれる『三宅記』には、神津島の由来となっている“水配り伝説”と呼ばれる神話がある。三島大明神がほかの神さまと「島焼き」を行い、7日7晩で7の島をつくり出す。最初に熱海沖の初島、2番目に神津島がつくり出され、あとの5つをつくる前に神さまを集めて会議をした。まず神さまが集まったこの島を神集島(神津島)として、その山頂(天上山)に水をたたえる池ができたところで、その水を7島でどうやって分けるかの討議をする。なかなかまとまらないので、翌朝天上山に早く着いた神さまから順番に水を分けることに。さて、翌朝一番は御蔵島の神さまがやって来る。次に新島、八丈島、三宅島、大島と続き、最後は大きく出遅れた利島の神さまで、配る水はもうほとんど残っていなかった。怒った利島の神さまは池に入り大暴れし、飛び散った水が神津島の湧き水になったという。
 
そんな天上山へはトレッキングで、神話の舞台となった池も見ることができる。翌日は赤崎にある木製遊歩道を歩き、自然にできた入り江の海に入って水を身体いっぱい感じながら海遊びするのもよいだろう。

天上山山頂に現れる伝説の池
山頂は灌木に覆われ、緑豊かな世界が広がる。水をたたえる不動池は7神が集まり会議をした場所ともいわれている

<加藤さん流・神津島のめぐり方>
◎トレッキングで天上山山頂へ
◎スノーケリングや海遊びは赤崎
◎食堂でキンメダイの煮付を食べる

伊豆諸島や伊豆半島で捕れるキンメダイ。港前の食堂で提供される本場のキンメダイの煮付定食。2日続けて食べても飽きない

<island data>
人口|1802人
面積|18.58㎢
周囲|22㎞
※2023年6月現在
問い合わせ|神津島観光協会(Tel|04992-8-0321)
 
<access>
飛行機/調布飛行場から新中央航空にて約45分
飛行機問い合わせ先|新中央航空(www.central-air.co.jp
 
船/東京・竹芝桟橋から高速ジェット船で約3時間45分、熱海港から約1時間55分、下田港から約2時間20分
船問い合わせ先|東海汽船(www.tokaikisen.co.jp)、神新汽船(http://shinshin-kisen.jp

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長崎県「対馬島」
 
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大きく、深呼吸したくなる5つの島旅

1|北海道《礼文島》
2|山形県《飛鳥》
3|東京都《神津島》
4|長崎県《対馬島》
5|鹿児島県《与論島》

text, photo: Yoji Kato
Discover Japan 2023年8月号「夏の聖地めぐり。」

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