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山形県《飛島》
島を歩けば溶岩の岩山に息をのむ
島の達人・加藤庸二さんが選ぶ
大きく、深呼吸したくなる5つの島旅

2023.10.13
山形県《飛島》<br>島を歩けば溶岩の岩山に息をのむ<br><small>島の達人・加藤庸二さんが選ぶ<br>大きく、深呼吸したくなる5つの島旅</small>

大小無数の島々で構成されている島国ニッポン。島へ降り立てば、ゆるやかに流れる島時間に癒され、自然のもつ美しさや力強さを全身で体感できる。いままで見たことがないほど深遠な自然、大地の鼓動を感じさせる景色との出合い。未知なる祭りやその島ならではの伝統の食文化。そんな島々で大きく、深呼吸したくなる5つの島旅から、今回は、島を歩けば溶岩の岩山に息をのむ、山形県「飛島」を写真家・加藤庸二さんが案内する。

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海岸に生えるスカシユリ
ユリ科の多年草で、飛島の人々はイワユリとも呼ぶ。5〜7月にかけて、岩場の崖などでオレンジ色の花をつける

東北地方にはもともと有人島が少ない。宮城県には集中して存在するが、岩手、青森、秋田県には皆無。山形県に、この飛島が一島あるだけだ。その稀少な一島が実におもしろい。いや、すごいと言ったほうがいい。1000万年以上前に噴き出た溶岩が、粘り気があったせいか、ムクムクと出はじめたところで冷えて固まってしまったのだ。こんな珍しい奇岩が見られるのは「舘岩」とその周辺でしかない。
 
ジオパークは造語で、訳すと大地の公園。これに認定されている飛島は、まずそこから見はじめるのが常道。小松浜海水浴場から海岸遊歩道を歩くと、溶岩を薄く重ねてミルフィーユにしたような岩や、褶曲のような流線形の岩肌、海に切れ込んだクレバスのような岩肌など、見慣れぬ景観が新鮮だ。
 
海岸から離れてその先をずっと行くと荒崎海岸がある。この島固有のトビシマカンゾウは7月初旬で咲き終わるが、花がなくても木道を歩いて海の広がりを見るだけでも心地よいのだ。

島でジオパークを感じる
海岸遊歩道はすれ違うのがやっとの道幅の場所が多い。岩場の観察や遠くに目をやるときは、一度止まって見るのが安全

<加藤さん流・飛島のめぐり方>
◎ジオパーク歩きはまず舘岩から
◎レンタサイクルでタブノキ群落へ
◎荒崎海岸で日本海の大海原を見る

船が着く勝浦地区の「沢口旅館」は昔から続く旅館を若い人がバトンパスされ経営している。食事は豪華で宿泊代は良心的

<island data>
人口|167人
面積|2.75㎢
周囲|10.2㎞
※2023年6月現在
問い合わせ|酒田市交流観光課(Tel|0234-26-5759)
 
<access>
酒田港から定期船で飛島港まで約1時間15分、通常1便、ハイシーズン1〜2便
定期船問い合わせ先|定期船とびしま(www.city.sakata.lg.jp/sangyo/kotsu/teikisen

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東京都「神津島」
 
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島の達人・加藤庸二さんが選ぶ
大きく、深呼吸したくなる5つの島旅

1|北海道《礼文島》
2|山形県《飛鳥》
3|東京都《神津島》
4|長崎県《対馬島》
5|鹿児島県《与論島》

text, photo: Yoji Kato
Discover Japan 2023年8月号「夏の聖地めぐり。」

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