浅草《今戸神社》
巨大な招き猫と生きる招き猫が愛らしい
|湘南乃風 SHOCK EYEさんと聖地巡礼
全国各地の神社をめぐり、その魅力を発信するSHOCK EYE(ショック アイ)さんと東京を訪れ、人生に通じる神社・聖地めぐりの本質的な魅力をうかがった。今回は、今戸神社の本殿にある巨大な招き猫と、住所が「今戸1-5-22(いいご夫婦)」と縁起のよい語呂合わせで夫婦円満の聖地としても名高い、浅草七福神のひとつ福禄寿も祀られている「浅草 今戸神社」を訪れた。
SHOCK EYEさん
RED RICE、若旦那、HAN-KUN と「湘南乃風」を結成。 日本を代表するレゲエアーティストとして幅広い世代に支持されている。20周年記念アルバム『湘南乃風〜20th Anniversary BEST〜』がユニバーサルミュージックより発売中
「誰かのお守りのように、
皆を笑顔にしたいんです」
日本を代表するレゲエアーティストグループ、湘南乃風。そのメンバーのSHOCK EYEさんは神社・聖地めぐりをライフワークにしている。そのきっかけは、番組で人気占い師に「数万人に一人の強運の持ち主」と称されたこと。それ以来、〝歩くパワースポット〟と呼ばれ、SHOCK EYEさんの写真を待ち受けにすると運気が上がるといううわさが広まった。
「最初は恐れ多かったですが、多くの方々から求めていただけるようになって、自分なりにその役目を引き受けて、皆さんが笑顔になれるように背中を押す存在になろうと思い、神社参拝をはじめました」
それからは、まず家に神棚を祀り、忙しい合間を縫って毎日欠かさず住まう地域の氏神さまにお参りすることからはじめた。
「もともと神社は、心地よい場所に建てられた地域の人たちのよりどころ。悠久の時を感じながら清澄な空気の中で手を合わせていると、心が晴れやかに整い、自然と〝感謝〟の気持ちがわいてくる感覚が新鮮でした」
それ以来、全国各地の神社や聖地をめぐり、自身がミラーレス一眼で撮影した写真や書籍など、さまざまなメディアでその魅力を発信しているSHOCK EYEさんが、日々実感している神社参拝の魅力とは——。
「自分と向き合えることです。現代社会に生きていると、人と比較し他人の目が気になって、どうしても価値観が〝他人軸〟になってしまう。ただ、一人で神社を訪れて、丁寧な所作で参拝する行為は、ほかの誰に言われたわけでもなく自分が考えたからしていること。つまり〝自分軸〟になり、そこできちんと感謝の気持ちを伝えられる自分を自負できるようになります」
そして、さまざまな神社をめぐっていくうちに日本という国をより好きになったという。
「日本人としてのアイデンティティを知る上で、神社はきっかけを与えてくれる一番身近な存在なんです」
そう話すSHOCK EYEさんと、今回まず訪れたのが今戸神社だ。浅草の喧騒から少し離れた場所に佇む今戸神社の創建は、1063(康平6)年。前九年の役に勝利した源頼義が京都の石清水八幡宮を勧請し、創建したと伝わる。御祭神は伊弉諾尊と伊弉冉尊。日本で最初に夫婦となり、結婚の神とされていることから良縁、恋愛成就にご利益があるとされ、女性を中心に全国各地から多くの参拝者が訪れている。また、江戸時代にこの界隈でつくられた今戸焼の猫の人形が大流行し、全国の招き猫の原型になったことから招き猫発祥の地としても知られる。
「僕が〝歩くパワースポット〟と呼ばれるようになってから招き猫に親近感を抱くようになっていて。雑誌の撮影ではじめて訪れたとき、宮司夫人の市野惠子さんがすごく気さくに接してくださり、心が安らぎました。僕にとって今戸神社は『神社って身近で、もっと気軽に訪れていいんだ』と気づかせていただいた大切な場所です」
そのご縁があって以来、仕事だけでなくプライベートでも幾度となくお参りに訪れているとか。
晴れ渡る空の下、境内の各所に配された招き猫に見守られながら、静かに手を合わせる。SHOCK EYEさんが神社を参拝するときは、なるべく清らかな空気が漂う午前中で、はじめて訪れる神社では御朱印をいただき、参拝をしてから写真を撮影する。それ以外に決まりごとはつくっていないが、手を合わせる際は、感謝だけでなく「宣言」をしていると話す。
「日々、身の回りにあふれている情報から遮断され、自分の心の声と向き合っていると、本当に成し遂げたい夢や目標を再認識することができる。社会の先行きが不透明ないまだからこそ、こうした神社参拝の魅力がビジネスパーソンからも注目を集めているそうです。心の声として神さまに宣言することで自身を鼓舞する大きな力になると思います」
読了ライン
今戸神社(いまどじんじゃ)
住所|東京都台東区今戸1-5-22
Tel|03-3872-2703
参拝時間|9:00〜16:00
料金|なし
https://imadojinja1063.crayonsite.net
◎御祭神
應神天皇(おうじんてんのう)、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)、福禄寿(ふくろくじゅ)
◎代表的なご利益
縁結び、恋愛成就、夫婦円満など
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text: Ryosuke Fujitani photo: Maiko Fukui hair & make-up: Chiho Oshima stylist: Kan Fuchigami
Discover Japan 2023年8月号「夏の聖地めぐり。」