伝統技術と“遊び”が生んだ
新ブランド「AMUAMI」とは？
進化を続けるニッポンの伝統工芸【後編】
伝統技術ディレクター・立川裕大さんによる新ブランドが誕生した。その名は「ＡＭＵＡＭＩ」。遊び心あるプロダクトで、日本の伝統技術と美意識を世界に発信する。
AMUAMIの成功が伝統工芸の未来につながる
職人に寄り添い、遊び心をもって伝統技術を〝アワセ〟、リミックスしつつAMUAMIが目指すのは、世界の数奇者に向けて日本の美意識×ラグジュアリーブランドという新しいフォーマットをつくり出すこと。
「僕が手掛けてきた仕事の多くは、オートクチュールや車にたとえるならF１のフォーマット。振り切った仕事ができる一方、時間と労力がかかり量産もできない。反対に、ファストファッションや乗用車のフォーマットなら安定性はあるが、技術と価格は抑えることになる。お互いに一長一短ですが、AMUAMIはその中間、ハイブランドのプレタポルテやスーパーカーのような存在を目指します」
挑戦は伝統技術の可能性を広げ、職人の労働価値を高める。何より、誇りをもってものづくりができる環境は、伝統工芸の道を志す若者の希望になる。
「日本ならではの美意識を根っこにもついいものを世界に届けたい——それだけです。それが自然と課題解決につながるでしょうし、日本の伝統技術には、世界に誇るラグジュアリーブランドになる力があると信じています」
ふたをキャンバスに見立てた宝箱
神の依り代をイメージした木箱のふたを、さまざまな伝統工芸が彩る。箱そのものと組子は、島根・浜田市の吉原木工所、螺鈿は富山・高岡市の武蔵川工房、庵治（あじ）石は香川・高松市の伏石（ふせいし）石材彫刻は埼玉・寄居町の豊田彫刻工房が手掛けた。
木工・組子…吉原木工所／島根
螺鈿…武蔵川工房／富山
庵治石…伏石石材／香川
彫刻…豊田彫刻工房／埼玉
霰こぼし 螺鈿 黒 Arare-koboshi（mother-of-pearl, black lacquer）
価格｜35万円（予定）
サイズ｜W359×D359×H79.5㎜
素材｜檜、螺鈿、漆塗
霰こぼし 螺鈿 赤 Arare-koboshi（mother-of-pearl, red lacquer）
価格｜35万円（予定）
サイズ｜W359×D359×H79.5㎜
素材｜檜、螺鈿、漆塗
霰こぼし 庵治石 Arare-koboshi（Aji stone）
価格｜30万円（予定）
サイズ｜W359×D359×H79.5㎜
素材｜檜、庵治石
七宝 組子 Shippo（kumiko）
価格｜15万円（予定）
サイズ｜W359×D359×H79.5㎜
素材｜檜
七宝 彫刻 Shippo（carving）
価格｜45万円（予定）
サイズ｜W359×D359×H79.5㎜
素材｜檜
優美な竹のオブジェが柔らかな光に浮かぶ
竹藝家／バンブーアーティストの中臣一さんとのコラボレーションで生まれた照明。揺れる竹のオブジェが幻想的な光と影をもたらす。「上の句と下の句を詠み合う連歌（れんが）のようにやりとりを重ね、このかたちにたどり着きました」（立川さん）。
竹藝…中臣 一さん／大分
8祝ぐ Auspicious 8
価格｜80万円（予定／限定10台）
サイズ｜約W450×D170×H380㎜（個体差あり）
素材｜オブジェ／真竹、籐＋漆塗、灯具／スチール＋ウレタン塗
Frill
価格｜100万円（予定／限定10台）
サイズ｜約W400×D380×H680㎜（個体差あり）
素材｜オブジェ／真竹、籐＋ウレタン塗、灯具／スチール＋ウレタン塗
読了ライン
text: Miyu Narita photo: Tomoaki Okuyama, Kazuhiro Shiraishi, Taiki Fukao
Discover Japan 2023年4月号「すごいローカル見つけた！」
