《ティダムーン》
奄美大島という楽園でかなえる伝統を楽しむ滞在
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奄美空港より車で約10分、奄美大島の北部の海沿いに建つリゾートホテル「ティダムーン」。ゆったりした贅沢な時間が流れるこの場所では、滞在を通じ、奄美大島の多彩な文化に触れることができる。
伝統工芸、信仰、郷土食…
ここは奄美文化の玄関口?
ここは奄美文化の玄関口?
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青く澄んだ海に抱かれる南国の楽園・奄美大島。亜熱帯の森にはさまざまな動植物が生息し、島に暮らす人々は豊かな自然に寄り添いながら、工芸や信仰、食など、独自の文化を育んできた。
中でも1300年の歴史をもつ本場奄美(以下、大島紬)は、この地を代表する伝統的工芸品だ。奄美大島の泥田で行われる染色技法「泥染め」が導く艶やかな漆黒、島の植物で染められた絹糸を紡いで織り上げる多彩な柄、緻密な工程を経てつくられる美しい織物は、職人の知恵と技の集大成であり、世界三大織物のひとつと称されている。
そんな大島紬の魅力を存分に堪能してほしいと、地元の織元が2006年に「ティムダーン」を開業。その後、建築事務所「GOSIZE」代表・藤田豪さんによる改装が行われ、3室のスイートルームも新設された。館内には「大島紬美術館」も併設。画家・田中一村が描いた奄美大島を表現した大島紬や、歴史的な作品も鑑賞できる。さらに同ホテルの隣接地には、泥染めや草木染めの体験ができる施設も運営しており、楽しみながら大島紬への理解が深まるだろう。
スタッフの多くは大島紬のつくり手である。肩肘張らないアットホームなもてなしで、着物ファンならずとも、大島紬に魅了されるはずだ。
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守り神を望む客室で。
奄美の自然を取り入れる。
奄美の自然を取り入れる。
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「神の島」とも呼ばれる奄美大島には、「海の彼方にある理想郷」を意味する「ネリヤカナヤ」という言葉が伝えられている。島の人々は浜辺の先にそびえる巨岩「立神」を、神が海から島へ上陸する前に立ち寄る場所として崇め、信仰の対象としてきた。立神は遠い存在ではなく身近な神。海沿いの集落に複数あり、「ティダムーン」の建つ笠利町節田集落では、「節田立神」が島民の暮らしを見守っている。
「縁」と名づけられたスイートルームは、眼下に広がる太平洋とそこに佇む節田立神が織りなす景色を、最も堪能できるつくりだ。大きな窓と広々としたテラスを有し、家具はあえてシンプルに。日が昇る朝から夕暮れどき、月が輝く夜まで、海と空は呼応し、多彩な表情を魅せてくれる。
また、奄美大島の自然の恵みは、「ビストロ 奄味-amami-」での食事でも堪能してほしい。近海で捕れた魚介類や摘みたての野菜など、使用する食材はほぼ奄美大島産。「三献」という正月料理や、保存食として重宝された「塩豚」など、郷土料理をモダンにアレンジした創作和食で、慈悲深い味わいが染み渡っていく。
ティダムーンは、奄美大島の力強さと美しさ、そしてこの地が培ってきたさまざまな文化をいまに伝えている。まさに「現代のネリヤカナヤ」といえよう。
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進化を遂げる郷土料理の数々
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餅、豚肉、刺身など、奄美大島の正月料理「三献(さんごん)」で使用される食材を用いた前菜。赤い飴細工は夕暮れの太陽をイメージ
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画家・田中一村が描いた奄美の植物や果物をひと皿に閉じ込めた。パパイヤ、タンカン、ハンダマなどすべて朝摘みで、力強い味わい
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イカスミとハンダマ、アサリベースの出汁でつくったリゾット。奄美大島に生息するゾウリエビをのせ、立神に見立てている
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豚肉と島野菜を包むのは無農薬のバナナの葉。味つけは奄美大島のハーブをブレンドした天然塩のみ。食材そのものの旨みが感じられる
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華やかな手まり寿司。左からゴマの葉、キンカンとキュウリ、ローゼルで染めた大根がのっている。パパイヤとオクラの漬物を添えて
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島が紡いできた芸術を持ち帰る
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ティダムーン館内に併設された「大島紬美術館」では、昭和天皇献上柄や大正時代の作品、いまではつくることができない貴重な作品などを展示。伝統的な泥染めから、現代的なものまで、多種多様な大島紬が一堂にみられる。
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ティダムーン
住所|鹿児島県奄美市笠利町平1260
Tel|0997-63-0006
客室数|25室
料金|1泊2食付12万9800円〜(緑スイート、税・サ込)
カード|AMEX、DINERS、DC、JCB、UC、VISAなど
IN|15:00 OUT|11:00
朝食|郷土料理(レストラン)
夕食|郷土料理(レストラン)
アクセス|車/奄美空港から約10分(無料送迎あり)
施設|大島紬美術館、レストラン、大浴場、ショップなど