HOTEL

《ティダムーン》
奄美大島という楽園でかなえる伝統を楽しむ滞在

2022.10.30
《ティダムーン》<br>奄美大島という楽園でかなえる伝統を楽しむ滞在

奄美空港より車で約10分、奄美大島の北部の海沿いに建つリゾートホテル「ティダムーン」。ゆったりした贅沢な時間が流れるこの場所では、滞在を通じ、奄美大島の多彩な文化に触れることができる。

伝統工芸、信仰、郷土食…
ここは奄美文化の玄関口?

スイートルーム「縁」の開放感溢れるバスルーム。バスタブの脇には、作家・おおやぶみよさんが手掛けた、奄美大島の海の泡を閉じ込めたようなガラスのオブジェが飾られている

青く澄んだ海に抱かれる南国の楽園・奄美大島。亜熱帯の森にはさまざまな動植物が生息し、島に暮らす人々は豊かな自然に寄り添いながら、工芸や信仰、食など、独自の文化を育んできた。

中でも1300年の歴史をもつ本場奄美(以下、大島紬)は、この地を代表する伝統的工芸品だ。奄美大島の泥田で行われる染色技法「泥染め」が導く艶やかな漆黒、島の植物で染められた絹糸を紡いで織り上げる多彩な柄、緻密な工程を経てつくられる美しい織物は、職人の知恵と技の集大成であり、世界三大織物のひとつと称されている。

そんな大島紬の魅力を存分に堪能してほしいと、地元の織元が2006年に「ティムダーン」を開業。その後、建築事務所「GOSIZE」代表・藤田豪さんによる改装が行われ、3室のスイートルームも新設された。館内には「大島紬美術館」も併設。画家・田中一村が描いた奄美大島を表現した大島紬や、歴史的な作品も鑑賞できる。さらに同ホテルの隣接地には、泥染めや草木染めの体験ができる施設も運営しており、楽しみながら大島紬への理解が深まるだろう。

スタッフの多くは大島紬のつくり手である。肩肘張らないアットホームなもてなしで、着物ファンならずとも、大島紬に魅了されるはずだ。

ホテルに隣接する施設で見学できる泥染め。車輪梅で染めてタンニンを含ませた絹糸を、泥田の中の鉄分と化合させる。この工程を80回以上繰り返し、独特の漆黒を生み出す

守り神を望む客室で。
奄美の自然を取り入れる。

節田立神を望む絶景を主役にするべく、建築家・藤田豪さんが家具の配置やアートなど細部までこだわり抜いた新装スイートルーム「縁」。「奄美大島で素敵なご縁がありますように」との想いが込められている

「神の島」とも呼ばれる奄美大島には、「海の彼方にある理想郷」を意味する「ネリヤカナヤ」という言葉が伝えられている。島の人々は浜辺の先にそびえる巨岩「立神」を、神が海から島へ上陸する前に立ち寄る場所として崇め、信仰の対象としてきた。立神は遠い存在ではなく身近な神。海沿いの集落に複数あり、「ティダムーン」の建つ笠利町節田集落では、「節田立神」が島民の暮らしを見守っている。

「縁」と名づけられたスイートルームは、眼下に広がる太平洋とそこに佇む節田立神が織りなす景色を、最も堪能できるつくりだ。大きな窓と広々としたテラスを有し、家具はあえてシンプルに。日が昇る朝から夕暮れどき、月が輝く夜まで、海と空は呼応し、多彩な表情を魅せてくれる。

また、奄美大島の自然の恵みは、「ビストロ 奄味-amami-」での食事でも堪能してほしい。近海で捕れた魚介類や摘みたての野菜など、使用する食材はほぼ奄美大島産。「三献」という正月料理や、保存食として重宝された「塩豚」など、郷土料理をモダンにアレンジした創作和食で、慈悲深い味わいが染み渡っていく。

ティダムーンは、奄美大島の力強さと美しさ、そしてこの地が培ってきたさまざまな文化をいまに伝えている。まさに「現代のネリヤカナヤ」といえよう。

ホテルアメニティは、「ミラーハリス」を採用。海に向かって設置された洗面台の前に立つと、鏡越しに海と空の絶景を楽しむことができる
2022年に新設されたスイートルーム「縁」の客室には寝心地のよいシモンズのベッドを採用。目の前にはオーシャンビューの美景が広がり、テレビのない客室では波音がBGMとなる

進化を遂げる郷土料理の数々


餅、豚肉、刺身など、奄美大島の正月料理「三献(さんごん)」で使用される食材を用いた前菜。赤い飴細工は夕暮れの太陽をイメージ
一村
画家・田中一村が描いた奄美の植物や果物をひと皿に閉じ込めた。パパイヤ、タンカン、ハンダマなどすべて朝摘みで、力強い味わい
立神
イカスミとハンダマ、アサリベースの出汁でつくったリゾット。奄美大島に生息するゾウリエビをのせ、立神に見立てている

豚肉と島野菜を包むのは無農薬のバナナの葉。味つけは奄美大島のハーブをブレンドした天然塩のみ。食材そのものの旨みが感じられる

華やかな手まり寿司。左からゴマの葉、キンカンとキュウリ、ローゼルで染めた大根がのっている。パパイヤとオクラの漬物を添えて
長寿朝食。料理自慢の大島紬の織り子たちがつくる朝食。季節の総菜5点盛り、豚肉と島野菜の煮物、朝採れ野菜のサラダなど、奄美大島の日常的な朝食メニューをベースにしている

島が紡いできた芸術を持ち帰る

ティダムーン館内に併設された「大島紬美術館」では、昭和天皇献上柄や大正時代の作品、いまではつくることができない貴重な作品などを展示。伝統的な泥染めから、現代的なものまで、多種多様な大島紬が一堂にみられる。

売店では藍染めのストール(6600円)やTシャツ(3500円)も販売。販売価格と同じ金額で染色体験も行える(要予約)

ティダムーン
住所|鹿児島県奄美市笠利町平1260
Tel|0997-63-0006
客室数|25室
料金|1泊2食付12万9800円〜(緑スイート、税・サ込)
カード|AMEX、DINERS、DC、JCB、UC、VISAなど
IN|15:00 OUT|11:00
朝食|郷土料理(レストラン)
夕食|郷土料理(レストラン)
アクセス|車/奄美空港から約10分(無料送迎あり)
施設|大島紬美術館、レストラン、大浴場、ショップなど

 

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