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映画『浅田家!』原案者
写真家・浅田政志さんが地元「津」を再発見!

2020.10.8 PR
映画『浅田家!』原案者 <br>写真家・浅田政志さんが地元「津」を再発見!

現在公開中の映画『浅田家!』の原案者であり、三重県津市出身の浅田政志さんに映画のロケ地でもある真宗高田派本山 専修寺(せんじゅじ)やお気に入りスポットを紹介してもらいます!

浅田政志さん
1979年、三重県津市生まれ。日本写真映像専門学校卒業後、写真家として独立。専門学校在学中から撮りためた家族写真をまとめた写真集『浅田家』(赤々舎)を発表し、第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。国内外で個展を開催し、著書も多数。新作写真集『浅田撮影局 まんねん』(青幻舎)が10月に刊行

※メインカットは、専修寺にある、1666年上棟の御影堂(みえいどう)。堂内には阿弥陀如来の極楽浄土が表される。誰もが手を合わせられるようにと造られたお堂は、全国の国宝木造建築の中でも5番目の大きさを誇る

「故郷への思いは家族への思いと似ている」

消防士やラーメン店など、さまざまなシチュエーションになりきって撮影した家族の写真集『浅田家』が人気の写真家・浅田政志さん。ユニークな家族写真は地元の津市で撮られたものも多く、市内は現在公開中の映画『浅田家!』のロケ地にもなっている。大阪の写真学校時代の課題からはじまった家族写真撮影は、24歳で上京し拠点を東京に移してから現在も続く。家族と故郷を撮り続けて15年、年を追うごとにその大切さを感じるようになってきたという。

「地元を離れたときは都会に対する憧れもありましたし、津の魅力がまったくわかっていませんでした。故郷への思いは家族への思いと似ていて、どちらも自分では選べないところからスタートするので、中にいると煩わしく思うことや反発する時期もあります。でも、故郷も家族も好き嫌いに限らず自分のベースになるものです。だからこそ、一度離れてみないとそのよさがわからないのかもしれません。独り暮らしをすると、やってもらっていた料理や家事がどれだけありがたいか、家族の大切さに気がつきますよね。それと同じで、故郷の海の香りや何気ない景色がどれだけ自分にとって大切だったか。40歳を過ぎていろいろと乗り越え、地元のよさや魅力を強く感じるようになりました。うまく言えませんが、天むす発祥の地とか、鰻や焼肉が美味しい、ということのほかにまだある津の魅力を伝えていきたいですね」

御影堂の正面にある山門。五間三戸二階二重門という山門として最高の格式

そんな浅田さんがまず出向いたのが、親鸞聖人を宗祖とする真宗高田派本山 専修寺。ふたつの国宝木造建造物と11の国指定重要文化財を有する名所だ。浅田さんはお七夜(しちや)と呼ばれる報恩講(親鸞聖人の法要)に足を運んだことがあるぐらいで、じっくりと拝観することはなかったという。

御影堂と並んで国宝に指定されている如来堂

「建物や装飾に込められた意味を教えてもらいながら見学すると、こんなに貴重なものが身近にあったのかと驚きました。365日毎朝行われているお勤めとお説法は誰でも見学できるそうなので、今度参加してみようと思います」

 

如来堂にある、一枚板から削られた瑞雲の彫刻。当時の最新技術が施される

いまの世に効く、親鸞聖人の教え・生き方

如来堂横にある太子堂。親鸞聖人は、「法然上人に教えを請うように」という聖徳太子からの夢のお告げで法然上人のもとへ向かったとされる

親鸞聖人の教えを受け継ぐ、真宗高田派本山 専修寺。その教えとは?僧侶の藤谷知良さん(庶務総務)に教わりました。

専修寺・藤谷知良さんに聞きました。
仏さまの前で手を合わせる意味とは?

お経に書かれた極楽浄土の世界観を表現(いわば現代のVR)した御影堂内部。中央の宮殿に親鸞聖人の木像がご安置されている

藤谷 仏教では、浄土へ往く条件は「欲をなくすこと」とされています。どうしたら欲をなくして浄土へ往けるか。5000種類ほどあるお経には、それぞれ異なる往き方が書かれています。大きく分けると往き方には自力の本願と他力本願があり、親鸞聖人の教えは他力本願です。他力本願というと悪い意味で使う人もいますが、本来他力とは阿弥陀如来を指します。

浅田 他人に頼るという意味と思っていました。仏さまなんですね。

藤谷 自力の本願とは自分で修行をして欲をなくす力をつけることです。親鸞聖人も比叡山で厳しい修行をしましたが、いつまでも欲が湧いてくる。これでは浄土へ往けないと、20年続けた修行を捨てて法然上人のもとへ行きました。そこで教わったのが他力本願です。それは、阿弥陀如来や仏になった先祖は「あなたの欲を全部拭い去ってあげるから、お浄土へ来なさい」と言ってくれている。だからあなたがやるべきことは南無阿弥陀仏、つまり、ありがとうございますと手を合わせることだという教えです。先祖は代々、子や孫を浄土へ渡してあげようと、諸仏になって阿弥陀如来の教えを届ける橋渡しをしてくれています。墓参りや先祖供養というと「供養してあげる」と考えがちですが、本来は供養を通して手を合わせる機会をいただいているので、ありがとうと手を合わせるのです。

浅田 願掛けをすることとは違うということでしょうか?

藤谷 はい。教えはそれぞれですが、ここにはお守りもお札もありません。お守りは交通安全や縁結びなど守ってほしい、かなえてほしいと願って買うものですよね。親鸞聖人の教えは生まれたときからすでに阿弥陀如来が救ってあげると言ってくれているという教えです。今日浅田さんがここへ来たのも、たまたま仕事でと思われているかもしれませんが、先祖の方があなたを浄土へ送るために、手を合わせる本当の意味を教えてあげなくてはと計らっている。その結果、いまここにいらっしゃるのです。それがわかれば、手を合わせる意味がわかると思います。お金や知恵のある人の中には、自分一人の力でなんでもできると思い込んでいる人もいます。そういう人は「ありがとうございます」の心で手を合わせることがなかなかできませんから、広く親鸞聖人の教えを伝えていきたいと思います。

浅田 少しお話を聞いただけでも、家族写真を撮れること、一枚のシャッターを切ることがどれだけありがたいかわかりますね。いままで見えていなかった世界を知ると、写真も変わってくる気がします。今日はありがとうございました。

真宗高田派本山 専修寺
住所|三重県津市一身田町2819
Tel|059-232-4171
〈山門・唐門〉
開門|6:00 閉門|18:00
〈御影堂・如来堂〉
開堂|6:00 閉堂|15:30
(1月9日〜15日は17:30に閉堂)

浅田さんが「津」のお気に入りスポットを巡る!

浅田さんの実家から徒歩すぐのところにある津港阿漕浦中防波堤灯台(つこうあこぎうらなかぼうはていとうだい)。小さい頃からよく訪れていた場所で、防波堤からヨットハーバーや造船所を望む伊勢湾の景色に故郷を感じるそう。いまでは長男と散歩をすることも多い。周辺には貝やカニのいる浜も

浅田さんにゆかりのある津のおすすめスポットを紹介してもらいました。浅田さんが顔を出す先々に笑顔があふれ、地元での愛されっぷりと人柄のよさがうかがえます。

◆焼肉天福
高校時代にアルバイトしていた焼肉店。女将さんいわく浅田さんは「やさしさのムードメーカー」だったとか。店内には浅田さんが撮影した歴代スタッフの写真が飾られる。一番人気は、松阪牛も入った「牛たっぷり盛り」(4048円)。焼肉激戦区・津の中でも人気店なので予約必須。

住所|三重県津市藤方1245-3
Tel|059-225-8329
営業時間|16:00〜21:30(L.O.)、土・日曜11:00〜14:00(L.O.)、17:00〜21:30(L.O.)
定休日|月曜

プレーンカステラ小オリジナルボックス入り1404円

◆DE CARNERO CASTE Mie(デ カルネロ カステ 三重本店)
かわいい焼印が印象的なカステラの専門店。三重県産の小麦やこだわり卵を使ったカステラは手土産にも最適。以前、店の隣にあったカフェで浅田さんが写真展を開催したときからのおつき合い。大阪や東京にも支店がある。

住所|三重県津市長岡町3060-1
Tel|059-253-3333
営業時間|11:00〜18:00
定休日|なし

◆KUKSA(ククサ)
家族ぐるみで仲がよいというオーナーが営むベーカリー。総菜系からおやつ系まで、手頃な価格で美味しいパンがずらりと並び、お客がひっきりなしに訪れる。売り切れ次第閉店となるので早い時間の来店がおすすめ。

住所|三重県津市久居井戸山町832-25
Tel|059-255-6993
営業時間|10:00〜19:00
定休日|木・日曜、祝日
※2020年10月8日(木)~22日(木)は、店内メンテナンスのため休業となります

不老銘菓 梅干2840円(18個、伊賀焼入り)

◆とね菓子館
中学の同級生・刀根武士さんの菓子店。自家製あんを使った和菓子、コンテストで入賞を誇る洋菓子など、どれもクオリティが高く種類も豊富。浅田さんは、写真撮影に協力してくれる方々にこちらの手土産を用意するそう。

住所|三重県津市本町26-20
Tel|0120-26-4343
営業時間|9:00〜19:00
定休日|水曜

津へのアクセス
【名古屋方面から】名古屋駅から津駅までJR快速または近鉄特急で約50分
【大阪方面から】大阪難波駅から津駅まで近鉄特急で約1時間30分
◎津駅からの移動は、レンタカーがおすすめ!

text: Akiko Yamamoto photo: Maiko Fukui
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