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料理研究家《大原千鶴》
香りで心の余裕と暮らしの美しさを演出
|香りのある暮らしのすすめ

2025.5.12
料理研究家《大原千鶴》<br><small>香りで心の余裕と暮らしの美しさを演出<br>|香りのある暮らしのすすめ</small>

お香や精油など、取り入れ方は無限大の“香り”。そんな香りをうまく暮らしに取り入れている5人に、香りとの上手なつき合い方を教えていただいた。今回は、料理研究家の大原千鶴さんの暮らしへの取り入れ方をご紹介!

料理研究家・大原千鶴(おおはら ちづる)
京都市の山間部・花背の名料理宿「美山荘」で生まれ育ち、里山の自然に親しみながら和食の心得や、美意識を育む。『みんなのきょうの料理』(NHK)、『キユーピー3分クッキング』(日本テレビ)などに出演中。

「香りは心の余裕と暮らしの美しさを演出するものです」

京都の風土に根ざした、丁寧でシンプルな料理を提案する料理研究家・大原千鶴さん。時に食事をじゃましてしまうこともある「香り」だからこそ、その場を心地よくする、最後のトッピング的な役割で使用しているという。

「香りは、ごまかしたり、マスキングしたりするために使うのではなく、清浄で美しく整えた空間に使う『最後の仕上げ』のような存在。だからこそ、“よい香り”でないと、と思っています」

鳩居堂
老山角割 白檀
価格|1980円 内容量|3g

料理宿である実家で使用していた、「老山角割 白檀」を夏に、「練香 梅が香」を冬に焚いているそう。この香りは幼い頃から当たり前の存在になっているため、料理を出す前の香りとして自分に染み込んでいると同時に、季節の変化を感じる要素にもなっている。

「ほんのりとした香りでお出迎えするために、アトリエの玄関には来客の30分くらい前から焚いています。これは時間的な余裕や、心にも余裕がないと難しいこと。だから、根本からの生活の美しさや、優雅さをまとうものでもあると思います」

香老舗 松栄堂
練香 梅が香

価格|1650円 内容量|40g

大原さんは2年ほど前から、「オリジナル精油」の製作にも取り組んでいるが、きっかけは、娘さんの友人の声だったという。

「娘の友人は化学物質過敏症で『香害』に悩まされていました。香水だけでなく、柔軟剤の香りにも苦しんでいるそうで。好みの香りを楽しみつつ、周りの人に迷惑にならない香りを……と思っていたときに、創香家・中山久留美さんにお声掛けいただき、オリジナルの香りをブレンドすることになりました」

大原千鶴オリジナル精油
20㎖入り

価格|2万9700円 内容量|20㎖

50種類ほどの精油を試し、2種類、3種類と組み合わせていくことで複雑さと、奥行きのある香りになっていく。どんどん香りを厳選していき、心地よいと感じるものを選んだ。

「調香するときに大事にしたことは“直感”です。自分が好きかどうかを意識すると、自分はローズ系の香りが好きと気づいて。香りはその日の体調や環境によって、感じ方が変わりますが、自分のベースとなる香りがあると、やはり落ち着く感じがします。安心する香りだと、飽きることもないですね」

購入者の中には、リピート購入している方も多いのだとか。香りは、誰にでも合うというものではないからこそ、自分の身体や感性にフィットする、納得のいく香りを選ぶのがいいのでは、と大原さん。
「枕の端や、洋服のタグのところなどに、少しだけつけるのがおすすめです。気分的に眠れないときに落ち着けるというか、安心する香りになります」

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text: Discover Japan
2025年5月号「世界を魅了するニッポンの香り」

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