アート×風土を体感する5つのエリア
市街地エリア/東山エリア
|《北アルプス 国際芸術祭2024》攻略ガイド
北アルプス国際芸術祭のコンセプトは、「水・木・土・空」。舞台となっている5つのエリアをすべてめぐれば、アートとともに大町の豊かな自然と風土を体感できる。
今回は5つのエリアの概略と、市街地エリア、東山エリアの見どころを紹介。
<アート×風土を体感する5つのエリア>
街中にアートを探しに行こう!
①市街地エリア
かつて「塩の道」の宿場町だったエリア。古い水路が残り、街を歩くと水が流れる音も聞こえる。高度経済成長期にタイムスリップした気分になれる商店街や空き家などで作品が展開される。
街から離れ、里山に佇む巨大アートに圧倒される
②東山エリア
市街地東側の里山エリア。大町全域を一望する鷹狩山の山頂では、この地が糸魚川静岡構造線という活断層上にあり、東西で地質や生態系が異なることを感じられる。里山の暮らしが残る集落も点在。
植物からつくる展示に注目!
③仁科三湖エリア
大町の北に位置する仁科三湖。北から、高い透明度を誇る青木湖、四季の景観が美しい中綱湖、水上レジャーが充実する木崎湖、と個性豊か。かつての「塩の道」の道筋もこの湖畔を通っている。
自然を体感したら、人工空間を生かした芸術も!
④ダムエリア
大町は黒部ダムの玄関口であると同時に、北アルプス山麓に大町・七倉・高瀬と3つのダムがある。圧倒的スケールと造形美をもつ土木建築物を、アーティストがどのように生かすのかに注目を。
最後は、大町に恵みをもたらす源流エリアへ
⑤源流エリア
北アルプスの雪解け水や湧水が豊富な鹿島川流域エリア。葛温泉からの引湯ではじまった大町温泉郷には温泉旅館が並び、盆地が広がる南部には須沼神明社などの社寺も点在する。
北アルプスの4つの自然「水・木・土・空」を堪能するアート旅
「北アルプス国際芸術祭」の舞台は5つのエリアに分かれている。それぞれのエリアで個性が異なり、すべてをめぐることで、コンセプトである「水・木・土・空」をアートとともに体感できるという仕組みだ。
JR信濃大町駅周辺は「市街地エリア」。駅前のインフォメーションセンターでは作品鑑賞パスポートやマップを入手でき、メインビジュアルを手掛けたファッションデザイナー・皆川明氏によるオフィシャルグッズなども揃うため、まずはこのエリアから行動するのがスムーズだろう。信濃大町駅前広場には大町在住アーティストである、村上慧氏の地域の落ち葉の発酵熱を用いた「足湯」も完成予定だ。
この街は江戸時代には内陸に塩を運んだ「塩の道」の宿場町だったという。そんな歴史を感じる古民家をはじめ、黒部ダム建設の拠点として栄えた面影を感じる商店街や、空き店舗などに作品が点在。街を歩いていると水路を流れる清らかな水の音も聞こえてきて、この街と水との近さにも気づく。
廃校である「旧大町北高等学校」では、千田泰広氏のほか、小鷹拓郎氏の映像作品や、コロンビア出身のマリア・フェルナンダ・カルドーゾ氏の木材を使った彫刻も鑑賞できる。
北川フラム氏によると、海外アーティストの比率が高いのもこの芸術祭の特徴だという。中でも「東山エリア」のルデル・モー氏は日本での作品発表は初。廃トンネルの空間で、日本の土壁の技法を取り入れ、東山エリアの竹と土で彫刻を制作する。取材時は土を塗っていたが、土の総重量はなんと700㎏! ほの暗い空間に佇む巨大彫刻は圧巻の迫力だ。
韓国のソ・ミンジョン氏も「東山エリア」。屋内ゲートボール場で発泡スチロールと地元の倒木を用いて環境問題を想起させる作品を制作中だった。大町について「こんなに美しい風景があると韓国では観光地化されがちだが、大町は自然の風景が残り、自然の強さを感じられるのがいい」とミンジョン氏。「東山エリア」では先述のウェンフー氏の『竹の波』や、目[mé]の『Tangible Landscape』にも注目だ。
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仁科三湖エリア/ダムエリア/源流エリア
≫次の記事を読む
1|長野・大町の風土をアートを通して味わう旅へ
2|市街地エリア/東山エリア
3|仁科三湖エリア/ダムエリア/源流エリア
4|大町の食・自然・文化をより楽しむスポットへ
5|北川フラムが思う大町の独自性とは?
text: Miyo Yoshinaga photo: Tomoaki Okuyama
Discover Japan 2024年10月号「自然とアートの旅」