高野山巡礼の旅
京都駅発のバスで気軽にめぐる
DAY1|高野町
弘法大師空海ゆかりの聖地・高野山を旅するなら、断然、京都を起点にするのがおすすめだ。京都駅八条口からバスに乗り、揺られること約160分。乗り換えなしで気軽に高野山に降り立てる。一日目は金剛峯寺や壇上伽藍などを有する高野町(こうやちょう)へ。
弘法大師空海の
足跡をたどる秋の旅
2022年11月27日(日)までの期間は、京都駅八条口から高野山まで、直通バスが運行中。加えて同期間中(土・日曜、祝日)は、高野山から山麓エリアへバスも走っている。高野山といえば、一生に一度は訪れたい秘境の聖地だが、いざ旅をするなら、「秋」に「京都」を出発点とするのが、旅上手なのだ。
そもそも高野山とは、816(弘仁7)年、真言密教の開祖・弘法大師空海(以降、弘法大師)によって開かれた、一大宗教都市をいう。標高約800mの山上盆地には、東西約6㎞、南北約3㎞にわたり、「両壇(りょうだん)」と呼ばれる二大聖地「壇上伽藍」と「奥之院」をはじめ、「金剛峯寺」など117の寺院が建ち並んでいる。奥之院の最深部「御廟(ごびょう)」では、弘法大師がいまなおそこに生き、世の平和と人々の幸福を願い、瞑想を続けていると信じられている。奥之院では、1日2回、弘法大師に食事を届ける儀式「生身供(しょうじんぐ)」が、1000年以上の間、絶えず行われてきた。2004年には、「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として高野山一帯が世界遺産に登録。より多くの人々が訪れるようになる。
日帰り観光も可能だが、せっかく高野山を訪れるなら、宿泊することをおすすめしたい。117ある寺院のうち、51カ寺が宿坊として開かれており、滞在することで非日常を送れる。日没後や早朝に足を運ぶ両壇は静寂に包まれており、格別の雰囲気。宿泊者だけが体感できる贅沢といえる。祈りの場はいつ何時も、救いを求める人々に開かれているのだ。
高野山の中枢。最初に向かいたい
金剛峯寺(こんごうぶじ)
全国3600カ寺を有する高野山真言宗の総本山。高野山のほぼ中央に位置し、開山当時は高野山全域を金剛峯寺と称した。本尊を祀る「持仏の間」を囲む『群鶴図』をはじめ、狩野派の絵師・斎藤等室や世界的に活躍する日本画家・千住博等が手掛けた襖絵が随所に見られる。
高野山真言宗 総本山金剛峯寺
住所|和歌山県伊都郡高野町高野山132
Tel|0736-56-2011
拝観料|中学生以上1000円、小学生300円、未就学児無料
拝観時間|8:30〜17:00(受付は16:30まで)
弘法大師空海の思想を体現
壇上伽藍(だんじょうがらん)
高野山の開創時、弘法大師が最初に着手したとされるのが壇上伽藍。中でも真言密教の根本道場として建立された「根本大塔」(上写真)は、高さ48.5m、高野山内の建造物で最大の高さを誇る。堂内には、密教の教えを可視化した立体曼荼羅(下写真)を擁する。
壇上伽藍
住所|和歌山県伊都郡高野町高野山152
Tel|0736-56-2011
拝観料|根本大塔・金堂ともに中学生以上500円、小学生以下無料
拝観時間|随時開放 ※根本大塔・金堂ともに8:30〜17:00(受付は16:30まで)
精進料理を気軽にいただける
中央食堂 さんぼう
高野山の多くの寺院に精進料理を提供する料理店。名物の「精進花篭弁当」(2300円)は、宿坊で客人をもてなす振舞料理がベース。粟麩田楽や胡麻豆腐、煮物等が並ぶ。『ミシュランガイド京都・大阪+和歌山2022』に掲載された。
中央食堂 さんぼう
住所|和歌山県伊都郡高野町高野山722
Tel|0736-56-2345
営業時間|11:00〜15:00(売切れ次第終了)
定休日|不定休
宿坊初心者でも楽しめる
西禅院(さいぜんいん)
壇上伽藍のすぐ隣にある宿坊で、作庭家・重森三玲作の3つの庭園(国登録記念物)を有する。15ある客室は、ホテル感覚で泊まれるタイプも。伽藍ツアー(1000円/約1時間半)ほか体験プランが充実。かつて松下幸之助が長期滞在し、著書を書き上げたとか。
宿坊 西禅院
住所|和歌山県伊都郡高野町高野山154
Tel|0736-56-2411
料金|1泊2食付1万7000円〜
設備|Wi-Fi、共同浴室、共同トイレ、各種アメニティ ※貴賓室は室内にバス・トイレ付
翌日はかつらぎ町・九度山町へ
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text: Discover Japan photo: Kazuya Hayashi map: Alto Dcraft
2022年11月号「京都を味わう旅へ」