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静嘉堂創設130周年
新美術館開館記念展Ⅰ
「響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―」
重要文化財の中で見る7つの国宝

2022.9.20
静嘉堂創設130周年<br>新美術館開館記念展Ⅰ<br>「響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―」<br><small>重要文化財の中で見る7つの国宝</small>

三菱の第2代社長・岩㟢彌之助(やのすけ)と息子・小彌太(こやた)によって設立された静嘉堂(せいかどう)文庫美術館が、10月1日(土)に東京・世田谷から丸の内へ移転オープンする。東京駅の皇居側に位置する丸の内は、かつて彌之助が、その一角に美術館をつくりたいと願ったエリア。重要文化財にも登録されている「明治生命館」の1階を舞台に、彼の美術館構想がおよそ130年の時を経て実現する。開館記念展では、茶道具の至宝『曜変天目(ようへんてんもく)』などの国宝7点を中心に、黄金に輝く琳派の作品、茶道具、刀剣といった名品が一堂に会する。

岩﨑家父子蒐集コレクションを
4つの章で展示

国宝 俵屋宗達《源氏物語関屋澪標図屏風》 江戸時代・寛永8年(1631)前期(10/1~11/6)展示

開館記念展Ⅰ「響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき-」では、Galley1~4それぞれで展示。国宝《曜変天目(稲葉天目)》、国宝・俵屋宗達筆《源氏物語関屋澪標図屏風》をはじめ、所蔵する7件の国宝すべてを、前・後期に分けて公開される。

新展示室は、昭和の建築で初めて重要文化財の指定を受けた明治生命館の1階に、当初の建築部分を生かしてつくられている。室内全体が壮麗な大理石造りで、高い天井からはガラス越しに自然光が差し込んでおり、日々で異なる表情を見せる空間となっている。4つの展示室は、中央部の広い「ホワイエ」をとり囲むように設けられ、それぞれの展示室に飾られた名宝たちが、互いの美を響かせ、共鳴させているかのようにも感じられるだろう。今から約130年前、岩﨑彌之助が東京丸の内に造りたいと願った美術館-創設者の想いを受け継ぎ、歴史あるこの近代洋風建築の中に開館する。

《見どころ1》
「重文」の中に「国宝」7つ!?

静嘉堂文庫美術館 展示ギャラリー(ホワイエ)完成予想図
資料提供:竹中工務店

新たな静嘉堂のギャラリーは、平成9年(1997)に昭和の建造物として初の重要文化財に指定された「明治生命館」の1階。当時の西洋近代建築の最高傑作ともいわれる意匠設計は、東京美術学校(現・東京藝術大学)教授の岡田信一郎(1883〜1932)と弟の岡田捷五郎(しょうごろう 1894〜1976)によるもの。この古典主義様式の名建築の中に、国宝《曜変天目(稲葉天目)》など、静嘉堂の「国宝」7つを大公開!

《見どころ2》
「付藻(つくも)」「松本」、大名物の茶入、
400年の謎を解く!

(右)大名物 《唐物茄子茶入 付藻茄子》 (左)大名物 《唐物茄子茶入 松本(紹鷗)茄子》 いずれも、南宋~元時代(13-14世紀)

静嘉堂所蔵の茶道具からは、彌之助コレクションのハイライトを愉しめる。その収集の嚆矢とされ、“三英傑”(信長・秀吉・家康)に伝来した唐物茄子茶入の《付藻茄子》と《松本紹鷗(じょうおう)茄子》が登場。それぞれのドラマチックな来歴、そしてこの2つの茶入が大坂夏の陣(1615年)で大破し、破片から現在の姿によみがえった修理の技、約400年前の漆繕いの超絶技巧を、最新のX線CT画像から紐解く。

《見どころ3》
響きあう「琳派」と「中国美術」

酒井抱一《波図屏風》江戸時代(文化12年〈1815〉頃)後期(11/10~12/18)展示

静嘉堂の日本美術を代表して、オープニングでは「琳派」の名品が一堂に。「琳派」前期は金にかがやく俵屋宗達筆の国宝 《源氏物語関屋澪標図屏風》を、後期には銀にかがやく名品、酒井抱一筆の 《波図屏風》とともに所蔵の琳派の名品が揃う。その琳派と相対するは、静嘉堂が豊かに所蔵する“中国文化の粋”たる絵画と工芸品、そして古典籍!前期には、気品漂う、崇高な宋~元時代の、後期には明るく清らかな明~清時代の絵画と工芸品を公開。琳派と中国美術の粋が集う、贅沢な空間を愉しんで。

重要文化財 明治生命館 昭和9年(1934)竣工

父子二代によって形成された 静嘉堂のコレクションは質量ともに国内屈指のものだ。この貴重な機会をお見逃しなく。

静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念展Ⅰ「響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―」
会期|10月1日(土)~12月18日(日)
会場|静嘉堂@丸の内(静嘉堂文庫美術館)
住所|東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1F
開館時間|10:00~17:00(金曜は~18:00)
※入館は閉館の30分前まで
休館日|月曜(10月10日は開館)、10月11日、11月8・ 9日
料金|一般1500円、大高生1000円、中学生以下無料
Tel|050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.seikado.or.jp

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