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片岡仁左衛門×坂東玉三郎が送る、歌舞伎史上最もスキャンダラスな恋物語!
シネマ歌舞伎『桜姫東文章 上の巻/下の巻』

2022.4.3
片岡仁左衛門×坂東玉三郎が送る、歌舞伎史上最もスキャンダラスな恋物語!<br> <small>シネマ歌舞伎『桜姫東文章 上の巻/下の巻』</small>
©松竹株式会社

歌舞伎の舞台を映画館で楽しめる「シネマ歌舞伎」。この春、待望の新作『桜姫東文章 上の巻/下の巻』が2部作で全国公開される。

2021年4・6月に歌舞伎座で上演された同作品は、歌舞伎好きのみならず、多くの人々の関心を誘い、瞬く間に満席となった。人気の秘密は、四世鶴屋南北が手掛けたスキャンダラスな恋の物語と不動の人気を誇る歌舞伎俳優・片岡仁左衛門、坂東玉三郎の共演だ。
シネマ歌舞伎『桜姫東文章』は、全国の映画館にて「上の巻」が2022年4月8日(金)、「下の巻」が29日(金)より公開。観に行く前に、あらすじや作品背景を予習しておこう。

恋の因果に翻弄される
桜姫の数奇な運命

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修行僧の清玄は、稚児の少年・白菊丸と道ならぬ恋の果て心中を図るが、ひとり生き残ってしまう。17年後に高僧となった清玄は、桜姫と出会い、あるきっかけから彼女は白菊丸の生まれ変わりではないかと気付く。
一方、家宝の巻物を盗まれて御家没落の危機に直面し、出家を心に決めた桜姫には秘密があった。かつて暗闇の中で自分を犯した男の子どもを秘かに産み落とし、いまでも一夜の甘美な思い出として、その肌が忘れられずにいたのだ。
そして、予期せぬ再会は突然訪れる。ある日、腕に釣鐘の刺青のある男、権助とめぐり逢う。権助こそ桜姫の想い人だった。再び権助に身を委ねる桜姫。しかしその密会が明るみになり……。

歌舞伎界屈指の人気を誇る
仁左衛門・玉三郎の共演!

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片岡仁左衛門と坂東玉三郎は、その眉目秀麗な容姿と確かな技で長く歌舞伎界をけん引してきた。1970年代頃から花形歌舞伎(若手が中心の舞台)で活躍し、歌舞伎俳優として絶大な人気を博し、仁左衛門襲名前の孝夫、そして玉三郎の名前から一字ずつ取って“孝玉コンビ”と呼ばれ、一大ブームを巻き起こして多くの若い歌舞伎ファンから注目を集めた。そして50年以上相手役として共演を重ねた後、2021年、36年ぶりに『桜姫東文章』で共演。ファン待望の演目での再共演は話題沸騰、歌舞伎ファンのみならず多く人々から注目され、チケットは瞬く間に完売となった。

36年ぶりに披露した舞台は、2021年の読売演劇大賞選考委員特別賞を受賞。受賞時の審査評内にて、“「時分の花」(若さゆえの魅力)から、しっとりと成熟した「まことの花」へ”と評され、36年の間に芸の道で研鑽を詰んできた仁左衛門と玉三郎のさらに磨き上げられた技術と美しさが称えられた。

シネマ歌舞伎『桜姫東文章 上の巻/下の巻』の冒頭には、仁左衛門と玉三郎、ふたりへの特別インタビューを収録。演目への想いを語る貴重な映像が楽しめる。

鬼才・鶴屋南北ならではの頽廃的で残酷な美

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いまも度々上演される歌舞伎の人気演目である『東海道四谷怪談』、『盟三五大切』、『慙紅葉汗顔見勢』(通称・伊達の十役)などを手掛けた劇作家・鶴屋南北が活躍したのは、長く続く太平の世に頽廃的なムードが蔓延していた江戸時代末期。町人文化が成熟しきり、すでに初期の歌舞伎作品が古典となっていた頃で、南北の作品にはすでにある演目や地域に根付いた伝説のオマージュとわかる場面が多いのが特徴だ。

『桜姫東文章』も例外ではなく、その物語は僧 清玄が高貴の姫君桜姫に恋をして死後もなお霊となって桜姫の前に現れるという“清玄桜姫もの”や、名門吉田家の没落と行方不明の子を探す母が隅田川のほとりをさまよう様を描いた“隅田川もの”と呼ばれる演目の内容がベースとなっている。

さらに南北は刺激を求める市民の期待に応え、殺人や猟奇的な事件、恐ろしい怪談話を脚本に取り入れた。
同作でも僧と稚児の禁断の恋や、公家の姫君が自分を襲った顔も名前も知らぬ男に恋焦がれ、その男と連れ添うために女郎まで身を堕とすというショッキングな物語を題材にしている。『下の巻』で桜姫が雅な言葉遣いとはすっぱな女郎言葉を交互に話す長台詞は、桜姫のドラマティックな人生を見事に表しており、いまも観客を魅了する見どころのひとつだ。

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美しく濃密な濡れ場や絢爛豪華な舞台セット、台詞まわしなど、劇的な物語を彩る歌舞伎ならではの要素が満載な同作。初心者には同時音声解説のイヤホンガイドアプリという頼もしい味方もある。
歌舞伎の人気演目『桜姫東文章』を、上下巻の2部作で贅沢に楽しもう。

シネマ歌舞伎『桜姫東文章 上の巻/下の巻』
公開日|上の巻2022年4月8日(金)~、下の巻4月29日(金)~
上映館|東劇ほか全国の映画館にて(上の巻下の巻
料金|各巻一般2200円、学生・小人1500円
※前売券1900円を上映映画館ほかで販売中(詳しくは公式ウェブサイトにて)
上映時間|上の巻124分、下の巻138分
出演(上の巻)|片岡仁左衛門、坂東玉三郎、中村歌六、中村鴈治郎、中村錦之助、上村吉弥、中村福之助、片岡千之助、片岡松之助 ほか
出演(下の巻)|片岡仁左衛門、坂東玉三郎、中村歌六、中村錦之助、片岡孝太郎、上村吉弥、中村福之助、片岡千之助、嵐 橘三郎 ほか
予告編|https://www.youtube.com/watch?v=381-GX_0GN8

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