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岐阜県美濃市「WASITA MINO」に学ぶ
第2の拠点づくりにつながる
ワーケーション最新事例【後編】

2022.4.1
<small>岐阜県美濃市「WASITA MINO」に学ぶ</small><br>第2の拠点づくりにつながる<br>ワーケーション最新事例【後編】

ワーケーション(Workcation)とは仕事(Work)と休暇(Vacation)を兼ねた過ごし方。移住よりも気軽に地域との接点をもつことができ、自分の生き方や、地域の在り方を変える可能性を秘めた新時代の働き方ともいえる。そのことをより実感させてくれるのが、2021年7月、岐阜県美濃市に誕生した「WASITA MINO」だ。そのコンセプトは“まちごとシェアオフィス”。美濃和紙の産地として知られ、文化と歴史がいまに伝わるこの町で、第2の拠点づくりのヒントになり得る最新事例をひも解いていみたい。

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まちごとシェアオフィスの概念こそ、ワーケーションの醍醐味。「WASITA MINO」を起点に、地元感覚で町をめぐってみよう。

徒歩圏内の町中に
ヒントがあふれている

「うだつの上がる町並み」を中心に、個性豊かな名所が点在。郊外へ足を延ばせば、豊かな森で余暇を楽しみながら学ぶこともできる。次回は家族で訪れるのもいい。

利用者に美濃の暮らしを日々体感してもらうために「WASITA MINO」では「まちごとワークタンブラー」を提案。8つの提携店でタンブラーを提示すると、ドリンク1杯分が無料になるシステムは上手に活用したい。

ワーケーションするなら、目的をかなえてくれるような拠点をもち、その土地の人々やモノと出会い、自分の中に新しい視点を取り込みたい。滞在を終える頃には美濃が好きになり、きっと美濃が第2の地元になっている。

<短期滞在のスケジュール例>

1日目
午前中 名古屋から美濃までレンタカー移動
12:00 ニュー柳屋食堂で昼食
13:00 WASITA MINO着・デスクワーク
19:00 WASITA MINOでおすすめを聞き、うだつの上がる町並み内の食事処で夕食
21:00 WASITA HOUSE泊

2日目
8:00 近隣の喫茶店でモーニング
10:00 WASITA MINOでデスクワーク
12:00 WASITA MINOでおすすめを聞き、うだつの上がる町並み内の食事処で昼食
13:00 NIPPONIA美濃商家町とWashi-naryを見学
15:00 HAPPA STAND MINOでお茶
17:00 WASITA MINOでデスクワーク
19:00 ニュー柳屋食堂で夕食
21:00 WASITA HOUSE泊

3日目
8:00 近隣の喫茶店でモーニング
9:00 美濃橋・長良川を散策
11:00 軽食持参でmorinosへ
15:00 美濃から名古屋までレンタカー移動

ニュー柳屋食堂
美濃名物として有名なホルモン料理「とんちゃん焼」発祥の店で、創業は1946年。初代が捨てられていたホルモンを仕入れ、刻んで味つけしたものを売り出したのがルーツだ。お客のほとんどが注文する「とんちゃん焼定食」(900円)は、しょう油ベースのタレに漬け込まれた豚ホルモンをキャベツなどの野菜と一緒に鉄板で焼き上げたもの。店員さんがちょうどよい焼き加減に仕上げてくれるので、熱々をほお張れる。

住所|岐阜県美濃市広岡町2559
Tel|0575-33-0526
営業時間|11:00~14:00(L.O.)、17:00~21:00(L.O.)
定休日|月曜

NIPPONIA 美濃商家町
明治後期、和紙原料商・松久才治郎の客人をもてなすための別邸に改修を加えた「NIPPONIA 美濃商家町 YAMAJOU棟」。2019年にオープンした宿泊施設で客室は全6室。美濃和紙を用いた千鳥張りの障子や曲線を描く無双窓などデザイン性に富んだしつらいも必見だ。数奇屋風の主屋に3室、モダンに改装された一棟貸しの蔵が3室ある。徒歩圏内の長良川沿いには、紙問屋の邸宅を改修した「YAMASITI棟」(4室)がある。

住所|岐阜県美濃市本住町1912-1
Tel|0575-29-6611
客室数|10室
料金|1室1名1泊1万4300円~(税込)
IN|15:00〜18:00
OUT|10:00
朝・夕食|朝食あり(夕食提供プランあり)
施設|カフェ、ギャラリーなど

Washi-nary
紙すきが盛んな板取川沿いに工場を構える、機械すき美濃和紙メーカー「丸重製紙企業組合」直営の和紙専門店。「NIPPONIA 美濃商家町」の蔵を改装した店内には、同社の機械すき美濃和紙や地元職人の手すき美濃和紙のほか、オリジナルの折り紙や懐紙、紙箱なども販売。ワインを選ぶように、気軽に和紙選びが楽しめる。蔵の天井を彩る、岐阜提灯の技術を用いたというイサム・ノグチの照明も印象的だ。

住所|岐阜県美濃市本住町1912-1 NIPPONIA美濃商家町内
Tel|0575-29-6655
営業時間|水~金曜13:00~17:00、土・日曜、祝日10:00~17:00
定休日|月・火曜

HAPPA STAND MINO
「時代を越える粋なモノ」をコンセプトとするお茶スタンドで、2021年には三重の商業施設「VISON」に2号店もオープン。古民家を改装した店内では、京都府宇治田原産のオーガニック茶葉を使った「焙じ茶」や「抹茶らて」等がオリジナルの茶器で味わえる。抹茶や焙じ茶と豆乳、ホワイトチョコレートを合わせた「とうふちょこれーと」とのセット(550円~)も人気。窓の外に広がる古い町並みを眺めつつ味わいたい。

住所|岐阜県美濃市常盤町2300
Tel|0575-46-8859
営業時間|8:00~17:00
定休日|水・木曜

森林総合教育センター morinos
森林や木材にかかわる分野で活躍する人材を育てる専修学校・岐阜県立森林文化アカデミー。開学20周年に先立ち、子どもたちがいつでも森に親しめる体験&学びの場として2020年につくられた施設。環境省主催・第9回グッドライフアワードで実行委員会特別賞を受賞。泥遊びや木工、焚き火などに挑戦できる「morinos ひろば」が人気。建築家・隈研吾氏が設計アドバイスをしたセンターハウスではワークショップも開催している。

住所|岐阜県美濃市曽代88
Tel|0575-35-3883
営業時間|10:00~16:00
休館日|火・水曜

まちごとワークタンブラーと
レンタルサイクルを活用しよう

HAPPA STAND MINOのほか、米粉パンの店「美濃町家Mam’s」など8つの提携店がある「まちごとワークタンブラー」。2時間以内なら店内でデスクワークもOK。「WASITA MINO」ではレンタルサイクルもあるので活用したい。

  

 

text: Makiko Shiraki(Arika.Inc) photo: Kazuya Hayashi
Discover Japan 2022年3月号「第2の地元のつくり方」

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