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まちとタイルの新しい風景をつくる
《多治見市モザイクタイルミュージアム》

2022.3.7
<small>まちとタイルの新しい風景をつくる</small><br>《多治見市モザイクタイルミュージアム》

世界に誇るモザイクタイルのミュージアムが、日本最大のモザイクタイルの生産地、多治見市笠原町に誕生。モザイクタイルといわれる小さなタイルは、その色の豊かさ、形の面白さで、日本だけではなく世界中で人々の暮らしを豊かに彩ってきた。色と形の限りない組み合わせは、見る人によって、さまざまで変幻自在な美しさを表現。そんな不思議で、美しい世界を体験できる「モザイクタイルミュージアム」の魅力とは?

小さなモザイクタイルから広がる無限の世界へ

大正時代、旧多治見町あたりで始まったタイル産業は、戦後、笠原町を拠点に隆盛。1995年頃、笠原町の有志がモザイクタイルの収集活動を開始。少しずつ増え続けたタイル資料は、20年以上の時をかけて町の産業にとって貴重なコレクションへと成長した。国際的な評価を得る建築家・藤森照信さんが、その意義に共感し、設計依頼を引き受けたのが2011年頃のこと。そこからおよそ5年の歳月をかけて、2016年6月、多治見市モザイクタイルミュージアムが開館した。これからも、小さなモザイクタイルを集めて大きな絵を描くように、成長するミュージアムを目指す。

また、業界関係者が主体となって収蔵してきた膨大な量のモザイクタイル資料を展示に生かし、業界ならではの技術、デザイン、商品開発の力を使って、多様なジャンルと協働しながらモザイクタイルの魅力を伝えることで、地域の産業と産業文化を世界に発信していく。

建築家
藤森照信(ふじもり・てるのぶ)
1946年長野県生まれ。東京大学大学院博士過程修了。専攻は近代建築、都市計画史。東京大学名誉教授。全国各地で近代建築の調査、研究にあたっている。86年、赤瀬川原平や南伸坊らと「路上観察学会」を発足。91年《神長官守矢史料館》で建築家としてデビュー。 97年には《赤瀬川原平邸(ニラ・ハウス)》で日本芸術大賞、2001年《熊本県立農業大学校学生寮》で日本建築学会賞を受賞。

モザイクタイルとは?

タイルとは、建築物の表面に使われる陶磁器製の薄片に対する名称として、大正11年に定められた総称。そしてモザイクタイルとは、規定では、表面積が50cm²以下の小さな製品のこと。多様な形を組み合わせて多様なパターンを作り出すことができる、焼き物でできた建築物の装飾、と考えれば、その可能性はまだまだ広がるだろう。

多治見市笠原町を中心とする美濃の地域には、原料生産に始まり、成形、焼成、そして企画・販売まで、各製造過程のスペシャリストが集う分業体制が確立され、バリエーション豊かでデザイン性の高いモザイクタイルが製造されてきた。昭和30〜40年台には盛んに輸出され、国内外で使用されるモザイクタイルの多くが、この地域で生産されてきた。

モザイクタイルも、建築も

薄暗い大階段をのぼり、4階の扉が開くと、床から天井まで白いタイルに覆われた空間が広がる。台座の上や壁面にちりばめられているのは、地元を中心に各地から収集されてきたモザイクタイル画の壁面、銭湯の絵タイル、洗面台や浴槽など。昭和時代には日常風景の中に溶け込んでいたようなタイルが、藤森照信さんのディレクションにより、見たことのないような非日常の空間を作り出している。

3階展示室は、多治見のモザイクタイルの製造工程や歴史がたどれるコレクションを展示。タイル産業の歩みを記した年表や今となっては貴重な昭和のタイルの見本、そして製造工程と歴史を説明する映像も流れている。併設のギャラリーでは、タイル産業や歴史、アートなどに関する独自のテーマを設けて、年間3回程度の企画展示を行っており、コレクション展示の方もそのテーマに合わせて展示替えを行っている。

2階展示室は、今まさに流通しているタイルを、実際の生活の中でどのように活用したらよいか、16のシーンに分けて紹介。それぞれの空間をインテリアデザイナーが提案するデザインに基づいて作りこんであり、タイルの多様性を感じることができる。展示されているタイルは、コンシェルジュカウンターで注文することも可能。

1階の体験工房では、好きな小物にタイルの色や形、サイズが異なるモザイクタイルを貼って、自分だけのオリジナルを作ることができる。

また、タイルを使ったアクセサリーや箸置きから、館内の内装に使われているタイルといったアイデア次第で使い方が広がるアイテムを販売。地元のタイルメーカー製品、モザイクタイルミュージアムのオリジナル商品がバラエティ豊かに揃っている。

一昔前から暮らしに欠かせないタイルたち。その良さと魅力を伝えてくれる「多治見市モザイクタイルミュージアム」で、タイルの歴史と最新製品に触れて、タイルの魅力を再発見してみてはいかが。

多治見市モザイクタイルミュージアム
住所岐阜県多治見市笠原町2082-5
Tel|0572-43-5101
開館時間|9:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日|月曜日(月曜日が休日の場合は、翌平日)
※年末年始12/29〜1/3の間休館
https://www.mosaictile-museum.jp/

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