おせち料理に入ってる食材の意味とは?
お正月の基本
紅白かまぼこに伊達巻き、栗きんとん……お正月に欠かせないおせち料理。おめでたい料理が重箱に詰められたおせち料理ですが、なんともともとは神様へのお供え物でした。由来や定番食材、詰め方、意外な地元ルールなど、おせち料理を徹底解説します!
お話をうかがった方
神崎宣武(かんざき・のりたけ)
1944年生まれ。旅の文化研究所所長。民俗学者にして岡山県宇佐八幡神社宮司。『しきたりの日本文化』、『「まつり」の食文化』ほか著書多数
おせち料理の意味
おせち料理の「おせち」とは、「お節供」の変じたもの。もともとは季節の変わり目(節供)に無事を願って神様にお供えをし、それを下げていただくものだった。つまりおせち料理は歳神様へのお供えであり、その下がりものをいただくことで、歳神様の御利益を取り込む、縁起物ということ。また年始の客が来たときにせわしなくないように、すぐに出せる・保存の利くご馳走をつくっておくという意味もある。おせち料理は家族でいただく料理という面と、来客へのもてなし料理という別の面を併せ持っている。
おせち料理には、おめでたい意味をもつさまざまな種類の料理を詰めるが、その多くは豊作を願うもの、無病息災を願うもの、子孫繁栄を願うもの。絶対にこれを入れなければいけないという決まりはなく、地域によって異なる地元ルールがいつの間にか生まれ、そのまま現代まで受け継がれていることも多い。
おせちの定番食材
祝い肴三種
おせち料理には欠かせない祝い肴三種ですが、関西では「数の子」「田作り」と並び「たたきごぼう」が祝い肴三種とされており、関東では「たたきごぼう」に代わり、「黒豆」が祝い肴三種とされています。
北海道では年内の大晦日に食べるってほんと?
おせち料理は1月1日に食べるのが一般的だが、北海道では大晦日が常識。大晦日の夜、お越しになった歳神様に料理をお供えし、そのお下がりをいただくのだから、大晦日に食べるのは道理にかなう。古くは「おせちは大晦日」という地域が全国的にあったはずだ。
お重の詰め方にもルールがあります
最近のおせちは三段重が多いが、本来は一の重に祝い肴、二の重に口取りと酢の物、三の重に焼き物、四の重に煮物を入れた、四段重が正式とされている。中のものを食べたら、隙間のないように補充する。
一の重
黒豆や数の子、田作り、紅白カマボコ、伊達巻き、栗きんとんなどの祝い肴を入れる
二の重
海老の鬼殻焼きなどの焼き物と、なますや菊花かぶ、酢れんこんなどの酢の物を入れる
三の重
ニンジンやゴボウ、レンコン、結びこんにゃくなどを炊き合わせた煮物を入れる
市松
お重を9つの正方形に、均等に分けて盛りつける。中心部に升や青竹筒などを使ってもよい
隅切り
中央に菱形になるように一品(あるいは数種類一緒に)盛り、その外側に別の料理を盛る
末広
中心に小鉢などを置き、黒豆やなますを盛る。その周りを扇状に囲むように、料理を盛る
乱れ盛り
彩りよく詰めるのが絶対条件。色鮮やかものをアクセントに、いろいろな料理をランダムに盛る
段取り
たくさんの素材が入る煮染めなどに適した盛り方。お重を横に仕切り、列ごとに料理を盛る
手綱
馬のくつわに取り付ける綱をイメージ。隣り合うものの彩りに注意して、斜めに盛りつける
正月にまつわる素朴なギモン集。
正月の基本
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text:Ichiko Minatoya illustation:Miho Nakamura
Special thanks:Noritake Kanzaki
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