ガラス作家《安土草多》
心が和む、自然体なガラス
|渋谷パルコ「安土草多 個展」
食卓にひとつ迎えるだけで、温かな空気が漂う安土草多さんのガラスのうつわ。Discover Japan Lab.では2026年8月15日(土)~23日(日)にかけて「安土草多 個展」を開催。この独特な存在感は岐阜・高山の工房でどのようにして生まれるのか。
※個展初日の入店について、一部時間帯に整理券が必要です。詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)、または公式オンラインショップをご確認ください。
安土草多(あづち・そうた)
1979年、岐阜県高山市生まれ。ガラス作家の父・安土忠久氏の下で宙吹きガラスを学び、2002年に築窯。温かみがあり独特な雰囲気の作品で知られる。YouTubeで工房の様子を発信中。
作品をつくり続けることで
おのずとかたちが定まっていく

国内外を問わず、多くのガラス工房では数人の職人が工程を分担しながら制作を進める工業的なスタイルが一般的。安土草多さんのように、ガラスづくりのすべての工程を一人で担うスタイルは少数派だ。
日本では倉敷ガラスの創始者・小谷眞三がその先駆けとされ、その歴史はまだ100年に満たない。小谷は草多さんの祖父の誘いで飛騨高山に避暑のための工房を構え、草多さんの父・安土忠久氏はその背中を見て、吹きガラスを覚えた。草多さん自身も少なからず影響を受けているという。

「工業製品は、安価で実用性が高く、一定以上の品質を保ちながら効率を追求するもの。対して工芸品は、昔から受け継がれてきた技術を用いて、そこにつくり手の情感や特別な思いを込めるものではないでしょうか。一人で仕事をすることで、ガラスはより工芸的な存在になったような気がします」

四角い型に入れて息を吹き込み、型から外して上を向いてさらに息を吹き込むことで、側面がぷっくりと膨らんだ愛らしいフォルムに。途中、吹き竿を振って首の部分のガラスを伸ばしている。すっと伸びた首やお尻の丸みもチャーミング
草多さんは型吹きと宙吹きを組み合わせながら、生き物のように流動するガラスを自在に操る。息を吹き込めば膨らみ、重力や遠心力に従ってかたちを変え、薄い部分から少しずつ冷えて固まっていく。驚くのはその制作スピードだ。グラスひとつなら、ほんの5、6分でかたちにしてしまう。
工芸品であれば、複雑な工程に時間を惜しまず取り組み、それに見合った価格をつけることもできるだろう。でも草多さんが大切にしているのは、とにかく数をつくること。完成形の理想を最初から追い求めるのではなく、自分の肉体や窯の状態、その日の条件の中でベターなものを生み出し、出来上がった作品を見ながらよりよいかたちに寄せていく。年間の制作数は1万個弱。月にすれば800個を超える、驚くべき数だ。

もやもやと揺らぐ表面の模様は、型吹きの際、熱いガラスが鉄の型に触れて急激に冷やされ、表面が縮んで生まれたもの。型吹きによる端正なフォルムとともに、ガラスという素材ならではの有機的な表情が宿る
「一回の出来、不出来に一喜一憂するよりも、なるべきかたちになるまで、とにもかくにも数をこなしたいんです。いまはその過程です。この先20年制作に励み、作品数が20万個に達したとき、自分の仕事がどう変わっているのか。それを楽しみにつくり続けています」
ここに並ぶガラス作品はいずれも、その膨大な制作の積み重ねの中から、自然とたどり着いたかたちである。だからだろうか、一つひとつにぶれない重心を備えたような、静かな落ち着きが宿っている。質感も重量感も手に心地よく、気持ちを明るくしてくれる。
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安土草多 個展
会期|2026年8月15日(土)~23日(日)
会場|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)にてご確認ください。
※サイズ・重量は掲載商品の実寸です。同シリーズでも個体差があります。
※Discover Japan公式オンラインショップでは、本展の一部作品を2026年8月18日(火) 20時より順次販売予定です。(店頭の販売状況により日程・内容が変更になる場合があります)なお、ワイングラスのオンラインショップ販売はございません。
text: Yukie Masumoto photo: Siho Akiyama, Atsushi Yamahira
2026年9月号「木と生きる2026」


































