渋谷パルコ《内村宇博 個展》
心にゆとりをもたらす、
おおらかな表情のうつわ
結晶釉と呼ばれる釉薬で、うつわに煌めく表情を与え続ける陶芸家・内村宇博さん。技術を研ぎ澄ませることで、さらなる一歩を踏み出した作品には年を重ねるほど切に感じる、ゆとりへの憧れが隠されている。
東京・渋谷パルコのDiscover Japan Lab.では、2026年3月28日(土)~4月5日(日)まで「内村宇博 個展」を開催。「結晶釉×かたち」が織りなす多彩な表情を、ぜひ見比べてみて。
※個展初日の入店について、一部時間帯に整理券が必要です。詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)、または公式オンラインショップをご確認ください。
Discover Japan公式オンラインショップでは、本展の一部作品を2026年3月31日(火) 20時より順次販売予定です。(店頭の販売状況により日程・内容が変更になる場合があります)

内村宇博(うちむら たかひろ)
1988年、静岡県生まれ。武蔵野美術大学陶磁専攻を卒業後、愛知県常滑市に移り吉川千香子氏に師事。2016年に独立。現在は同市内にて、独自に研究を重ねた亜鉛華結晶釉による作品を紡ぐ。
これまでの経験と技術で
素材の魅力を生かす

微細な輝きをまとう螺鈿(らでん)のような工芸品に通じるものがある内村さんの作品。侘び寂びの精神が息づく釉薬の妙に、結晶釉を自在に操る技術が注ぎ込まれている
1960年代に日本でブームとなった結晶釉。焼成後に現れる繊細な煌めきは、日本人が古来好んできた花鳥風月に通じるものがあるが、その結晶釉を日常使いのうつわへと落とし込んだ作品こそ内村さんの真骨頂。
「旅先で各地の伝統に触れると、工芸品のすてきなところは素材と技術の融合だと感じるようになりました。これまでは素材を強く押し出すスタイルでしたが、釉薬の調整方法が確立されてきたので、最近は技術をミックスできればと思いはじめているところです」と、2025年は心境にも作風にも大きな変化があったという内村さん。その様子は、長年伸ばしていた髪をばっさりと切った風貌にも表れている。

中でも誌面で紹介する白い花器は、変化の象徴ともいえる新シリーズ。釉薬をかけた後の“ひと手間”を編み出したことで、異なるかたちであっても同じ世界観を描写することに成功した。
「いまの作風の前は、白い焼物を手掛けていたんです。技術的な壁に突き当たり途中で断念せざるを得なかったのですが、一周回って白という色に立ち戻ったことで、いろいろな白があることを再発見しました。色のある土の上に白い釉薬を何層も重ねることで、まだら模様をあえて狙った作品です」と、意のままに操れる画材が揃ったことで、表現の幅は大きく広がりはじめた。

これまでは口径や高台ひとつとっても、使い手の用途に思いを馳せてきた内村さん。だが、釉薬を制御できるようになったことで、思考は次のステップに。理想のかたちに没頭する、おおらかなものづくりにも挑戦中
煌めく結晶は内村さんの代名詞だが、その表情を生み出すには時間の管理が不可欠。「同じ温度を何時間も保持する必要がある結晶釉を続けてきたからこそ、時間への価値観が無意識に刷り込まれているのかもしれません」と、時間の流れを意識した作品づくりにも意欲を見せる。
そのきっかけともなったのが、作陶の拠点として身を置く愛知県常滑市の伝統工芸品・急須。「焼物の中でも茶器はゆっくりと時間が流れる場面で使われることが多く、そういった中で自分の作品が使われるのはいいですよね。昔から手掛けてみたいと思ってはいたものの、職人さんの背中を知っているからこそ安易に踏み込んではいけないと感じていました」と、茶器に関しては試行錯誤の真っただ中だという。

自分を慈しむ時間をもたらす茶器や花器だが、そんな暮らしにどこか気後れしてしまうのは、つくり手である内村さんも同じ模様。
「茶器が気になりはじめてから、お茶を飲む時間を意識的に設けるようになりました。お茶を味わったり花を生けたりするような暮らしに強い憧れがあるのですが、今回の個展の作品も、そういった憧れから出発したものですね」。

重厚な存在感から、プロの料理人にも愛用者が多い内村さんの作品。本個展では、そんな従来の魅力そのままに、普段使いしやすいカジュアルな作品も展示予定。マグカップや急須など“立ち物”を中心に展開する
作品ラインアップ

艶消白釉種形瓶
マットに近い釉薬を用いつつも、焼成によって生まれた若干のつやが奥行きに。和室にも洋間にも合うデザインが空間を印象づける。

艶消白釉撫肩梅瓶
花器の中でもインテリアのスパイスとなる大ぶりサイズ。華やかなアレンジメントを引き立てるほか、飾るだけでも存在感を放つ。

艶消白釉瓜形瓶
釉薬で表現した自然美を余すところなく堪能できる長い胴回りが魅力。生地に用いた有色の土は、大地や岩肌を表現している。

艶消白釉雫形瓶
ふくよかな胴に細く首が絞られた佇まい。どこか徳利を思わせる古風なフォルムだが、不思議とモダンな洋の空間にも調和する。

艶消白釉種形小瓶
同シリーズの中で、最も小ぶりなサイズ。ひと枝、一輪を生けるのはもちろん、大きさや色かたちの異なる花器を並べても◎。

艶消白釉玉形瓶
重力で釉薬が流れ落ちてしまう結晶釉の難しさが見て取れる作品。タマネギを思わせるコロンとしたフォルムが愛らしい。
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個展作品がオンラインで買える!
公式オンラインショップ
内村宇博 個展
会期|2026年3月28日(土)~4月5日(日)
会場|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)にてご確認ください。
※サイズ・重量は掲載商品の実寸です。同じシリーズでも個体差があります。
text: Natsu Arai photo: Shiho Akiyama
2026年4月号「地域の“旬”感へ」


































