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優雅なる庁舎の喫茶店《salon de 1904》
京都の美味しいレトロ建築①

2023.12.15
優雅なる庁舎の喫茶店《salon de 1904》<br><small>京都の美味しいレトロ建築①</small>

古都・京都は、実は明治・大正・昭和初期にかけて生み出された、近代建築の宝庫である。この秋は、懐かしい空気に包まれたレトロな空間と美味しいものに心ときめく旅をぜひ。
 
今回は1904年竣工の「京都府庁旧本館」に今年オープンしたばかりの喫茶店「salon de 1904」を紹介。一服後には館内見学も楽しみたい。

庁舎らしい高い天井、正面車寄せ側に設けられた大きな窓から光が注ぐ開放的な店内

現役の官公庁舎として日本最古の建築「京都府庁旧本館」に2023年7月、懐かしくて新しい喫茶店がオープンした。名は、建物の築年にちなみ「salon de 1904」。運営は、京都で創業半世紀を経た「前田珈琲」が手掛ける。京都市内に13店舗を置く同社は、「元明倫小学校」(京都芸術センター)や、「旧日本銀行京都支店」(京都文化博物館別館)など、歴史的建築に店を出してきた。「欧州から入ったコーヒーは、洋館によく似合うなと思うんです」と代表取締役の前田剛さん。「府庁旧本館は、壁は一部剥がれ、赤じゅうたんのすりきれも見られますが、国の重要文化財なので補修はできません。でも、それがいい。長い年月の証しで、新たにはできない空間のたまものですから」。白壁に高天井の部屋では、自家焙煎のコーヒーはもちろんスパゲティをはじめ定評あるフードも楽しめる。
 
旧本館の設計は、京都府技師・松室重光。「松尾大社」の摂社「月読神社」の神官を代々務めた家に生まれ、「京都ハリストス正教会」や「武徳殿」などの設計、社寺の修復でも知られる人だ。
 
アーチの連なる廊下、アカンサスをかたどったモチーフなど優美さの漂うルネサンス様式の中に、寺に見られる格天井など宮大工による精緻な技が凝らされているのも見どころ。カフェで一服したら、じっくりめぐりたい。

さりげなく彩るお宝の調度品たち

前田さんが集めたGHQ占領下時代の清水焼カップや、品川亮さんなど現代作家の絵画
府庁倉庫に眠っていた歴史的な椅子やテーブルが並び、椅子の背には珍しい木象嵌(もくぞうがん)が

物語の主人公気分に浸れる空間

旧本館の正面入り口を進めば大階段が。大理石の柱にはアカンサス(葉アザミ)の彫刻が施されている。ステップは京都・白川の御影石

1971(昭和46)年まで使われた旧知事室、大正・昭和天皇即位の礼の際に閣議も開かれた正庁、旧議場などが見学可。

全国の庁舎建築の手本となった瀟洒な外観
格式ある折上格天井が見られる正庁
煙草王・村井吉兵衛から贈られた棚には超絶技巧の木彫が
アーチの連なる廊下はロケ名所

◎1904年竣工
◎設計|松室重光
◎ルネサンス様式
◎れんが造2階建

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名物ナポリタンスパゲティ1030円は小気味よく酸味の利いたソースにアルデンテの麺がたまらない。ドリンクセットは+250円

 

《フランソア喫茶室》
芸術と自由を愛する人々が集まる優美な空間

 
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京都府庁旧本館
公開日時|火〜金曜、第1・3・5土曜の10:00〜17:00 
※公開日は変更の場合あり 
見学|無料 
Tel|075-414-5432
 
salon de 1904
住所|京都市上京区下立売通新町西入藪之内町 京都府庁旧本館内
Tel|075-414-1444 
営業時間|8:00〜17:00 
定休日|土・日曜、祝日

《京都の美味しいレトロ建築》
1|salon de 1904
2|フランソア喫茶室
3|喫茶 静香
4|築地
5|レストラン菊水
6|INDÉPENDANTS
7|東華菜館

text: Kaori Nagano, Makiko Shiraki, Minami Mizobuchi(Arika Inc.)
Discover Japan 2023年11月号「京都 今年の秋は、ちょっと”奥”がおもしろい」

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