《レストラン菊水》
京のハイカラ好きが生んだ本格西洋料理
京都の美味しいレトロ建築⑤
古都・京都は、実は明治・大正・昭和初期にかけて生み出された、近代建築の宝庫である。この秋は、懐かしい空気に包まれたレトロな空間と美味しいものに心ときめく旅をぜひ。
今回は本格西洋料理が楽しめる「レストラン菊水」を紹介。100年前の最先端スタイルだった放物線状の塔屋も必見だ。
美しい同空間を7代にわたって味わう家族も
四条大橋の東詰、南座の向かいに建つモダンなビルといえばこの店。もともとせんべい店を営んでいた奥村小次郎が1916(大正5)年に西洋料理店に商い替えし、国際都市・上海を地元工務店と視察の末このアール・デコやスパニッシュなど諸様式を合わせたビルを建てた。とりわけ目を引く放物線状の塔屋は、当時最先端のスタイル。「京都人のハイカラ好きですね」と4代目の奥村洋史さん。初代料理長に「天皇の料理番」秋山徳蔵の弟子を迎え生んだ味は100年を超え受け継がれ、現在1階はパーラー、2階はグリル、3・4階は宴会場として、ハレの日もケの日も京都の舌を満たしている。
昭和期にダンスパーティが盛大に開かれたという3階は、いまも時折ダンスホールとして利用され、往時と変わらぬシャンデリアが幻想的な陰影を映す。老舗レストランには7代にわたり通う顧客も
◎1926年竣工
◎設計|松村次郎(上田工務店)
◎アール・デコ、スパニッシュなど諸様式
◎鉄筋コンクリート造5階建(地下1階)
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アート空間 1928ビルで味わう名物パエリア
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レストラン菊水
住所|京都市東山区四条大橋東詰川端町187
Tel|075-561-1001
営業時間|10:00〜22:00(フードL.O.21:30)
定休日|なし
text: Kaori Nagano, Makiko Shiraki, Minami Mizobuchi(Arika Inc.) photo: Makoto Ito
Discover Japan 2023年11月号「京都 今年の秋は、ちょっと”奥”がおもしろい」