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《フランソア喫茶室》
芸術と自由を愛する人々が集まる優美な空間
京都の美味しいレトロ建築②

2023.12.16
《フランソア喫茶室》<br>芸術と自由を愛する人々が集まる優美な空間<br><small>京都の美味しいレトロ建築②</small>

古都・京都は、実は明治・大正・昭和初期にかけて生み出された、近代建築の宝庫である。この秋は、懐かしい空気に包まれたレトロな空間と美味しいものに心ときめく旅をぜひ。
 
今回は1934年開業の「フランソア喫茶室」を紹介。異国情緒あふれる優美な空間は必見だ。

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画家・伊谷賢蔵がこの店のために描いたという1960年代ヨーロッパの風景画が掛かる、北側の客席。立野コレクションの品々が店を彩る

四条通から高瀬川沿いを南下すると、長屋の中に洋風の外観が目に入る。1934(昭和9)年開業の「フランソア喫茶室」だ。異国を思わせる優雅な空間はイタリア出身のアレッサンドロ・ベンチベニ、ステンドグラスのデザインは画家の高木四郎が手掛けた。「誰もが好きなことを自由に表現できる場にしたいと、祖父・立野正一が仲間たちとつくり上げました。建築や音楽、美術など当時の西洋への憧れが詰め込まれています」と取締役の近藤光さん。サロン風の雰囲気に学者や芸術家など多くの文化人が魅了され、その中には藤田嗣治ら著名人の姿もあったとか。優美な雰囲気ですするコーヒーは、いまも心を満たす一杯となるはず。

豪華客船をイメージした品のある内装

ベンチベニが渡日の際に乗った豪華客船をイメージして設計。らせん柱や楕円の垂れ壁、細やかな装飾にはイタリアン・バロック調の意匠も。そこに立野が選んだ吊り下げ照明や高木デザインのステンドグラスが見事に調和。

◎1934年改修(南側店舗)
◎1941年改修(北側店舗)
◎設計|アレッサンドロ・ベンチベニ
◎イタリアン・バロック調
◎木造2階建、瓦葺

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バニラアイスと生クリームが凜とのるコーヒーゼリーは950円。ゼリー用に吟味したコーヒーブレンドを使用

 

《喫茶 静香》
西陣にカフェ文化を花開かせた喫茶店

 
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フランソア喫茶室
住所|京都市下京区西木屋町通四条下ル船頭町184
Tel|075-351-4042
営業時間|10:00〜22:00(フード類L.O.20:00、ドリンク&ケーキL.O.21:30)
定休日|なし ※12月31日、元日、1月2日は休業

《京都の美味しいレトロ建築》
1|salon de 1904
2|フランソア喫茶室
3|喫茶 静香
4|築地
5|レストラン菊水
6|INDÉPENDANTS
7|東華菜館

text: Kaori Nagano, Makiko Shiraki, Minami Mizobuchi(Arika Inc.) photo: Mariko Taya
Discover Japan 2023年11月号「京都 今年の秋は、ちょっと”奥”がおもしろい」

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