ART

山梨県富士吉田市
《FUJI TEXTILE WEEK 2022》
織物産地が開催する布の芸術祭

2022.11.8
山梨県富士吉田市<br>《FUJI TEXTILE WEEK 2022》<br><small>織物産地が開催する布の芸術祭</small>
作品イメージ:安東陽子《Aether 2022》
会場|KURA HOUSE

織物産地である山梨県富士吉田市を舞台にしたテキスタイルの祭典「FUJI TEXTILE WEEK 2022(フジテキスタイルウィーク)」が、2022年11月23日(水)〜12月11日(日)まで開催される。国内外アーティストによるテキスタイルをテーマにしたアート展「織りと気配」と、産地の歴史や現代のテキスタイルシーンを紐解く産地の展示会「WARP&WEFT」の2つを組み合わせたハイブリッド展だ。

1000年以上続く、
富士山麓の織物産地から発信する
「テキスタイルの未来」

メインエリア|山梨県富士吉田市中心市街地

東京から高速バスで1時間半の距離にある富士吉田市は富士五湖観光地として多くの人が訪れる街。同時に、富士山から流れ落ちる清涼な渓流の水の恵みによって、1000年以上続く織物産業の歴史を有する、知る人ぞ知る織物産地だ。

近代化の流れとともに、日本のテキスタイルをとりまく産業が海外の産業スケールに押され、各産地の生産量も減少していくなかで、富士吉田市のテキスタイルシーンでは現在多様な変化が起こっている。地方創生への眼差しが増え、産業の再生を図るプロジェクトが立ち上がり、クリエイターなど、観光以外を目的とした人々が富士吉田市を訪れるようになった。

このイベントでは、テキスタイルを中心とした地域の産業資源とクリエイティビティを混交し、テキスタイルの創造・普及・活性・継承のためのクリエイションとネットワークを紡いでいく。

2年目となる本年は、国外からもアーティストを誘致し、よりグローバルな視点でテキスタイルを見つめていく。また、現代アートに加え、ファッションや建築、テキスタイルデザインなど、さまざまな背景をもった作家の出展により、バラエティに富んだ作品ラインナップを計画し、富士山麓の織物産地から世界に向けて「テキスタイルの未来」を発信する。

アート展「織りと気配」

参考作品 : シグリッド・カロン《 OCCUPIED SPACE IV》
2011, buisnet geregen in de ruimte, 12 x 6 x 4 meter
会場 | 福源寺

アーティストがテキスタイルを素材にした作品や、機屋との共同作業で作り出したユニークな作品を展示。そこには柔らかく、風でなびく作品や、あるいは不定形の形状を描く作品が登場するだろう。この展示を通して「堅固な形状を半永久的に維持するはずの彫刻」という概念とは対極の、しなやかに変化し、ゆらぐ彫刻の可能性を追求していく。それは柔軟に時代を生き抜く創造性の姿だろう。テキスタイルとアートが織りなす新しい美の世界を作り出す。

作品イメージ:落合陽一《The Silk in Motion(仮)》
会場|小室浅間神社の神楽殿
作品イメージ:小林万里子《荷を引くものたち(仮)》
会場|月江寺池

「機屋共創プロジェクト」
アート展の取り組みの一つとして産地の機屋とアーティストによる共同制作を行い、織物の街、富士吉田市だからこそ実現する本プロジェクトを通して、テキスタイルとアートの役割や機能を問い、新たな可能性を探る。

アート展 出展作家(五十音順)
安東陽子、落合陽一、Sigrid Calon(シグリッド・カロン)、Patric Carroll(パトリック・キャロル)、小林万里子、高須賀活良、YUIMA NAKAZATO、村山悟郎、HELENE LAUTH(エレン・ロット)

産地展「WARP&WEFT」
- History of textile products in Yamanashi Region -

撮影:吉田周平

この土地に脈々と根付き受け継がれてきたものづくりのDNAが、今なお産地にはタテ糸(WARP)のように通っている。また、いつの時代も、社会のうねりや個性との出会いがヨコ糸(WEFT)のように駆け抜け、多様な生地やプロダクトが生まれてきた。本企画では、過去から現在にかけて受け継がれ生まれてきた生地やプロダクトを、山梨ハタオリ産地の系譜とともに展示販売される。さらに、クリエイターやデザイナー向けに生地の可能性を提案する会場も用意。

江戸時代に高級裏地の産地として名声を博した郡内産地は、時代の移り変わりと共にネクタイや服地、ストール、傘、座布団、その他ライフスタイル系のプロダクトまで、それぞれの工場ごとに製造の幅を広げてきた。ニーズに合わせて変容し続けている産地の意思とDNAを体験できる展示空間だ。

一部のプロダクトは会場にて週末開館日のみ会場で購入することができる。本展でしか出会えない展示品の数々、そして代わる代わる在廊する織物職人との交流も楽しめる。また、産地や生地づくり、プロダクトに関するトークイベントなどのコンテンツも予定している。

産地展会場|ワタトウビル 2-3F

TEXTILE LINK

コーディネーター・森口理緒さん

会場内別フロアではテキスタイルコーディネーター・森口理緒さんが「TEXTILE LINK」と称して、さまざまなジャンルのクリエイターやデザイナー向けに織物に関する相談に乗り、布の可能性を提案する場を設けた。

サンプル生地やマテリアルブック、テキスタイルの特性を活かした空間づくりやプロダクトの事例など、色々なアイデアの種を共にしながら、生地との出会い、産地との接点づくりのサポートを行う。

WARP&WEFT展 協力・出品事業者(五十音順)
(株)エルトップ、(株)川栄、滝口織物、(有)田辺織物、(有)テンジン、(有)羽田忠織物、光織物(有)、フジチギラ(株)、舟久保織物、(株)前田源商店、(株)槙田商店、宮下織物(株)、武藤(株)、山崎織物(株)、渡明織物、(有)渡小織物、Watanabe Textile、渡辺機械、渡縫織物(株)

フリンジプログラム

アーティストや建築家、デザイナーによる、新たなテキスタイルの使い方、表現、研究などの活動を紹介するプログラム。

古市淑乃《 Colors by Reflection》
with CHROMASHINE® from Toyo Aluminium K.K.
渡邊竜康《美しさの硬い芯》
FUJI TEXTILE WEEK 2021 撮影: 吉田周平

1000年以上の歴史を持つ織物産地、山梨県富士吉田市で開催される「FUJI TEXTILE WEEK 2022(フジテキスタイルウィーク)」。国内外のアーティストが手がけるテキスタイルとアートが織りなす作品や、過去から現代にかけて受け継がれ生まれてきた生地やプロダクトなど、布の魅力をぜひ体感してみてはいかがだろうか。

FUJI TEXTILE WEEK 2022
開催期間|2022年11月23日(水)〜12月11日(日)
※期間中の水曜~日曜日 *月曜~火曜は休み
開場時間|平日 10:00〜16:00(15:30 受付終了)、祝日・休日 10:00〜17:00(16:30 受付終了)
会場|山梨県富士吉田市下吉田本町通り周辺地域
観覧料|アート展「織りと気配」一般 1000円(富士吉田市民入場無料)、産地展「WARP&WEFT」入場無料
https://fujitextileweek.com
https://www.instagram.com/fujitextileweek
※新型コロナウイルス感染症対策については公式サイトへ

山梨のオススメ記事

関連するテーマの人気記事