達成度ランキング上位国からひも解く、
世界のSDGs事情【後編】
《SDGsの基礎知識》
よりよい社会の実現を目指すための世界共通の指標「SDGs」。さまざまな施策がある中、SDGs達成度ランキング上位国の施策から日本の現状を考えてみたい。今回は、前後編記事で世界のSDGs事情をひも解きます。
SDGs達成度ランキング上位3ヶ国
それぞれの施策
3位 デンマーク
期限切れ食品専門スーパーで社会貢献!?
包装ミスや賞味期限が切れた商品を扱う非営利スーパーマーケット「Wefood」。フードロス問題を解決しつつ、売上は途上国支援に充てられる。店員はボランティアで成り立ち、学生や外国人の職業訓練の場にも。2016年に1号店が誕生、現在は6店舗を展開中。
デンマーク発、フードロス解決アプリ
食品ロス問題を解決するアプリ「Too Good To Go」が人気上昇中。世界で5万軒以上の飲食店が参加しており、店は売れ残り品を割引販売、ユーザーは安く商品を購入できる。双方にプラスの経済的効果がある上に、社会貢献感がもてると話題になっている。
デポジット制度で
容器回収率は90%以上!
デンマークでは飲料の料金に容器代が含まれ、缶や瓶などを回収ボックスに返却すると容器代が戻ってくる。容器にはパントマークが付いていて、350㎖の缶は1デンマーククローネ(約17円)など種類により料金が異なる。リサイクルが日常に根づいているのだ。
2位 スウェーデン
日本の装飾文化が世界的アートとして注目
日本の「襤褸(ぼろ)」が2021年3月からストックホルムの東アジア博物館で展示され注目を集めている。経済成長期に定着してしまった使い捨て文化やファストファッションへの反動で、モノを長く、直しながら大事に使い続ける「用の美」があらためて共感を呼んだ。
世界的有名企業も積極的にSDGsを提唱
「IKEA」ではグリーンウォッシュに終わらせないと事業のあらゆる部分を見直し。Climate Positive(気候変動によいインパクトをもたらす)を掲げ、商品原料6割が再生資源、製造・流通・販売を通じCO₂排出減を試み、社会全体への貢献を目指している。
1位 フィンランド
焙煎豆を入れた箱までもリサイクル
「サステイナブルなコーヒーを」とPaulig社×Artisan Caféがコラボして、近年話題の嫌気性発酵させた焙煎豆が誕生。さらに注目すべきは箱。底には針葉樹の種が仕込まれており、土を入れるとプランツポットに。箱すら最後まで使い、次の自然を育てる心意気。
今年中には商業化!?
革命的タンパク質
フィンランドのスタートアップ企業Solar Foodsは、将来の食料不足を考慮し、代替タンパク質「Solein®」を開発。水素酸化細菌に二酸化炭素と電解水素、アンモニアを加えてできる粉末状のタンパク質は、昆虫食に続く食の救世主として期待される。
世界に先駆けて独自のSDGsを発信!
フィンランドでは2017年よりSitra(独立イノベーション基金)にてWCEF(世界循環経済フォーラム)を開催。2018年秋には日本の環境省と共催し、今年はカナダと企画予定。民間企業もサステイナブルに利益を生み出すビジネスが当たり前になってきている。
edit&text: Shoko Horiuchi, Takako Servo, Yuka Harikai
Discover Japan 2021年9月号「SDGsのヒント、実はニッポン再発見でした。」
《SDGsの基礎知識》
・まずは知っておきたいSDGsの超・基本情報
・世界のSDGs事情【前編】
・世界のSDGs事情【後編】
・環境省・中井徳太郎さんに聞いた、日本が行っているSDGsへの取り組み【前編】
・環境省・中井徳太郎さんに聞いた、日本が行っているSDGsへの取り組み【中編】
・環境省・中井徳太郎さんに聞いた、日本が行っているSDGsへの取り組み【後編】