環境省・中井徳太郎さんに聞いた
日本が行っているSDGsへの取り組み【後編】
《SDGsの基礎知識》
「誰一人、取り残さない」と包括的に世界の課題に挑むSDGs。重要性は感じつつ、何から手をつければ……と悩める企業・自治体は多いはず。そこで国連よりずっと先にSDGs的立ち位置で社会課題に対峙してきた環境省・中井徳太郎さんを直撃。「何をどこから?」のヒントを伺いました。今回は、SDGsのこれまでとこれからを、3つの記事でご紹介します。
大いなる自信と少しの危機感を
ESGとは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字のこと。
ESG地域金融とはこの3つを重視して地域の金融機関が、企業を分析。積極的に投資を進めていく新しいファイナンスの仕組みだ。
「大きな変革をなし得るには、やはり資金が必要不可欠。これも地域の環境、社会を熟知した地銀や信用金庫などに積極的に参画してもらうのが成功の礎になる。地域の金融機関が、同じ地域で地域循環共生圏の創出に関連する事業を立ち上げた場合、その市場性や利益性の掘り起こしに積極的に協力して、あらゆる側面から支援促進していく。そんなスキームを環境省はバックアップしています」
具体的には金融庁と環境省との連携チームで、地域金融と事業者を合わせたプロジェクト立案のセミナーを実施している。
「『環境省ローカルSDGs 地域循環共生圏づくりプラットフォーム』では、先行事例からの学びや、こうした金融機関とつながるきっかけを提供しています。学びの機会、仲間づくりの場として参画してもらえれば、それぞれの地域で地域循環共生圏を構築する大きな一歩になるはず。SDGsのゴールに近づく一歩にもなる」
世界はさらにダイナミックに動いている。企業が必要な電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目指す「RE100」や、パリ協定と整合した削減目標を設定する「SBT(Science Based Targets)」などの流れは加速している。こうしたイニシアチブに参加する企業の中には、サプライチェーン全体の脱炭素化に向け、サプライヤーに排出削減目標の設定や再エネ100%電力の使用を要請する企業も出てきている。
このように、既出の「カーボンニュートラル」や「サーキュラー・エコノミー」、「NbS」などもSDGsの浸透とともに、経済活動における当たり前の立て付けになりつつある。
先行してきた日本の我々は、誇りと自信と危機感をもって、持続可能でワクワクする未来をかたちづくっていきたい。
text: Koki Hakoda photo: Atsushi Yamahira
Discover Japan 2021年9月号「SDGsのヒント、実はニッポン再発見でした。」
《SDGsの基礎知識》
・まずは知っておきたいSDGsの超・基本情報
・世界のSDGs事情【前編】
・世界のSDGs事情【後編】
・環境省・中井徳太郎さんに聞いた、日本が行っているSDGsへの取り組み【前編】
・環境省・中井徳太郎さんに聞いた、日本が行っているSDGsへの取り組み【中編】
・環境省・中井徳太郎さんに聞いた、日本が行っているSDGsへの取り組み【後編】