FOOD

石川・金沢《吉はし》
予約必須!憧れの和菓子店

2024.6.19
石川・金沢《吉はし》<br>予約必須!憧れの和菓子店

繊細な上生菓子に定評がある石川県金沢市の「吉はし」。その人気の秘密について、金沢を拠点とするうつわ作家・松本かおるさんに語っていただきました。

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憧れの和菓子店で、予約制の上生菓子を

「吉はし」の上生菓子をのせた皿の上は、さながら早春の里山のよう。「ふきのとう」は麩の焼きで練り切りを包んだ一品。麩の焼きを上生菓子として日常的に嗜むのは金沢ならでは

金沢でも食にまつわる魅力的な店と出合っては、店主と親交を深めているという松本かおるさん。「はじめて訪れたときから温かく迎えてくれて、本当に皆さんおもてなし上手だなと感じますね」

お茶とともに楽しむ和菓子の御用達は、「吉はし」。繊細な上生菓子に定評があるが、店内にそれらは陳列されていない。「こちらの上生菓子は、前日までの予約制なんです」と松本さん。注文分のみをあつらえ、店頭で引き渡す。

受け取りの窓口は昔ながらの風情が残る。いまも現役で使われている木製の通函(通い箱)で上生菓子を受け取る松本さん

「金沢は文化的に京都の影響が色濃いですね。京都の上生菓子は抽象的なデザインが中心なのですが、金沢も同様です。ただし、京都では“こなし”といわれる製法でつくられることが多い一方、金沢では関東で多用される“練り切り”が一般的です」と話すのは、3代目を継ぐ吉橋慶祐さん。

梅が香
梅の花をかたどった練り切り。削ぎ落とされたミニマルな意匠に美が宿る。配色によって「紅梅」の銘にも。中にはこしあんが包まれている

「京都と関東の特徴を併せもつ金沢のお菓子、おもしろいですね」。通い箱に収められた上生菓子を前に、松本さんがつぶやく。愛らしいウグイスを表現した「春告鳥」、雪を頂いた梅の花の「香雪」など、趣深い菓銘もまた味わいの一部だ。

上)「いちご大福」は生クリームを加えた求肥で、白あんと大粒のイチゴを丸ごと包み込んだ大福。甘酸っぱくジューシーなイチゴに、口溶けよくまろやかな求肥が好相性。380円。
下段左)「凸凸(とつとつ)」はクルミに黒糖、抹茶など4種の味をまとわせたお菓子。740円は「豆半」から。
下段右)寒氷ミニは「豆半」の定番商品。砂糖入りの寒天液をすりこぎで混ぜ、白濁させたマットな質感が特徴。桜や星などの型抜きが愛らしく、シャリッとした食感が楽しい一品。400円
風格ある暖簾

吉はし
昭和22年、ひがし茶屋街のほど近くで創業。季節を写した上生菓子320円〜は、茶道愛好家を中心に高い人気を誇る。上生菓子は予約必須だが、3代目の兄弟が「予約なしで気軽に購入できるものを」とブランド「豆半」をスタート。どら焼きやフルーツ大福など、親しみやすい品々を揃える。こちらは午前中に売り切れることが多いため、早い時間に訪問を。

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吉はし
住所|石川県金沢市東山2-2-2
Tel|076-252-2634
営業時間|9:30〜17:30、月曜9:00〜12:00、日曜9:00〜11:00
定休日|なし

text: Aya Honjo photo: Yoshihito Ozawa
Discover Japan 2024年3月号「口福なニッポン」

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