日本屈指の効き湯
福島県《高湯温泉》
|温泉教授・松田忠徳が惚れた名湯10選④
保湿やアンチエイジングの効能がある美肌をつくる温泉、胃腸や免疫力など体内に効く温泉……。温泉研究歴40年以上の大先生が、人気温泉地から秘湯まで、東西の名湯をセレクト。
今回は全国屈指の硫黄の含有量を誇る福島県・高湯温泉を紹介。
レトロな風情が残る昔ながらの湯治を味わう
全国屈指の硫黄の含有量とその薬効の高さから、“東北の草津”と呼ばれてきた福島・高湯温泉。個人的には草津より薬効は高いとの印象を抱いている。創業が江戸初期1607(慶長12)年の安達屋、1868(明治元)年の旅館 玉子湯や吾妻屋など、約10軒の旅館がある。
共同浴場「あったか湯」はすべて露天風呂で、この湯に浸かると高湯が“ただならぬ温泉”であることに気づくはずだ。事実、私たちは化学的調査と入浴モニターによる実証実験を行ったが、“日本最強級”の温泉との印象を得た。
水道水、ミネラルウォーター、「あったか湯」の滝の湯源泉を、それぞれペットボトルに詰め、釘を各1本入れ封をした。4日目に水道水とミネラルウォーターにさびをはっきりと確認。ところが高湯の湯は2カ月半を経過してもなおさびは確認できなかった。突出した抗酸化力の源泉なのだ。
今回推薦する約1.3haの敷地に4室の「静心山荘」は、泉源から最も近い宿で、湯温もほかの宿より低めなので、お年寄りやぬる湯好きの人に特におすすめだ。
総木造の浴舎で、湯船が男女それぞれひとつ。ひと目で魅入られそうな青みを帯びた乳白色の硫黄泉が静かにかけ流されている。ソロ入浴派には極めつきの風情だろう。露天風呂はないが、すでに内湯が露天のような雰囲気なのだ。ご夫婦二人で切り盛りする宿で、女将さんの手料理にはファンが多い。
line
≫次の記事を読む
静心山荘
住所|福島県福島市町庭坂字湯花沢1-15
Tel|024-591-1129
料金|1泊2食付1万600円〜(税・サ込)、日帰り入浴500円
IN|14:00
OUT|10:00
キッチン〇/ランドリー〇/Wi-Fi〇
<温泉data>
泉質|硫黄泉
湧出温度|約43.8℃
かけ流し|〇
00|いまこそ知りたい“予防湯治”の心構え
01|秋田県《乳頭温泉郷》
02|三重県《榊原温泉》
03|岩手県《花巻南温泉峡》
04|福島県《高湯温泉》
05|奈良県《十津川温泉郷》
06|和歌山県《南紀勝浦温泉》
07|栃木県《奥塩原温泉》
08|山梨県《下部温泉》
09|鳥取県《三朝温泉》
10|鹿児島県《妙見温泉》
text: Tadanori Matsuda
Discover Japan 2024年2月号「人生に効く温泉」