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海の復権《瀬戸内国際芸術祭 2022》
犬島のアートが地域を元気にする

2022.9.28
海の復権《瀬戸内国際芸術祭 2022》<br><small>犬島のアートが地域を元気にする</small>
犬島精錬所美術館
柳 幸典『ヒーロー乾電池/イカロス・タワー』
写真=阿野太一

今年で通算5回目の開催を迎える瀬戸内国際芸術祭。2010年から3年に一度開かれている、日本最大規模のアートイベントだ。人々の営みや島の風土と共鳴した作品は、ここにしかない感動を呼び起こし「海の復権」というテーマをめぐる気づきを与えてくれる。

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《犬島》
自然と共生する近代化産業遺産の島

岡山市唯一の有人島。花崗岩が産業の中心で、江戸時代から明治時代にかけて多くの石工が来島し、岡山城造成や大阪港築港の採石が行われた。製錬所跡を再生した美術館のほか、今回は大宮エリーさんによる新作も見どころに。

面積0.72㎢/人口36人

犬島精錬所美術館
1909年に開業し、わずか10年ほどで操業を停止した製錬所。設計は三分一博志が手掛け、煙突の高低差を利用し自然のエアコンとするなど、電気を使わない工夫が随所に
写真=阿野太一

近代化産業遺産である銅製錬所の遺構を保存した犬島精錬所美術館のコンセプトは「在るものを活かし、無いものを創る」。製錬所の副産物であるカラミれんがを使い、植物の力を借りた高度な水質浄化システムを導入するなど、周囲の環境に負荷をかけないよう設計されている。館内の作品は、経済成長に突き進む日本を憂いた三島由紀夫がモチーフになっている。失ったものを振り返り、未来を考えるきっかけと、きっと出合えるはずだ。

長く放棄されていた土地を再生した『犬島 くらしの植物園』にも足を延ばしてみよう。ワークショップなどを通して「植物にできることのすべて」を体感し、自然と共生していくヒントをつかみたい。

犬島精錬所美術館
柳 幸典『ヒーロー乾電池/イカロス・タワー』

解体された三島由紀夫の自邸の建具や廃材を使用したものなど、堂々たるスケール感で展開されるアートワークは圧巻だ
写真=阿野太一

 

粟島をめぐる
 
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海の復権《瀬戸内国際芸術祭 2022》
アートが地域を元気にする

1|序章
2|小豆島編
3|男木島編
4|大島編
5|豊島編
6|犬島編
7|粟島編

瀬戸内国際芸術祭2022
https://setouchi-artfest.jp/

text: Aya Honjo photo: Kenta Yoshizawa
Discover Japan 2022年9月号「ワクワクさせるミュージアム!/完全保存版ミュージアムガイド55」

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