HOTEL

「HOTEL WHY」
徳島県・上勝町に世界初のゼロ・ウェイストアクションホテル が誕生!
【最先端のSDGs Part 4 捨てる】

2021.9.20
「HOTEL WHY」<br>徳島県・上勝町に世界初のゼロ・ウェイストアクションホテル が誕生!<br><small>【最先端のSDGs Part 4 捨てる】</small>

いま、ホテル業界においてもSDGsへの取り組みが重要視され、ニューオープンの中にはSDGs特化型のホテルも登場。滞在を通して、これからの暮らしを考えるきっかけをもたらしてくれます。SDGsを切り口に滞在すれば、新しい旅の楽しみ方、ホテルの楽しみ方が広がります。

徳島の山あいにある過疎の町に2020年5月にオープンした「ゼロ・ウェイストアクションホテル HOTEL WHY」を、徳島出身のエシカルファッションプランナー・鎌田安里紗さんが訪問。滞在を通して浮かび上がる、ごみ問題という大きなテーマを体験します。

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鎌田安里紗(かまだ・ありさ)さん
1992年、徳島県生まれ。エシカルファッションプランナー。生態系管理論を専門とする父に連れられ、幼い頃から上勝町を訪れる。現在は慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程に在籍し、エシカルファッションプランナーとして活動する。共同代表を務める一般社団法人「unisteps」では、エシカルファッション講座やコミュニティを提供中

上勝のゼロ・ウェイストに参加
チェックアウトの通過儀礼はごみの分別です

チェックアウト前の特別な体験が、上勝町の象徴のひとつでもあるごみ分別。整然としたゴミステーションでの分別は、「捨てる」行為を再考するきっかけになるはず。

容器や包装のごみは洗浄・乾燥して出すのがルールなので、匂いはほとんどしない。クリーンな空気が心地いい

世界一美しいごみ分別所で
SDGsな滞在を終える

翌朝、客室のデッキに続くドアを開けてすがすがしい空気を楽しむ鎌田さん。パッキングを済ませたら、チェックアウトの前には大切なミッションがある。ごみの分別だ。滞在中に出たごみのバスケットを手に、施設の中核ともいえるゴミステーションへ。実は上勝町のごみ分別は、その数45! 6つに分けたバスケット中のごみを、ここであらためて分別することになるのだ。上勝町にごみ収集車はなく、町民も自宅で大まかに分別したものを車で持ち込み、ここで細かく分けていく。紙パックも裏が白か銀かで違う扱いになったりと、紙類だけで9品目。これは慣れないとなかなか難しい。「コンタクトレンズのアルミ蓋はどの品目になるのかな?」と迷う鎌田さんに、「“雑金属”のところに入れてください」とスタッフが声を掛けてくれる。

興味深いのは、分別用のコンテナに資源物名だけでなく、リサイクル先、処理費、売却益が記載されていること。紙類は再生紙、金属類は各種金属製品に生まれ変わり、それぞれ1㎏あたり約3円、6円の収入になる。一方で処理費がかさむ品目も多く、布団類なら1㎏あたり58円の支出に。リサイクル先が遠方になるほど運搬費も上がる。「具体的なデータを共有することで、コスト意識がいっそう高まります」と大塚さん。丁寧に分別した結果、革製品、紙おむつといったリサイクル不可のものも発生する。上勝町では「可燃ごみ」でなく「どうしても燃やさなければならないもの」と強い表現で、捨てる人の意識に問い掛ける。「私がいま東京で住んでいる区では、ごみはほぼ燃やすごみ。45品目は楽ではないけど、自分の中で分別の解像度が上がりました」と感慨深げな鎌田さん。「WHYはゼロ・ウェイストを意識し続けるリマインダーとして、これからもコンスタントに訪れたい場所。ここに来ることで、誰かとごみの話がしやすくなる。そんな変化を、多くの人に体験してもらえたらいいなと思います」。

生ごみも大切な資源
捨てずにコンポストへ

町民には生ごみ処理機の購入補助があり、各家庭で生ごみを堆肥化する。鎌田さんもそれに倣い、コーヒーかすをホテルのコンポストに投入。

ゼロ・ウェイストアクションホテル HOTEL WHY
住所|徳島県勝浦郡上勝町大字福原字下日浦7-2
Tel|080-2989-1533(9:00~17:00)
客室数|4室
料金|1泊朝食付1万1000円~(税・サ込)
カード|AMEX、DINERS、JCB、Master、UC、VISAほか
IN|15:00
OUT|10:30
施設|ラーニングセンター&交流ホール、コラボレーティブラボラトリー、
くるくるショップ、ごみ分別所&ストックヤード、コインランドリー
 
 

≫公式サイトはこちら

 

text: Aya Honjo photo: Natsuko Ishikawa
Discover Japan 2021年9月号「SDGsのヒント、実はニッポン再発見でした。」

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