東京・日本橋馬喰町「ANTCICADA」
近未来のスタンダード?昆虫で発酵!
昆虫のスペシャリストと発酵家、「レフェルヴェソンス」出身のシェフがチームを組んだレストラン「ANTCICADA(アントシカダ)」が、発酵の力でこれまでの昆虫食のイメージを覆す。
昆虫のための料理ではなく
料理を美味しくするための昆虫
コオロギラーメンや昆虫を使ったコース料理、発酵食を提供するレストランANTCICADA。昆虫は食糧危機に備えて肉に代わるタンパク源として注目されているが、代表の篠原祐太さんはエコな観点だけでなく純粋に食材としての昆虫の美味しさ、ポテンシャルの高さを伝えたいと語る。「昆虫といっても地球上に100万種が存在し、味や香りも多種多様。すごく奥深い世界なんです」
確かに、雑食のコオロギと桑の葉を食べる蚕が同じ味なわけがない。コオロギは餌によって風味が変わるため、コオロギだけでさまざまな個性の醤油をつくることもできる。発酵との相性も抜群だ。
「もともと圧倒的なレパートリーがある昆虫という領域に発酵を加えることで、味や使い方の幅を横にも縦にも広げられます。見た目が苦手という人にも馴染みやすくなるので、食材としての理解や認知にもつなげたいと考えています」。
昆虫を使った自慢の発酵食品
コオロギ醤油
コオロギと米麹、食塩水を木桶で発酵熟成。搾ったままのこい口と、おりを濾したうす口がある。1本に約482匹のコオロギを使用。
コオロギビール
福島県産フタホシコオロギとローストモルトを麦汁に加え、コオロギの旨みと香りを引き出した黒ビール。甘みと苦みのバランスが◎。
タガメのジン
「アルケミエ辰巳蒸留所」と共同開発した蒸留酒。粕取り焼酎の芳醇な香りと、タガメのフルーティな香りとの相性を楽しめる。
蚕沙(さんさ)の蒸留酒
「mitosaya薬草園蒸留所」と共同開発した蒸留酒。桑の実のブランデーと蚕の糞のスピリッツをブレンドしたもので唯一無二の味わい。
①蚕糞茶のコンブチャ
②蚕のサナギの醤油
①桑の葉のみを食べて育つ蚕の糞を焙煎してつくる蚕糞茶を使ったコンブチャ。養蚕の副産物である蚕や蚕糞は古くから食材として利用。
②蚕のサナギを発酵させた醤油とメープルシロップ、黒酢のソース。甘い香りが皮をパリっと仕上げたうずらと好相性。ヤングコーンのヒゲにも蚕醤油を噴霧。
その他にも「コオロギラーメン」と「地球を味わうコース料理」も用意。虫をはじめとした様々な生き物たちの魅力を味わってみてはいかがだろうか。
ANTCICADA
住所|東京都中央区日本橋馬喰町2-4-6
Tel|03-6881-0412
営業時間|コース料理 金曜18:30〜、土曜12:00〜、17:30〜 ※予約制、コオロギラーメン日曜11:00〜15:00、17:00〜20:00
定休日|月〜木曜
コース料金|6400円(税抜)
https://antcicada.com
text: Akiko Yamamoto photo: Atsushi Yamahira illustration: Saki Obata
Discover Japan 2021年7月号「ととのう発酵。」
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