そうめんの選び方のポイントって?
究極のそうめんを探せ!前編
夏の定番料理であり、「長く延ばしても切れない」縁起物として日本の食文化に根づいたそうめん。その知られざる魅力をそうめん研究家のソーメン二郎さんに教えていただきました。
ソーメン二郎(そーめんじろう)
そうめん研究家。奈良県のそうめん製麺所の家系に生まれ、全国各地のそうめんを食べ歩き、各種メディア出演でそうめん復権活動を行う。『簡単! 極旨!そうめんレシピ』(扶桑社)監修
意外と知らない?そうめんのルーツ
夏の風物詩として日本の食卓に涼味を届けてくれるそうめん。そのルーツは、奈良時代に中国・唐から伝来した菓子「索餅(さくべい)」といわれている。
「ツイストドーナツのような揚げ菓子で、宮中で貴族が食べる最高級料理でした。その後、室町時代に現在のかたちになった後、豊臣秀吉が姫路城に入った頃に〝そうめん開き〟のようなことがあって市民に開放され、醤油が誕生した江戸時代の元禄の頃に大衆化しました」
長い歴史の中で、発祥の地といわれる奈良の「三輪そうめん」、そして「播州手延べそうめん」、「小豆島そうめん」の日本三大そうめんを皮切りに、全国へ広がり、多様なそうめん文化が各地で生まれた。その魅力は手延べにあるとソーメン二郎さんは熱く語る。
「パッケージに『手延べそうめん』と書いているものは、機械式ではなく、職人が人力で小麦をこねて、高度な技術で1㎜以下でも切れないように延ばしている。中でも、最高峰の超極細そうめんは、毎年皇室に献上されているほどの職人文化です。手延べそうめんはコシが強く、何より爽快感、疾走感のある〝のど越しジェットコースター〟が感じられる、まさに本物の味です」
基本的に家で食べる慣習で、お中元文化が廃れた現代では、身近過ぎるがゆえに軽視されがちだが、現在の世の中の状況には最適な食べ物だと続ける。
「そうめんは、七夕に食べると飢饉や疫病が治るという唐から伝わった伝承が日本でも根づき、夏の食べ物として定着しました。これはパンデミックが広がるいまの状況と同じ。美味しいだけじゃなく保存も利いてタンパク質やミネラル、老化防止に影響するセレンなど栄養価も豊富。固定観念を覆す本物の味を、ぜひ楽しんでください」。
究極のそうめんを探せ!
前編|そうめんの魅力って?
中編|ニッポンのそうめんカルチャー
後編|私的そうめん四天王
お中元にもおすすめ!
各産地から厳選したそうめんギフトセット
各産地から厳選したそうめんギフトセット
text: Ryosuke Fujitani photo: Hiroyuki Jyoraku
Discover Japan 2020年9月号「この夏、毎日お取り寄せ。」