ART

MINO SOIL<ミノソイル>
美濃の土の可能性。マテリアルからの思考が創出する革新的な価値

2021.3.28
MINO SOIL<ミノソイル><br>美濃の土の可能性。マテリアルからの思考が創出する革新的な価値

日本で最も陶磁産業の盛んなエリアとして知られる岐阜県美濃地方。そんな美濃の地に受け継がれてきた土の可能性を、デザインを通して発信するブランド「MINO SOIL(ミノソイル)」が誕生する。2021年初夏には、ムンバイを拠点に活動する建築設計事務所、Studio Mumbai(スタジオ・ムンバイ)とのコラボレーションで「美濃の土」にフォーカスしたインスタレーションも開催予定。いま注目すべき「MINO SOIL」とは一体どんなものか?

1300年前から世界有数の陶磁文化をつくり上げてきた。

美濃地方の陶磁産業は、伝統ある美濃焼を代表とする芸術品から日常のスタンダードになっている食器、そして建築やインフラのためのタイルやファインセラミック製品まで、きわめて幅広い領域をカバーしていることが特徴だ。こうした産業が発達してきた根幹には、美濃で採れる土の素晴らしさがある。

いまから200~500万年前、美濃地方一帯は東海湖と呼ばれる巨大な湖の底にあった。そこに、周辺地域で風化した花崗岩などの成分が粘土となって流れ込み、長大な時間の中で生成された湖底の粘土層は、深く堆積し、熟成していった。その後、土地の隆起により地表付近に現れた多様にして豊かな土と、森林や水系に恵まれた自然環境が、美濃のものづくりの背景だ。

美濃では、さらに土の成分を緻密に調合し、用途ごとに最適の陶土ちするノウハウが発達。原料のポテンシャルを創意工夫により引き出して、1300年もの昔から世界有数の陶磁文化をつくり上げてきたのだ。

そんな美濃の土の可能性を、デザインを通じて発信しようというのが今回誕生したブランド「MINO SOIL」だ。

ローカルの土を使ってローカルの人々がつくるのは、ホームユースから商業施設や公共施設まで幅広いニーズに応えるインテリアプロダクト。時代を超える魅力と美しさを備えたプロダクトは、美濃のつくり手と世界を繋ぎ、土についての意識を変えていくことだろう。そのために、資源の貴重さを心に刻み、確かな世界観をもつデザイナーと手を組んで、いままでにないものづくりを発展させていく。また素材を循環させる技術の開発をはじめ、環境面の課題にも取り組む。

地球からの恵みの土と持続するライフスタイルを結びつける、新しい試み。美濃に受け継がれてきた技術と自然の恩恵が、いま革新的な価値をつくろうとしている。

スタジオムンバイも
美濃の土に注目!

works of Studio Mumbai

2021年初夏には東京で初のプレゼンテーションを開催する「MINO SOIL」。当日はスタジオ・ムンバイとのコラボレーションで「美濃の土」にフォーカスしたインスタレーションを行う。

クリエイティブ・ディレクターのDavid Glaettli ( ダヴィッド・グレットリ)氏はインスタレーションについて語る。

「私たちの生活の中には、陶器製のものがたくさんあります。でもわたしたちは、それが“ 土” からできているということを普段あまり意識していないように思います。美濃の地域には鉱山がいくつかあります。いくつかの鉱山では今も陶磁器製作用の粘土を作るための原材料である土を採掘しています。この地域ならではの土の特性や、土を採掘し粘土にする技術など、陶磁器製造が1300 年続く美濃には蓄積された多くの知識や技術がありますが、あまり広く知られていません。時代とともに、大量に安価で安定した質の製品の需要が高まる中で、そのものづくりを支える土の存在は影を潜めてしまっていたのです。『MINO SOIL』は美濃を拠点にものづくりを行なっていくブランドですが、原点であり大切な資源である“土”に対する認識を高めることからスタートしたいと考えます」

David Glaettli(ダヴィッド・グレットリ)
1977 年生まれ、スイス・チューリッヒ出身。アート、マスコミュニケーションと日本語を、イタリア・ミラノとスイス・ローザンヌのECAL でインダストリアルデザインを学ぶ。チューリッヒでプロダクトデザインなどのプロジェクトに従事後、2008 年に大阪の柳原照弘主催のデザインスタジオに参加。2013 年、京都に拠点を移しGlaettli DesignDirection 設立。現在は東京を拠点に、国内外のメーカーやブランドのクリエイティブディレクション、デザインコンサルティング、デザインマネージメントを行なっている。主なクライアントに、墨田区、佐賀県(2016)、カリモク家具、A-Net/Issey Miyake (zucca)、スイス大使館など。また、多摩美術大学でゲスト講師として教鞭をとる。カリモクニュースタンダードと墨田区のクラフトレーベル、SUMIDA CONTEMPORARY ではクリエイティブディレクターを務めている。

works of Studio Mumbai

Studio Mumbai(スタジオ・ムンバイ)
インドのムンバイを拠点に活動する、ビジョイ・ジェイン率いるスタジオ・ムンバイ。建築の特徴は、人の「手の力」を取り入れるところにある。彼らが創り出す空間は人、生き物、環境全てに配慮があり、どこか日本人の精神と通づるものが感じられる。また、多数の職人が事務所のメンバーとして所属し、独自のスタイルで建築を作り上げることで知られている。2018 年に日本での初めてのプロジェクトで複合宿泊施設「ログ」(広島県尾道)を手掛けた。

Bijoy Jain( ビジョイ・ジェイン)
1965 年インド・ムンバイ生まれ、1990 年ワシントン大学で修士号取得。1989年からロサンゼルスとロンドンで実務経験を積み1995 年帰国。ムンバイに「スタジオ・ムンバイ・アーキテクツ」設立。2009 年フランス建築協会の世界サスティナブル建築賞、香港デザインセンターのアジア・デザイン賞受賞。2010 年第12 回ヴェネチア・ビエンナーレにて、「ワーク・プレイス」で特別賞受賞。

エクシィズ
岐阜県多治見市を拠点に、世界中の建築家やインテリアデザイナーのためのテーラーメイドタイルのブランド「TAJIMI CUSTOM TILES」をはじめ、天然素材と職人の技にこだわった特注タイルの製作や、タイルを中心とした建材の輸出入を行なう。社内には多彩なタイルのサンプルを製造できるラボを併設。また、多治見一帯の複数のメーカーと協働し、安定した生
産環境を確保。長年リサイクルタイルの生産の仕組みを開発するなど、サスティナブルな取り組みにも力を入れる。
tajimicustomtiles.jp

井澤コーポレーション
食器の専門商社として明治33 年に創業。陶土生産から釉薬や絵付けなどの加工、窯元の規模も大小さまざまに、多くの職人が陶磁器製造に携わる美濃の地。産地の職人たちと共に、毎日の暮らしの中で使い勝手がよく、食卓を豊かに彩る器づくりや、生産技術の向上や資源問題に取り組む。100 年後も世界中の人々の暮らしを豊かに、陶磁器産地の地域文化を未来へ繋ごうと、先代や地域が育んできた文化と伝統の継承に努めている。
www.izw.co.jp

photo: Yurika Kono text=Discover Japan


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