FOOD

松本栄文さん流、毎日のお雑煮レシピ

2020.12.17
松本栄文さん流、毎日のお雑煮レシピ

雑煮は正月に食べるもの、と思い込んでいませんか? いえいえ、かつて武家社会では、もてなしの宴で雑煮を酒肴としてふるまっていました。お椀ひとつに、もち、汁、具がバランスよく入る雑煮は、忙しい現代人にとっては理想的なパーフェクトフード。味噌汁感覚で、日々の食事に取り入れてみては、という提案です。

提案人
松本栄文(まつもと・さかふみ)
会員制・美食サロン「花冠陽明庵」主人、作家。全国お雑煮文化研究家。著書に『日本料理と天皇』(枻出版社)、『1+1の和の料理』『お椀ひとつで一汁一菜 雑煮365日』(共にNHK出版)ほか。NHK総合テレビ「あさイチ」では松本流調理マジックが人気を博す。
http://matsumoto-sakafumi.jp

〈NHKの年末年始の番組に登場!〉
「にっぽん雑煮ジャーニー!」

2021年1月2日 13:00~13:45(Eテレ)
*5分間のミニ番組もEテレにて放送。
東京編12月24日(22:45~)、京都編12月28日(21:55~)、島根編12月29日(21:55~)、長崎編12月30日(21:55~)
「あさイチ」(予定)
2021年1月4日 8:15~9:54(NHK総合)

日々の食卓に、客人へのおもてなしに

水菜の食感を楽しむ「はりはり鍋」風。朝食にぴったり

正月を祝う雑煮は、健康長寿、子孫繁栄、勝負必勝といった縁起をかつぐ具材を入れるのが一般的。地域や家庭ごとに、さまざまな雑煮が受け継がれています。その一方で、雑煮は「ごった煮」に通じ、具だくさんのスープにもちを入れた万能料理でもあります。もちはスーパーでいつでも買えて保存がきくし、白米に合う具材ならなんでも合います。雑煮は正月だけと決めてしまうのはもったいない多様性のある料理なのです。

雑煮は朝食に最適です。味噌汁と同じように、季節の具材でいろいろな味を楽しめます。旬の具材を組み合わせ、味噌仕立て、あるいは醤油仕立てに。もちは、焼いた香ばしさが合うか、煮もちの柔らかさが心地よいか。季節や家族の好み、その時の体調に合わせて臨機応変に味を調えればいいのです。

お客さまがいらしたときには、武士の時代さながら、まず雑煮をお出ししてはいかがでしょう。温かな一杯は、冬は寒さで縮こまった身体をほぐし、夏は冷房などで冷えた身体の芯を温めてくれます。お酒に合う冷製雑煮もおすすめです。

「ほやときゅうりの冷製」はお酒のお供に。レシピは『お椀ひとつで一汁一菜 雑煮365日』(NHK出版)を参照

気軽に楽しめる、毎日の雑煮レシピ

2、3種類の具材で手軽にできる、冬から春にかけておすすめの雑煮をご紹介しましょう。雑煮にもちは欠かせませんが、もちの火入れにもコツがあります。焼きもちは、弱火で熱したフライパンにもちを並べ、時々ひっくり返しながらじっくり焼いていきます。ぷぅっとふくらんできたら、木べらの背などでたたきつぶしながらき、ざくざくとした面をしっかりつくるのがコツ。煮もちの場合は、沸いた湯にもちを入れ、再び沸いたらごく弱火にしてもちをひっくり返し、1〜2分で火を止め、中心が柔らかくなるまでしばらくおきます。

信州の「ほうとう」を思わせるほっとする味わい。白味噌仕立ての汁にかぼちゃの甘さ、豚肉の脂の甘みが重なる。香ばしい焼きもちで

豚肉とかぼちゃ雑煮

材料(2人分)
焼きもち・角 2個

合わせ出汁 600ml
白味噌 大さじ2
豚バラ肉(しゃぶしゃぶ用) 100g
かぼちゃ 1/8個
小ねぎ 適量

つくり方
1 豚バラ肉は、長ければ半分に切る。かぼちゃは半分に切る。
2 鍋に合わせだしとかぼちゃを入れ、沸騰しない程度の中火で煮る。かぼちゃに8割ほど火が通ったら豚バラ肉を加え、強火にしてアクを取る。弱火にし、白味噌を溶き入れる。
3 うつわに2、焼きもちを盛り、小ねぎを天盛りにする。

ニンニクは3度ゆでこぼして臭みを消すのがコツ。すりおろして出汁に加えると旨みとコクが加わり、豆乳と相まって後を引く美味しさ

豆乳わかめ雑煮

材料(2人分)
煮もち・丸 2個
合わせ出汁 200ml
豆乳 200ml
ニンニク(大) 2個
塩 小さじ1/2強
里いも(ゆでたもの) 2個
生わかめ 100g(塩蔵や乾燥の場合は戻して100g)

つくり方
1 ニンニクは薄皮をむく。小鍋に入れてひたひたの水を注ぎ、中火にかけ、沸騰したら湯を捨てる。水を変え、同様にして計3回ゆでこぼす。粗熱が取れたらすりおろす。
2 わかめは食べやすい大きさに切る。
3 鍋に合わせだし、豆乳、1のニンニク、塩を入れて中火にかけ、混ぜながら温める。沸いたら里いも、生わかめを加え、アクを取り、ひと煮立ちしたら火を止める。
4 うつわに3と煮もちを盛る。

ごぼうと鶏肉からいい味が出るので、昆布などの出汁いらず。せりが加わり、秋田の郷土料理「きりたんぽ」を思わせる滋味深い味わい

新ゴボウと鶏肉雑煮

材料(2人分)
焼きもち・角 2個
水 600ml
塩 少々
醤油 小さじ2
新ゴボウ 20cm
鶏もも肉 100g
せり 4本

つくり方
1 新ゴボウうはささがきにし、水にさらしてざるに上げる。鶏肉は小さめに切る。せりは4cm長さに切る。
2 鍋に水を入れて沸かし、ゴボウ、鶏肉を入れて中火で煮る。アクを取り、鶏肉に火が入ったら塩、しょうゆを加えて味を調える。
3 うつわに2の具材と焼きもちを盛る。
4 2の鍋に残った汁でせりをさっと煮て3に盛り、煮汁を注ぐ。

松本栄文さんの新著『お椀ひとつで一汁一菜 雑煮365日』は、朝食、軽食、酒のつまみといった日常食として雑煮を提案するもの。食材の組み合わせで季節や味の変化が楽しめます。第1章では日々の雑煮を春夏秋冬の食材で。馴染みがある味つけと斬新なアイデア満載のレシピ33品に、365日分の雑煮暦が付いています。第2章では、伝統的な雑煮を歴史的背景とともに解説。雑煮の原点ともいえる「アワビ雑煮」、京都商家に伝わる「芋雑煮」、江戸の武家社会で広まった「菜鶏雑煮」など、各地に伝わる伝統雑煮を紹介しています。

『お椀ひとつで一汁一菜 雑煮365日』
本体価格|1500円
発行|NHK出版
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000333162020.html

写真
板野賢治(いたの・けんじ)
フォトグラファー。日本大学芸術学部卒業。佐野篤氏に師事後、フリーランス。『anan』、『OLIVE』、『GINZA』などでファッション、ビューティをメインに撮影。資生堂、花王、ランコム、ディオール、クリニーク等のCMを手掛ける。2015年グルマン世界料理本大賞最高位殿堂を受賞した松本栄文氏著『日本料理と天皇』の写真を担当。


増本幸恵(ますもと・ゆきえ)
編集者。出版社で暮しまわりの雑誌やムックに携わり、現在はフリーランスで活動。食や旅にまつわる書籍や雑誌の編集を主に手がける。生涯のテーマは見知らぬ土地への旅。いつか行きたいのは、スペインの巡礼路と、スウェーデンの建築家アスプルンドが手掛けた森の礼拝堂。

お雑煮特集!松本栄文さん監修
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