「Studio GALA」
デザインも楽しめる正月飾りで、日本人の心に刻まれるハレの日を祝う。

2021.12.28
「Studio GALA」<br>デザインも楽しめる正月飾りで、日本人の心に刻まれるハレの日を祝う。

鏡餅、松、紅白の水引……。目にするだけで正月を連想させる正月飾り。しかし、その精神性は時代の変化もあって失われつつあります。では、いまの暮らしに馴染む新しいスタイルの正月飾りがあればどうでしょう? プロダクトブランド「Studio-GALA(スタジオガラ)」がつくる、伝統的な技術を用いつつ現代の生活に美しく馴染む正月飾りをご紹介。

小林良一(こばやし りょういち)
Studio-GALA代表。デザイナー。スタジオ・ガラ主宰。Handmade in JAPANに思いを込め、日本の文化と技術を取り入れた現代の生活に馴染むアイテムを生み出す。朝の散歩をすることが日課

「日本人の美意識と文化、季節を感じられるものをつくりたい」

Studio-GALAのHALEシリーズ
現代の暮らしに合わせて収納性を高めた鏡餅、組紐や和紙、水引を組んで新春のめでたさを表した床飾りなど。HALEは、伝統的ながら現代の暮らしに似合うモダンで洗練されたデザインであり、床の間などがなくても正月を祝う気持ちを表現できるところが魅力的だ

慌ただしい師走を駆け抜けて大掃除を終え、正月飾りを飾る。そんな新年を迎えるための一連の準備で年末年始の特別感を経験してきた人も多いのではないだろうか。

プロダクトブランド「スタジオ・ガラ」を主宰するデザイナーの小林良一さんは、伝統的な技術を用いつつ、現代の生活に美しく馴染む正月飾りを、HALEシリーズとして展開している。

「正月飾りや季節飾りは年に数日だけ出してくるもので、何かに使うわけではありません。でも子どもの頃からなんとなく目にしているから、記憶の中にずっと残っていますよね。正月飾りには道具としての機能はなく利便性を追求する必要もないので、HALEではこの記憶や精神性を大事にしたものづくりをしたいと思っています」

世の中が便利になるのと引き換えに、日本が大切にしてきた歳時や時節といった固有の季節感は失われつつあるが、正月だけは土地土地で風習がよみがえり、色濃く現れる。小林さんは、「そういった意味でお正月を入り口にして、年末年始のお休みだけでも日本の暮らしをもう一度振り返ってもらえたら」と、正月飾りへの思いを語る。

家紋を配した旗や祭りの法被などをくっきりと染める「印染」の技法を用いた壁飾り。シナ材のモチーフには磁石が付いているので取り付ける位置を自由に変えることができる

自らを、興味のあるものしかつくれない「日曜デザイナー」と称する小林さん。正月飾りをメインとするHALEシリーズは、知人から「このままだと産地が駄目になる」と相談を受け、季節を感じられるものをつくってほしいと依頼されスタートしたという。周囲には工芸に携わる人がたくさんいる。彼らをつなげばかたちにできると感じた小林さんは、各地の伝統技術を取り入れてひとつのモノに昇華させた正月飾りを生み出した。商品設計からモチーフの色柄に至るまで、デザインは小林さん自身が担当。それぞれのパーツは、全国の伝統技術を用いて分業制でつくられている。

たとえば、鏡餅。餅は北海道や東北のシナ材を木地から手配し、自然乾燥させて仕上げる。橙に見立てた亀結びの唐打紐や桐箱に付けた飾り紐は、京都で。江戸組紐の橙の代わりに、木彫りの大黒さまや恵比寿さまを重ねるモデルもあるが、開運の神さまたちは長野の仏壇メーカーでつくられているという。

「普段使われなくなってしまった技術を多く取り入れ、いまの暮らしに寄り添う新しいスタイルを提案しています。日本では昔から分業制が行われ、複数の産地や職人がかかわってひとつのモノをつくり上げてきました。その技術のひとつでもなくなると、つくれなくなるモノがたくさんあります。高齢化や文化的背景もありますが、そうやって技術が失われていくと産地は経済中心の商品開発にかじを切らざるを得なくなる。僕らがこういったものづくりを進めることで、その流れが少しでも変わるといいなと思います」

ものがたくさんあればいいという時代を経て、現代は自分の好きなものをセレクトする良質な生活の価値観が構築されつつある。商品を選んで使う生活者の生活感が良質になればなるほど、ものづくりの現場の環境もよくなっていくものだと、小林さんは教えてくれた。人と人との関係性から生まれるデザイン。小林さんのものづくりは、伝統的な技術を次世代に受け継ぐヒントにもなりそうだ。懐かしくも新しい正月飾りは、道具とは異なるアプローチで私たちの日常を豊かにしてくれる。

(右から)親子鯛壁飾り、鯛壁飾り、干支壁飾り
価格|1万2100円、1万3750円、1万3750円
サイズ|W120×D930×H15㎜
材質|綿、組紐、シナ、手彩色、水引

企画展で展示された、
日々の暮らしから生まれたデザイン

東京・六本木の「リビング・モティーフ」で今秋開催されたスタジオガラの展示の様子。「素材」、「使う」、「選ぶ」、「作る」、「祝う」の5つにカテゴライズして小林さんの私物や商品のサンプルが展示された。日本各地でものをつくる人との出会いがあり、その技術を小林さんのセンスで編みあげていくことでオリジナルの新しいかたちが生み出されていく。

①魔除けと長寿富貴の象徴「亀結びの橙」
②会津の椀職人によるシナ材の餅
③蓋を返すとBOXになり、飾りの収納も可能
④三宝の飾り紐は延命長寿の菊結び

鏡餅 中
価格|1万8700円
サイズ|W148×D148×H200㎜
材質|桐、シナ、組紐、和紙
≫購入はこちら

職人はアイテムごとに異なり全国各地へ

スタジオ・ガラは、全国の工房や職人とつながり、プロダクトごとにチームを組む。伝統技術を組み合わせて新しいものをつくるスタイルは新しい分業の可能性を示す。画像は京都の組紐制作現場の様子

Studio-GALA
住所|
東京都練馬区桜台5-11-5
Tel|03-3992-0737
Mail|info@studio-gala.co.jp
https://studio-gala.co.jp

Studio-GALAの正月飾りは
オンラインで購入いただけます!

渋谷パルコのDiscover Japan Lab.および公式オンラインショップにて、Studio-GALAの正月飾りを販売中! ぜひ実際に手に取ってお楽しみください。

 

 

 


 

Studio-GALAの作品一覧
 

text: Akiko Yamamoto photo: Kenji Okazaki cooperation: living motif
Discover Japan 2021年12月号「ストーリーのある贈り物」


 

東京のオススメ記事

関連するテーマの人気記事