FOOD

新撰組も味わった昔ながらの漬物の味
「総本家近清」の漬物
買って帰りたい京都

2020.10.26
新撰組も味わった昔ながらの漬物の味<br> 「総本家近清」の漬物<br><small>買って帰りたい京都</small>

いまは何でも取り寄せて買える時代。でも、せっかく京都を訪れたなら、足を運ばないと聞けないつくり手の話とともに買って帰りたい、京都ならではの”いいもの”を、京都出身の目利き人・内藤恭子さんが厳選して教えてくれた。

選・文=内藤恭子
共著『京都を買って帰りましょう。』をはじめ、ジャンルを問わずつくり手の取材を数多く手掛ける。作家作品などを紹介するショップ「好事家 白月」も主宰する

漬物の多くは料理店などに卸されており、一般販売も店頭で行なっている。茄子の生しば 430円、本干沢庵1764 525円

京都の人は漬物が好きだ。父は沢庵の厚みにもこだわりがあり、「沢庵はもうちょっと薄くしてくれ。べったらは厚めに」とうるさい。そして、柴漬けを食べるたびに口にするのが、「昔のはな、もっと酸っぽうて香りがあったんや。癖はあるけど、あれが旨い」。どんな柴漬けやねんと思っていたら、ある料理店で独特の風味の漬物に出くわした。一般的な柴漬けより色は浅く、風味が違い、糠漬けにも似た発酵した香りがする。ご主人に聞いてみると、「これは乳酸発酵した昔ながらの柴漬け。いまではほとんど調味料に漬けているから味が違うでしょ」と言われた。どうやら、父が熱望していたものは、これらしい。

そんな昔ながらの手法で、いまも漬物をつくっているのが「総本家 近清」。例の柴漬けも、もちろんある。初代は享保の改革の頃、野菜の販売をしていたが、その野菜を味噌漬けにしてみたところ評判となり、漬物店を開いたそう。その味は「味噌漬け大根1764」と創業年を冠し、定番商品として並んでいる。人気の本干沢庵は、新撰組が屯所を置いた西本願寺に納められていたといい、隊士も口にしたはずだ。お目当ての柴漬けは、ナスの生しば。キュウリを使うところもあるが、本来のナスだけを使って仕込む。「調味料や酢を使うのはいわば即席漬け。本来酸味は乳酸発酵が生み出す味で、材料はナス、大原の赤紫蘇、塩だけ。半年ほど寝かして完成しますが、発酵加減で色や風味が変化するため、40%ほどが商品にならないことも。だから失敗のない即席漬けが普及したのでしょう」と、語るご主人の櫻井慎也さん。実直な柴漬けのお陰で、父のボヤキを聞くことはなくなった。

 

総本家近清
住所|京都府京都市中京区大阪材木町699
Tel|075-257-7066
営業時間|10:00〜17:00
定休日|日曜、祝日、土曜不定休あり
https://www.kyo-tsukemono.jp/

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photo: Sadaho Naito
Discover Japan TRAVEL 2019年号 特集「プレミアム京都2019」


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