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「椿堂茶舗」の京都紅茶
緑茶だけではない京のお茶
買って帰りたい京都

2020.10.25
「椿堂茶舗」の京都紅茶<br>緑茶だけではない京のお茶<br><small>買って帰りたい京都</small>

いまは何でも取り寄せて買える時代。でも、せっかく京都を訪れたなら、足を運ばないと聞けないつくり手の話とともに買って帰りたい、京都ならではの”いいもの”を、京都出身の目利き人・内藤恭子さんが厳選して教えてくれた。

選・文=内藤恭子
共著『京都を買って帰りましょう。』をはじめ、ジャンルを問わずつくり手の取材を数多く手掛ける。作家作品などを紹介するショップ「好事家 白月」も主宰する

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渋みが少なくマイルドで飲みやすい京都紅茶(90g)1944円(税込)、烏龍茶を思わせる香りのよい和龍茶(60g)1404円(税込)

私はお茶が好きだ。事務所には紅茶、日本茶、中国茶と常時4、5種類の茶葉がある。中でも紅茶は原稿を書くとき、気分転換を兼ねて飲むことが多い。コーヒーも好きなのだけれど、自分では淹れないから、喫茶店などでしか飲まない。

そんな話を「椿堂茶舗」のご主人・武村龍男さんとしていたら、「じゃあ、これを飲んでみて」と、一杯のお茶を出してくださった。私がここで愛飲しているのは、「伏見」というほんのり甘いほうじ茶なのだが、それよりも赤味を帯びた色。香りもまったく違う。飲んでみると、ほうじ茶よりトロッとした感覚で、甘みもある。何だろうと思っていると、「うちでつくった紅茶です。まだ試作の段階ですけどね」。武村さんは5代目茶師として伝統を守りながら、新しいことに取り組むアグレッシブな茶人だけに、なるほどそう来たか。そもそも、紅茶や緑茶、さらにいえば中国茶も、学名がカメリアシネンシスというツバキ科の茶樹の葉からつくられている。茶葉に含まれるカテキンは発酵が進むにつれ酸化して赤味を帯びるため、発酵度合いを変えると、同じ茶葉から風味も水色もがらりと異なるお茶ができる。日本でも紅茶を生産し、昭和初期には輸出も行っていた実績もある。「詳細な記録は残っていませんが、伏見には紅茶伝習所もあったそうで、うちでもつくっていたと思う。それを復活させたくて」と、京都産紅茶の試行錯誤を重ねた。誕生から10年ほどの時を経て、柔らかな甘みのある紅茶にファンも多い。

最近では、日本の茶葉で烏龍茶に仕立てた「和龍茶」も人気だそう。そんな革新的な武村さんのお茶は、京都の茶文化の奥深さを物語っている。

 

椿堂茶舗
住所|京都市伏見区深草北新町635
Tel|075-644-1231
営業時間|10:00~18:00
定休日|日曜、祝日(茶房竹聲は水曜)
https://tsubakido.kyoto/

 

《買って帰りたい京都》

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《買って帰りたい京都》
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photo: Sadaho Naito
Discover Japan TRAVEL 2019年号 特集「プレミアム京都2019」


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