建築家・堀部安嗣の自邸
後編|図面で読み解く暮らしの工夫
アルヴァ・アアルトの「夏の家」しかり、古今東西の建築家の自邸といえば、自らの思想をかたちにし、「これからの住宅のありよう」を探るための、実験住宅としての存在意義をもつものだ。堀部安嗣さんが自邸を建てる中で試みたこととは?神奈川県葉山町に、その住まいを訪ねた。
堀部安嗣(ほりべ やすし)
建築家。1967年、神奈川県横浜市生まれ。1994年、堀部安嗣建築設計事務所を設立。2016年、「竹林寺納骨堂」で日本建築学会賞(作品)を受賞。近刊に『別冊太陽スペシャル 建築家 堀部安嗣 人と自然のあいだに、ずっとあるもの』(平凡社)がある。
約86㎡の母屋と約26㎡の離れ。
2棟の平屋が構成する住まい

01|ポーチ

母屋のファサードは、周囲の住宅街に溶け込む、つつましやかな佇まい。塀をめぐらさず、シンボルツリーで仕切ることで、寛容な雰囲気を醸し出している。
02|玄関

コンパクトな玄関。上がり框(かまち)はなぐり加工した栗の板。左手の壁には手すりが付いている。右手には、靴やコート類などをたっぷり収納できるクローゼットを設けた。
03|台所

台所と横動線でつながる場所に、パントリーも兼ねた美奈子さんの仕事場がある。その時々の気分によって、ここで集中したり、食堂に移動したり。
04|シアタールーム

シアタールームになるタタミ室。プロジェクターは、ソファの背後の引き戸の収納に収めてあり、白壁に投影する。来客を泊める部屋としても活用。
05|寝室

北側にある、シンプルで落ち着く寝室。壁や天井は漆喰塗り仕上げ。天井の入隅にはアールをつけて、ふんわりと包み込まれるような空間にしている。
06|サンルーム

中庭からサンルームを見る。庭は、安嗣さんの姉で造園家の堀部安樹さんが担当。「松が欲しい」という希望以外は、ほぼお任せで植栽してもらった。
07|ととのいテラス

サウナの隣には外気浴ができる「ととのいテラス」も。サウナに入った後は、ここやサンルームで風に当たりながらビールを飲むのが最高だという。
08|浴室

高野槙の浴槽は、湯量を考え、極力小さめで深さのあるものをあつらえた。離れの瓦屋根が外からの視線をカットするので、窓を開け放って入れる。
09|離れの外回り

庭に敷き詰められているのは、柔らかな風合いの大谷石で、経年変化を楽しめる。南面の屋根には太陽光発電パネルを置き、自家発電している。
10|アトリエ

アトリエの壁や天井は漆喰塗りで、天井は、寝室と同様にアールをつけた。ソファは広げるとベッドになり、来客があったときのゲストルームにも。
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text: Shiori Kitagawa photo: Maiko Fukui
2026年3月号「訪ねる建築 暮らす建築」
































