TRADITION

沖縄の〈伝統工芸〉を知る!
|沖縄の伝統文化 入門

2026.3.4 PR
沖縄の〈伝統工芸〉を知る!<br>|沖縄の伝統文化 入門

首里城を中心に、約450年続いた琉球王国。琉球王国、日本、アメリカ、再び日本と、世が変わる中で伝え継がれてきた、多種多様な文化に触れてみたい。今回は伝統工芸について、浦添美術館 館長・糸数政次さんにお話をうかがった。

浦添市美術館 館長
糸数政次(いとかず まさじ)
漆芸家。山田真山画伯に師事し、沖縄平和祈念像制作に携わる。沖縄県工芸指導所(現・沖縄県工芸振興センター)で漆工技術指導に従事。沖縄県立芸術大学美術工芸学部教授を経て、2022年より現職。

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沖縄に息づく伝統工芸とは?

浦添美術館 館長・糸数政次さん

沖縄には国指定の伝統的工芸品が16品目ある。13の染織物、琉球漆器、壺屋焼、三線で、多くは琉球王国時代の交易でもたらされた技術や技法が元となり各地で発展したもの。美しい伝統工芸品を生み出す技術がいまも大切に受け継がれている。

「首里城復元では県内の漆職人が塗装に携わり、技術継承のよい機会になりました」と浦添市美術館館長で漆芸家の糸数いとかず政次さん。首里城は随所に漆が塗られ、巨大な琉球漆器ともいわれる。平成の復元では県外の職人が漆塗装を行ったが、今回は県内の若手職人が多く参加し、琉球漆器の盛り返しが期待されている。

染織物
琉球びんがたは沖縄を代表する染物。織物では、本島北部の芭蕉布、中部の読谷山花織、南部の琉球絣のほか、久米島紬、宮古上布、八重山ミンサー、与那国織など、各地で高度な織り技術をもつ
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壺屋焼
1682年、琉球王府が現在の壺屋に3つの窯を移設統合したのがはじまり。釉薬をかけ、主に日常用品をつくる上焼(じょーやち)と、甕などの大型容器をつくる無釉薬の荒焼(あらやち)がある
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琉球漆器のはじまりは14世紀頃。琉球王国時代には、王府が設置した貝摺かいずり奉行所の下で、中国や日本へ献上する漆器が盛んに制作され、技術が磨かれていった。漆の酵素は空気中の水分と結び付いて固まるため、湿度80%前後、気温20℃以上が必要となる。高温多湿の沖縄は漆器制作にぴったりなのだ。下の作品に見られる堆錦ついきん技法は、焼漆と顔料を混ぜ練りしてつくった堆錦餅を薄く延ばし、紋様に切り取って、うつわに貼り付けるもの。
「堆錦は琉球漆器特有の技法です。沖縄以外では、堆錦餅が乾かないのでできません」

琉球漆器
沖縄に自生するデイゴ、エゴノキなどを木地に用い、黒漆や、鮮やかな朱漆で上塗りする。沖縄独自の立体表現である堆錦のほか、螺鈿、沈金、箔絵など多くの加飾技法がある
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一方で沖縄の強い紫外線は漆の大敵だ。首里城は、漆を保護するために桐油の上塗りをしているが、それでも職人が5年ごとに塗り直していく計画だという。
「修復作業だけでなく、漆器をつくって売っていくことも大切。若い職人たちは、新しいデザインや使いやすい漆器を生み出しています。皆さんに、琉球漆器を使ってもらうことが一番の活性化になります」

(左)朱漆山水楼閣堆錦湯庫 19世紀 浦添市美術館蔵
湯庫(タークー)とは湯茶を入れて持ち運ぶ容器で、中に金属製の瓶が納められている。朱漆と堆錦技法に琉球漆器の特徴が見られる

(右)黒漆蓮池人物蝶螺鈿密陀絵印箱 17~18世紀 浦添市美術館蔵
貝の内側の真珠層を薄く加工し、漆地に貼り付ける螺鈿(らでん)技法で飾られた箱。沖縄近海では、材料となる夜光貝が豊富に採れた

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琉球料理を知る!
 
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沖縄の伝統文化 入門
01|多様な沖縄の伝統文化のルーツとは?
02|伝統工芸
03|琉球料理
04|伝統芸能
05|空手道・古武道
06|しまくとぅば

text: Ayako Arasaki photo: Yukiko Shiraki
2026年3月号「訪ねる建築 暮らす建築」

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