沖縄の〈伝統芸能〉を知る!
|沖縄の伝統文化 入門
首里城を中心に、約450年続いた琉球王国。琉球王国、日本、アメリカ、再び日本と、世が変わる中で伝え継がれてきた、多種多様な文化に触れてみたい。今回は伝統芸能について、沖縄県立芸術大学音楽学部音楽学科 琉球芸能専攻 准教授 嘉数道彦さんにお話をうかがった。
沖縄県立芸術大学音楽学部音楽学科
琉球芸能専攻 准教授
嘉数道彦(かかず みちひこ)
初代宮城能造・宮城能里に師事。宮城流能里乃会師範。第39回松尾芸能賞舞踊部門新人賞受賞。2013~2022年まで国立劇場おきなわ芸術監督を務める。県内外の舞台出演も多数。
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時代に合わせて変化する伝統芸能

冊封使に対するもてなしの精神は、宮廷芸能にも見られる。王府は宴の音楽や舞踊を担当する「踊奉行」を設置し、士族らを組織して舞台を上演。1719年、尚敬王の冊封使に向けてはじめて組踊が披露されると好評を博したという。
「組踊は、琉球版オペラのようなもので、文化力の高さがうかがえます。せりふは、八・八・八・六調の独特のリズム。冊封使は通訳の解説を聞きながら鑑賞しました。中国が大切にする『忠孝精神』をテーマに物語がつくられ、そこに琉球の国家姿勢を盛り込むなど、ある種、小国ならではの外交戦略でもありました」と沖縄県立芸術大学准教授の嘉数道彦さん。

©国立劇場おきなわ
廃藩置県により琉球王国が崩壊すると、組踊や古典舞踊を担っていた士族は芝居小屋の役者になった。しかし国賓向けの宮廷芸能は庶民の肌に合わず、客足が遠のいてしまう。そこで庶民受けする演劇として誕生したのが、沖縄芝居だ。色恋や人情を描いた作品は大ヒットし、一世を風靡する芸能となった。同様に踊りの分野でも、民謡や庶民の風俗を題材にした軽快な雑踊が誕生した。
「重要なのは、沖縄芝居や雑踊は新しくつくられたもので、組踊や古典舞踊の改変ではないということ。上演する機会がなくても、宮廷芸能は大切なものとして師から弟子へ教え継がれたからこそ今日があるのです」
組踊、琉球舞踊、沖縄芝居は「国立劇場おきなわ」で定期上演され、嘉数さんは入門的な演目の創作や鑑賞教室に力を入れる。
「観たことのない人にも来ていただけるよう、情熱をもって試行錯誤しています」
代表的な沖縄伝統芸能
〈組踊〉
せりふ(唱え)、音楽、踊りで構成される歌舞劇。踊奉行の玉城朝薫が創始し、古典演目は70番の台本が残っている。2010年、ユネスコ無形文化遺産に登録
〈琉球舞踊〉
冊封使の歓待の宴で踊られた古典舞踊と、明治以降に誕生した、庶民の風俗を反映した軽快な雑踊、戦後につくられた創作舞踊の3つがある
〈三線音楽〉
14世紀末頃に中国から伝わり、琉球の音楽に合うよう改良された楽器。舞台芸能の中では、箏、笛、太鼓、胡弓などと一緒に演奏されることが多い
〈沖縄芝居〉
明治以降に成立した大衆演劇で、時代劇(琉球王国時代)と現代劇(明治・大正時代)とがある。戦後、アメリカ統治時代の娯楽として県民の心を支えた
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text: Ayako Arasaki photo: Yukiko Shiraki
2026年3月号「訪ねる建築 暮らす建築」





























