渋谷パルコ《SUIYO 個展》
繊細な陽刻と素材感を生かすかたち。
絶妙なバランスで暮らしを彩るうつわ
陶芸の里・愛知の瀬戸で、陶芸家と画家が出会って生まれたS U I Y O。東京・渋谷パルコにて2025年11月21日（金）～11月30日（日）にかけて開催される「S U I Y O 個展」。土と釉薬による造形と絵画的な要素が合わさり、二人だからこそ表現できる唯一無二のうつわが登場する。
※個展初日の入店について、一部時間帯に整理券が必要です。詳細は公式Instagram（@discoverjapan_lab）、または公式オンラインショップをご確認ください。
Discover Japan公式オンラインショップでは、本展の一部作品を11月25日(火) 20時より順次販売予定です。（店頭の販売状況により日程・内容が変更になる場合があります）
S U I Y O 穴山大輔・文香
2013年に愛知県瀬戸市で「翠窯」開窯。2023年に「S U I Y O」へリニューアル。成形を大輔さん、彫りを文香さんが手掛ける「陽刻」をはじめ、それぞれ個人作家としても活躍。
翡翠のように、美しく。
陶芸家と画家が描く、新しい“古典”
陶芸家の穴山大輔さん、画家の文香さんが「翠窯」を立ち上げたのは2013年のこと。中国陶磁に強い憧れを抱いていた二人。宋の時代の御用窯、定窯・汝窯のように歴史に残る窯になりたい、また、中国ではきれいな宝石が翡翠と呼ばれたように、自分たちがつくるものも美しくありたい、という思いをこの名に託した。
開窯から10年を経た2023年、翠窯から「S U I Y O」へリニューアルしたのは、一般に求められるかたちや生産性に縛られず、より自分たちがつくりたい作品に向き合いたいとの思いから。古典を師として模索してきたものを、これからは自らを進化させ、新たな古典になることを目指す。
彫りで絵を描く「陽刻」シリーズ
S U I Y Oのうつわに代表されるのが、絵の部分が浮き出て見える「陽刻」シリーズ。これは、まず大輔さんがろくろを挽いてかたちをつくり、石膏型をとる。そこに文香さんがデザインした絵を写し、彫り上げて型をつくる。絵柄が刻まれた型を使ってうつわの生地をつくり、素焼き、釉掛け、本焼きを経て完成するというもの。
「彫りで絵柄を表現するのは、うつわに絵付けをするのとも、版画や彫刻とも違います。自分が彫り上げたら終わりではなく、そこに釉薬がかかり、焼成してはじめて完成するのです。ですから時に想像を超えるものが出来上がってきます」と文香さん。
今回、渋谷PARCOでお披露目するのは、伊藤若冲や狩野派など江戸時代の日本画からインスピレーションを得たデザイン。鶏、菊、カエデなど吉祥文様をパターンで合わせていく。彫りの深さによる釉薬の濃淡でうつわの表情が変わる。文香さんは経験を重ねるにつれ、彫りで奥行きを出せるようになり、より絵画的な表現ができるようになってきたという。
陽刻に使う釉薬は、青磁釉と呼ばれるものだ。
「一般的にはもっと白みがかった青をイメージされると思いますが、もともと中国ではじまった青磁はこのように深い色。当時使われていた鉄分の多い赤い土が釉薬と反応して生まれる色です」と大輔さん。瀬戸では多様な土が採れるが、赤みの強い土を用い、この深く美しい色を追求してきた。
遊び心あふれる作品たちも登場。
11月の個展では、この陽刻シリーズ以外にも、人気の高いカレー皿やパルコアラ文のマグカップ、大輔さんが作家として個人的に手掛ける達磨、文香さんが描く招き猫などが並ぶ。
達磨は、大輔さんが骨董市で見つけた達磨の木型に心を打たれて生まれたもの。招き猫は、もともと妖怪が好きだという文香さんの世界観が表れている。いずれも愛嬌たっぷりで、生活空間を明るく豊かにしてくれること間違いなし。ぜひ渋谷PARCOで実際に手に取ってみてほしい。
愛でて、使って、自由に楽しむS U I Y Oのうつわ
作品ラインアップ
陽刻 花鳥風月S
日本画に見られる吉祥文様がちりばめられている。土の質感、彫りと釉薬のかかり具合により、奥行きのある絵画のよう。
小豆ノ子達磨
土と釉薬のニュアンスを込め、うつわの感覚でつくられる達磨。時を超える仙人のような風貌がたまらない。
四寸 招き猫 Arete
人を招く左手を上げる三つ目の招き猫。百鬼夜行などの日本画や浮世絵からインスピレーションを得た絵付けが秀逸。
パルコアラのマグカップも登場！
PARCOのキャラクター、「パルコアラ」を染付けで。大輔さんが磁器土を用い、ろくろで柔らかいイメージでかたちづくり、文香さんが呉須で描いた共作。
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個展作品がオンラインで買える！
公式オンラインショップ
S U I Y O 個展
会期｜11月21日（金）～30日（日）
会場｜Discover Japan Lab.
住所｜東京都渋谷区宇田川町15-1渋谷PARCO 1F
Tel｜03-6455-2380
営業時間｜11:00～21:00
定休日｜不定休
※初日は混雑緩和を目的とした入店整理券を事前配布のうえ開催いたします。
※詳細は公式Instagram（@discoverjapan_lab）にてご確認ください。
※サイズ・重量は掲載商品の実寸です。同じシリーズでも個体差があります。
text: Yukie Masumoto photo: Shiho Akiyama
2025年12月号「京都／冬こそ訪れたいあの旅先へ」
