FOOD

レストラン&オーベルジュ
《nôtori/ノウトリ》
故郷の美味を世界へ。
富士北麓キュイジーヌの挑戦とは?①

2025.4.27
<small>レストラン&オーベルジュ</small><br>《nôtori/ノウトリ》<br>故郷の美味を世界へ。<br> 富士北麓キュイジーヌの挑戦とは?①

山梨県の富士山のふもとに新たなレストラン&オーベルジュ「nôtori(ノウトリ)」が誕生した。国内外で活躍し、同じ志を抱いて富士北麓にUターンした兄弟が目指すこととは?

(右)オーナーソムリエ
堀内茂一郎(ほりうち もいちろう)さん
会社員を経て、都内のレストランでサービスをはじめ、北海道「ミシェル・ブラス トーヤジャポン」でソムリエとして勤務。10年間ニュージーランドのレストランで働き、帰国後は都内ホテルやオーベルジュの運営に携わる。

(左)オーナーシェフ
堀内浩平(ほりうち こうへい)さん
東京での修業を経て30代で渡仏。「ラ・グルヌイエール」で腕を磨く。帰国後は都内レストランでシェフとして勤務し、国内最大級の料理コンペティション「RED U-35 2021」でグランプリ(RED EGG)を受賞。

旅の目的になるレストランが
地域をアップデートさせる

雄大な富士山に抱かれた山梨県の富士北麓地域、忍野村。木立が連なる未舗装の道を進んだ先に「nôtori」は現れる。兄でオーナーソムリエの堀内茂一郎さん、弟でオーナーシェフの浩平さんが営むレストランだ。富士吉田市で生まれ育ち、巣立った兄弟は偶然にも同じ食の道に進んで、故郷へと帰ってきた。

「まだローカルガストロノミーが珍しい時期に、『この土地でしかつくれない料理を』と語る富山のオーベルジュ『L’evo』の谷口英司シェフに衝撃を受けて、ニュージーランドにいた兄に山梨で一緒に店をやろうと誘ったんです」と浩平さん。それぞれフランスや東京で研鑽を積む準備期間を経て、2024年8月にオープン。

木漏れ日が差し込む、気持ちのいい空間。景色を生かすため、最初に窓の位置を決めて建物を設計した。外には焼き窯やハーブを栽培している庭園がある

店名のnôtoriとは「農鳥」から。その意味は富士山の山梨県側で雪解けが進むと現れる鳥の姿に見える残雪で、富士北麓からのみで見ることができる春を告げるかたちだ。兄弟が目指している “富士北麓キュイジーヌ”のシンボルにふさわしいと名づけた。

「富士北麓は唯一無二の富士山をはじめ、富士五湖、樹海と豊かな自然が残る場所。富士山を詣でる富士講の人々をもてなす御師の家があったことからもてなしの文化が根づき、織物のまちとしても有名です。僕たちは神秘性と人の営みが入り交じる土地の歴史や文化も紹介したい」と語る茂一郎さん。

土地の植生をそのまま生かす
重厚感があり、どんな世界が待っているのか想像をかき立てるエントランス。野草を植え替えるなど、敷地にもともとあった植生を生かしたことで、自然との一体感が生まれた。伐採したくるみの木はうつわやランプシェードに生まれ変わらせ、利用している

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富士北麓でしか味わえない
記憶に残る体験を

 
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レストラン&オーベルジュ《nôtori/ノウトリ》
01|富士北麓キュイジーヌの挑戦とは①
02|富士北麓キュイジーヌの挑戦とは②
03|季節のコースをご紹介!

text: Rie Ochi photo: Maiko Fukui
2025年3月号「ニッポンのまちづくり最前線」

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