高知の大自然をめぐる冒険 【山編】
魚梁瀬森林鉄道/明神口橋
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じつは高知県は日本屈指の文化体験ができる場所。今回は山地率全国一を誇る高知の深い「山」についてひも解く。悠久の時間が育んだ大自然のエネルギーに圧倒される旅へ、いざ!
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高知の山奥がおもしろい!
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魚梁瀬杉は豊臣秀吉にも献上された銘木。産地の馬路村をはじめとする中芸地域は林業の一大エリアで、明治末期に木材運搬のため「魚梁瀬森林鉄道」がつくられた。地域唯一の交通機関として“命の保証なし”との条件つきながら人も運搬。この地で育った井上洸士郎さんにとっても、潮干狩りなど幼い日の想い出を彩る大切な存在だ。「山の人は鉄道を“ガソ”の愛称で呼んでね。運転士は憧れの職業でした」。
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馬路村山奥で産出される魚梁瀬杉を港まで運ぶため1911年に開通。魚梁瀬ダム建設に伴う軌道水没により1963年に廃止。現在は魚梁瀬丸山公園で復元列車が運行。運転体験もできる!
しかし、森林鉄道は魚梁瀬ダム建設に伴い廃線。高度成長期に安価な輸入木材が出回り林業も衰退した。代わりに人々が力を注いだのがユズ栽培だ。有機栽培や加工品開発にも挑戦し、高知県のユズ生産量は日本一に。そのストーリーは日本遺産にも選ばれ、森林鉄道の遺構は象徴となっている。一方、井上さんらの働きかけで鉄道が復元され、現在は魚梁瀬丸山公園内を運行。井上さんも運転士を務める。「60歳を過ぎて運転士の夢がかなうとはね」。山の中、郷愁を乗せて機関車は走る。
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かつて魚梁瀬杉が運ばれた
森林鉄道の廃線をたどる
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馬路村、北川村、安田町、田野町、奈半利町を走った森林鉄道。総延長250㎞は当時西日本最大規模。その記憶を残す遺構は近代化産業遺産群に認定され、18の土木建造物が国の重要文化財に指定されている。
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1970年に完成。魚梁瀬ダム建設で魚梁瀬集落が水没し魚梁瀬森林鉄道は廃止された。湖を見渡せる展望台の眺めは圧巻
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山の緑に映える赤い鉄骨橋は1929年の築造。網目状の鉄板を歩いて渡れる。足下に安田川を見ながら歩けばスリル満点!
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1911年築の全長37.5mの石づくりトンネル。森林鉄道開通当初の姿を残す。苔むしたコンクリートがノスタルジック
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立岡分岐点から奈半利貯木場に向かう1933年築の桟道。田畑の間を縫うように設けられた高架が往時の風景をしのばせる
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高知の自然を下から見るか? 上から見るか?
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木材運搬に使った水力装置がケーブルカーに。風を感じながら樹木のトンネルを通る乗車体験は必見だ。頂上の展望台からの馬路村の眺めは壮観。復元された「馬路森林鉄道」も隣接
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約300万年前の地層が波に侵食された天然の海食洞。洞窟内はコウモリが生息し、洞窟の先には40種以上のシダが茂る。木漏れ日が差す幻想的な光景と涼しい空気は異世界のよう
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日本屈指の清流を満喫!
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魚梁瀬森林鉄道
住所|高知県安芸郡馬路村魚梁瀬丸山
Tel|0887-43-2055
営業時間|10:00〜12:00、13:00〜15:30
営業日|日曜、祝日 ※8月は土曜も営業
料金|400円
※今後料金が上がる可能性があります。
魚梁瀬ダム
住所|高知県安芸郡北川村大字久木(展望台)
明神口橋
住所|高知県安芸郡安田町小川
バンダ島隧道
住所|高知県安芸郡安田町与床
立岡二号桟道
住所|高知県安芸郡田野町待井東
インクライン
住所|高知県安芸郡馬路村馬路3564-1
Tel|0887-44-2026
営業時間|8:30〜16:30
営業日|日曜、祝日
料金|400円
伊尾木洞
住所|高知県安芸市伊尾木117
Tel|0887-34-8344(安芸観光情報センター)
text: Miyo Yoshinaga photo: Tomoaki Okuyama
Discover Japan 2024年8月号「知的冒険のススメ」