高知の大自然をめぐる冒険【海編】
室戸ユネスコ世界ジオパーク
北は四国山地、南は太平洋に面する高知県。紺碧の海に、山地率全国一の深い山、澄んだ川に恵まれる。中でも東部はディープ&ダイナミックな自然が広がるエリア。悠久の時間が育んだ大自然のエネルギーに圧倒される旅が、この地ならかなう。
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ユネスコ世界ジオパークって?
国際的価値のある地質遺産を保護し、周辺の自然環境や文化への理解を深めて教育や地域振興へ活用することにより、自然と人間との共生や持続可能な開発の実現を目的とする事業。2015年からユネスコの正式プログラムとなり、2024年現在で世界48カ国213カ所が認定されている。日本では洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島など10カ所。室戸は地殻変動を実感できる地質遺産や、国の天然記念物に指定されている室戸岬亜熱帯性樹林が観察できるジオパークとして認定されている。
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海と山がなぜこんなに近い!?
海岸道路の片側は、黒い岩の海岸と青い太平洋。反対側には緑の山肌が迫り、削ったように平らな稜線が遥か遠くまで続く。大地の隆起と波食が形成した海と山が近い海成段丘の特異な風景に、地殻変動の圧倒的ダイナミズムをいやが応でも実感させられる。
「室戸半島は、沖の南海トラフや海洋プレートによる巨大地震のたびに新しい大地が誕生する地。1000年に約2mという驚くべき速さで隆起し続けています」。そう語る「室戸市観光ガイドの会」堺喜久美さんに案内され室戸岬をめぐると、悠久の大地の活動が生々しく伝わる。烏帽子形の斑レイ岩・エボシ岩は約1400万年前に海底ででき、若き空海が修行した神秘的な洞窟は約2800年前には波打ち際にあったと聞いて、地殻変動のスケールに驚く。しかし、段丘に育つウバメガシを活用する備長炭、室戸沖の深海で取れる海洋深層水など、この地の自然と共存する人々の営みはたくましく、それが室戸独自の魅力ともなっている。
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室戸の海を五感で楽しむ体験
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山地率全国一を誇る高知の山へ
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室戸世界ジオパークセンター
住所|高知県室戸市室戸岬町1810-2
Tel|0887-23-1610
開館時間|9:00〜17:00
休館日|なし
料金|無料
www.muroto-geo.jp
御厨人窟(みくろど)
住所|高知県室戸市室戸岬町3225-2
むろと廃校水族館
住所|高知県室戸市室戸岬町533-2
Tel|0887-22-0815
開館時間|9:00〜18:00、10〜3月〜17:00
休館日|なし
料金|高校生以上600円、中小生300円
X|@murosui_kochi
室戸海洋深層水アクア・ファーム
住所|高知県室戸市室戸岬町3507-1
Tel|0887-24-2822
開館時間|9:00〜16:00
休館日|日曜、祝日、年末年始
料金|無料
text: Miyo Yoshinaga photo: Tomoaki Okuyama
Discover Japan 2024年8月号「知的冒険のススメ」